2015/07/01
コラム
山本太郎直伝 ウキダンゴ釣り(紀州釣り)入門 応用編I「アタリを導く展開術」
サシエローテーションの基本
サシエローテーションで、エサ取りの中でも残るエサを見つけると会心のときが訪れる
ウキダンゴ釣り(紀州釣り)でチヌを仕留めるためには、どのサシエを使えばチヌが喰うのかを探っていくサシエのローテーションが大事になってくる。
また、ダンゴの割れ加減とタナの調整も重要だ。
タナはトントン※でいいのか、あるいはプラスαが必要なのかなど、状況に応じて考えていくと好釣果に結びつく。
それらが総合的にうまくいったときには、ウキがスパッと入る会心のときが訪れる。
合わせた瞬間に味わうチヌの重量感は、ウキダンゴ釣りならではの快感だ。
※トントン:水深と設定したウキ下がほぼ同じこと
展開術1 オキアミからサナギへ
それでは、実際の釣りを通してサシエのローテーションを見て行こう。
最初は、オキアミでスタートする。
しかし、すぐにエサ取りに取られてしまう。
これでは、チヌが喰う間がない。
そこで、オキアミよりエサ取りに強いサナギが通用するかどうか試してみる。
これが的中して、35cmのチヌを手中にする。
サナギに替えたおかげで、オキアミのようにエサ取りにすぐに取られてしまうことがなくなり、チヌを喰わせることができたというわけだ。
サシエローテーションはエサ取りの中で、いかに残るものを探し出すかがカギになる。
オキアミ→ボケ→サナギ→コーンという順で軟らかいエサから硬いサシエにローテーションしていくのが、まずは基本だ。
展開術2 2粒刺しで喰う間を作る
ダンゴをポイントに打ち込むほどに、エサ取りの活性がグンと上がってしまった。
そのため、エサ持ちを、さらによくする方向で、サナギの2粒刺しを選択。
これは、1粒をエサ取りに取られても、2粒目が残っているので、チヌが喰う間を演出することができる。
2粒刺すことによって、時間差を作ることが可能になるのだ。
状況に応じたサシエローテーション
エサ取りの活性が上がればいっそう喰う間を与えてくれる複合エサを使うと効果的
展開術3 複合エサが威力を発揮
エサ取りがさらに激しくなったので複合エサ(抱き合わせ)を使う。
複合エサとは、コーン+サナギなど、一つのハリに2つ以上の異種のエサを刺すこと。
エサ取りの活性がかなり高くなったことで、先ほど釣れたサナギでもかじられてしまう状態だ。
こうなるとコーンの出番。
サナギ+コーンの抱き合わせで攻めていく。
これはウキダンゴ釣りの最強タッグといえるだろう。
ダンゴが割れてから、サシエがしばらく持つことで間を作り、その結果として、きれいにウキが入っていった。
展開術4 中断後のボケが効果的
雨が強くなったので釣りを少し中断し、その再開時に軟らかいエサであるボケを試してみる。
これは、時間が空いたことで、ポイントの様子を見る意味がある。
エサ取りが大人しくなりチヌがきていれば、一発で喰ってくる可能性があるからだ。
ボケというエサにはそういう可能性もある。
これもサシエローテーションのツボといえる部分だ。
軟→硬だけでなく、硬→軟にするのも効果的なことが多い。
展開術5 潮速くなればウキ下深く
海の状況は刻々と変化する。
臨機応変なタナのセッティングはとても大事だ。
釣りを続けていると、流れが速くなり、ウキがシモってしまうようになった。
そうなると、ダンゴが割れた途端に、ウキが浮かび上がってしまう。
同時に、サシエも唐突に浮かび上がり、エサ取りの目に付きやすくなる。
流れが速くなればウキ下を深くしよう。
半ヒロ、1ヒロ※という感じでプラスαしていくとよい。
※ 1ヒロ:両手を広げた幅。半ヒロはその半分
展開術6 潮次第でダンゴを早く割る
流れがさらにきつくなると、かなりプラスαをしていてもウキがシモってしまう。
この状態で、ダンゴが割れると、やはりサシエが浮き上がってしまう。
こんなときはダンゴの割れを調整して、着底後は早く割れるようにする。
ダンゴを握る回数を減らしていくとよいだろう。
展開術7 引き波は収まるまで待つ
ウキの状態でダンゴの状態からアタリまでを読み取るウキダンゴ釣りにおいては、波が大敵。
特に堤防では船の往来が多いので、船の引き波が去るまで釣るのを待つことも大事になる。
展開術8 水潮でもあきらめない
この日は雨天ということもあり、水潮が回ってきた。
海面は白っぽく一見釣れそうにない印象だ。
しかし、それは表層だけの話で底を狙うウキダンゴ釣りならチヌを引き出せるはず。
流れが緩くなってきているのでダンゴの握りは25回。
今度はかなり硬め。
それは、エサ取りの中、チヌがサシエに寄ってくる時間を与えるという意図があるからだ。
思惑通り、竿が大きく曲がった。
展開術9 潮引けばウキ下を浅く
海には干満が付き物。
潮が引けばタナも浅くなるので、それに応じててウキ下を浅くする必要がある。
関連記事
RELATED COLUMN