スナイパー釣法の応用Ⅰ 縦の釣りその1

前回、スナイパー釣法の誕生からメリットまでを紹介した。いよいよ今回からはスナイパー釣法の実践について説明していく。スナイパー釣法は仕掛けを上下に動かす「縦の釣り」を基本として、様ざまな釣り方に派生している。まずは縦の釣りの基本的な釣り方から紹介していただこう。

▲ スナイパー釣法の基本は縦の釣り。アタリがあった位置から上下1メートルを探る

 カワハギには宙釣り、聞き合わせ、タタキ、タルマセなど色いろな釣り方がありますが、スナイパー釣法では仕掛けを上下に動かして誘う「縦の釣り」が基本。仕掛けを寝かしながら誘う「横の釣り」でさえ、縦の釣り(宙の釣りを含む)の延長であると思っています。それがスナイパー釣法の特性を最大限に生かす釣り方なのです。

 繊細なアタリを取る釣り方なので基本的には集寄のない(中オモリは付ける場合もある)シンプルな仕掛けで、目感度、手感度を存分に引き出します。

▲ 縦の釣りでダブルはめずらしい

 カワハギのアプローチには、次の3段階があります。

触り
仕掛けの周りにいて、エサをつつき始めたときの気配(穂先がフワッフワッと不規則に動く状態)。
前アタリ
エサを食い始めたときのアタリ(コツッコツッと手感度、目感度で伝わる微弱な感触)。ここで合わせても掛からない。
掛けアタリ
カワハギの口の中までハリが入ったときのアタリ(手感度、目感度ともにカチッと明確に伝わるハリまでくわえ込んだようなアタリ)。真の掛けどき、合わせどき。

 スナイパー釣法なら竿の感度と伝達スピードが十分に引き出せるので、①~②を感知して見送り、③の掛けアタリで合わせることにより、カワハギに主導権を与えずに仕留めることができます。

縦の釣り、6種の誘いプロセス

 表にあるとおり、縦の釣りには揺さぶりをベースとして6種類のプロセスがあり、それぞれにキモとなるポイントと動作について解説してあります。

 揺さぶり、誘い上げ、聞き上げ、フォールなどの動作について、もう少し説明しておきましょう。

揺さぶり
竿先を上下に約10センチほどを小刻みに揺らせる動作。仕掛けを止めているより、ハリスにテンションがかかるときがあるので、触りや前アタリを感知しやすい(図参照)。
誘い上げ
オモリが底に着いたときから穂先を海面近くまで下げて揺さぶり、30センチずつ持ち上げては揺さぶりを繰り返し、底から1メートルくらい上までを探る(図参照)。
誘い下げ
探るタナまで上げきったら、今度は穂先を下げながら揺さぶりをかけて底までを探る。
なお底から1メートルというのはあくまで基本です。たとえば1メートル上げた所でアタリがきたら、その位置から上下1メートルを探ります。
フリーフォール
オモリを底に着けた状態から穂先にテンションをかけない状態で仕掛けを下ろしていくこと。
テンションフォール
仕掛けに中オモリを付け、オモリのテンションを受けたまま仕掛けを下ろしていくこと。
聞き上げ/聞き下げ
フリーフォール、テンションフォールで仕掛けをフカせた状態から、アタリを聞いていく動作です。オモリは底に着けたままで仕掛けを張ったり緩めたりしてアタリを出します。

▲ シンプルな仕掛けのみで釣る。
付けても中オモリ程度

なおポイントの欄にある「スピード」とは、タナまで探りきるまでの速さ、揺さぶりの速さなどを差します。カワハギはシーズン、釣り場、水深、潮流などによって、エサを追いかける速さ、食い込むまでの時間が変わります。

▲ オモリが着底したらこの位置から上へ上へと揺さぶりながら誘い上げる

「今日のカワハギは遅いから、誘いのスピードを下げて」といった具合。逆に速いときは全体的な誘いのスピードを上げていきます。

これらの誘い方を複合して釣りを進めていくわけですが、次回はどんな組み立てをしていくかを説明します。

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PROFILE プロフィール

鈴木 孝(すずきたかし)

1963年生まれ。カワハギをはじめ、マルイカ、湾フグなど「アタリをとる釣り」に精通。東京都江戸川区在住。釣り歴45年以上。幼少のころから様ざまな釣りに親しむ。船釣りは中学生のころから自宅から近い浦安の吉野屋に通い詰め、ハゼ、シロギス、カレイなど江戸前の小物釣りを楽しむ。現在はカワハギを中心にマルイカ、アナゴ、フグなど釣行は年間70回以上。カワハギ歴は約15年以上。2007年ごろから競技に重点を置くようになり、様ざまな大会に出場するようになる。主なタイトルは2015シマノステファーノグランプリ優勝。シマノインストラクター、チームステファーノ&くろしおマスターズ所属。