マスターチューン

号数ごとに違う個性をコンセプトにしたマスターチューンがモデルチェンジしました。

３つの号数のテストでの感触を、使った順にインプレしてみたいと思います。

最初に振ったのが先調子の1.5号。現在の磯釣り界ではしなやかな胴調子が主流で僕自身先調子は久しぶりです。かなりシャキッとしていて投げる、アワセる、起こす、メンディングするといった一連の動作が速く軽快に行えます。魚を掛けても伝わり方がダイレクトなのでドキドキしました。結構、胴まで曲がるのですが、すぐに戻ろうとする。復元力がパワーになっている感覚ですね。シマノの磯ロッドの中で張りが強めなイソリミテッドの弟といった印象を持ちました。

次に使ったのが1号。「あー、コレコレ！」ってて感じです。同じくらいの魚を釣っても伝わり方も曲がっているところも1.5号と全く違います。プロテック的ですね。このロッドのスペックだとしなやかとか、細糸で繊細にとかのワードが出ますが、僕は基本的に細糸を使いません。でもマスターチューン1号は何度も瀬ズレしたり、細軸の鉤を使っていたりしても、ロッドが大きく弧を描いて弱いところに負荷を一点集中させません。だから太糸を愛する僕にとっても頼もしく感じました。

1.2号は、1.5号と1号の間をとっているので基本調子のベイシス寄りに仕上がっています。でも少し柔らかく、やや胴調子気味で、やり取りは曲がり込んでその先には行かずに止まってくれます。ミドルクラスのロッドという感じで、最も使いやすい。それがこの1.2号の個性ですね。テスト中にこれで真鯛の70cmオーバーを釣りました。長いやり取りで感じたことは1.5号程反発は強くないし、1号ほど曲がり込まない。少し気持ちが楽になります。クチブトを狙う釣り人に最も支持されるであろう1.2号として、特徴はしっかり出せていると思います。

2代目となるマスターチューンは、対象サイズやアプローチスタイルを見据えて、アイテムごとに異なる調子を与えています。

1号はしなやかな胴調子。魚を掛けると大きく弧を描き、やり取りしていて非常に楽しい竿です。体感的なパワーは抑えられているものの、魚を暴れさせずに取り込むことができます。30〜35㎝の口太グレがメインターゲットとなりますが、40㎝オーバーの良型が喰っても怖くないくらいの安心感があります。

1.5号はシャープな先調子。穂先と２番節のバランスが絶妙で、投入後はブレが速やかに収束するし、仕掛けの投入精度も高い。コマセを先打ちして帯を作り、そこへドンピシャで仕掛けを合わせていけますね。1号ほどの柔軟さはありませんが、先調子の特権ともいえるコントローラブルなやり取りを楽しめます。

1.2号は、1号と1.5号の中間。胴調子の楽しさと先調子の操作性が、ほどよくミックスされた調子です。40㎝クラスを中心としたフィールドでメインを張れるロッドです。

マスターチューン全体の印象としては、まず魚の位置と向きがよくわかるロッドだということ。よく曲がる竿はそれだけで安心感があるものですが、その一方で魚の位置や頭の方向がわかりにくいものがあります。魚と綱引きをせず、泳ぎを利用しながら浮かせることを理想とする私にとって、魚の位置と向きを知ることはとても重要です。魚との位置関係を把握しやすい『マスターチューン』は、常に先手を取れるロッドだと感じています。

そしてもうひとつ、ロッドの「パワーバンド」がわかりやすい点もマスターチューンの特長です。ロッドを曲げ込んでいくと、最もパワーを発揮する角度が必ず存在します。このパワーバンドをうまく使うことで、主導権を持ったやり取りができるのですが、ロッドを曲げているつもりでもパワーバンドまで入れ切れていないケースが意外に多いんです。

マスターチューンはパワーバンドがわかりやすく、自分の意志でトルクの出し入れができます。誰でも簡単にマックスパワーを引き出せるロッドですね。

日振島でマスターチューンの実釣を行いました。当日はグレのサイズが４０〜４５cm以上と、1号ロッドにはややオーバーサイズ。でも胴調子のマスターチューン1号は綺麗に曲がって、竿全体で魚の引きを吸収してくれるので、大きな魚でも全く不安はありませんでした。大型はある程度テンションを掛けてロッドを曲げたままリールを巻いてこないとバラシの原因になります。でも魚はまるで抵抗を感じていない様子でヌーっと寄ってくる。釣っている側もリールの巻き込みがしやすいし、ハリス道糸とも1.5号で40cm後半には少し厳しい細さでしたが全く不安はありませんでした。こちらが主導権を握ってグイグイ寄せる竿ではありませんが、魚が反抗しないので思い通りに寄せられます。

バラすときってロッドの角度がつく足元が多いですが、そういった心配もありません。とても魚が獲りやすいロッドだと思います。胴調子は持ち重り感があったりしますがマスターチューン1号はそれがなく操作性も良いと思います。すごく気に入りました。

1.5号は先調子ですが、私の思っている先調子とは違いました。パワーがあって浮かせるのも速いですし、どんどん寄せてサッと掬えるなど扱いやすさも感じました。バリバリの先調子という感じではなく、どこかマイルドな部分がありますね。これまで先調子のロッドはあまり好きではなかったのですが、今回の1.5号でちょっと印象が変わリました。

また、マスターチューンに搭載されているエラストマーグリップはロッドを肘に当ててやり取りをする時、本当に肘から滑りません。服の素材とロッドエンドがにピタッと引っ付いてくれます。これも、感動するくらい良いと思える点ですね。