その調子と長さはステップアップのために
小沢聡はその技術、トーナメントの実績もさることながら、友釣りを分かりやすく伝える力も一級品。自身のYouTubeチャンネルも含め、分かりやすくていねいな解説は多くのファンに支持されている。そんな小沢が以前からたびたび口にする竿選びのポイントがある。ミドルクラス以上の竿で友釣りに入門できればベストなのかもしれないが、それでは少しハードルが高すぎる。ではエントリークラスはどうか。使いにくい竿なのだろうか。そのような印象を抱いているなら、小沢はそれは間違いだと言うだろう。
「トモアユはくせのない標準調子に仕上げています。シマノでいえばFWに近い感じがしますね。とくに初心者の人はこのような調子がいいと思うんです。これから友釣りをおぼえる方が特化した調子の竿を選んでしまうと、それが基準になってしまうので、次に竿を購入するときに選択肢が狭まってしまうんですね」
標準調子で友釣りをおぼえれば、次の段階に達して先調子や胴調子、軽い竿やパワーのある瀬竿などを選ぶときには確固たる軸ができている。進む道が分かれるときに迷いにくいというのが小沢の意見だ。
最初の1本は75か80 85と90は大河で無理がきく
また竿の長さの選択に関しても、現在の鮎竿のスタンダードである9mに縛られることはないという。
とくにビギナーは短いことによるデメリットが少ない。それは先に小沢が述べていた通りだが、適切に長さを選べば、トモアユならいずれのアイテムであっても快適に扱うことができるはずだ。
「特別大きな川がホームグラウンドではない場合、基本的には75や80を川に合わせて選んでいただくのがいいと思います。80の長さがあれば比較的川幅のある日置川でも使いましたが全然問題はありませんでした。これ以上の長さになると、一般的な体力でこれから始める人だと、重さや扱いづらさを感じてしまうかもしれません」
竿を持つだけならトモアユの85や90でもまったく支障はない。ミドルクラスの瀬竿と同程度の自重だから、成人男性であれば決して重い竿というわけではない。
しかし、竿をかついでオトリを交換し、そのオトリを送り出し、掛けた後は引き抜いて取り込む、といった友釣りならではの動作の繰り返しは、慣れない間はとても疲れやすい。ビギナーの間は力んでしまうことも多いせいか、体感として竿を自重以上に重く感じてしまう。
「85や90は、個人的には若くて体力のある方で、瀬に立ち込んでガンガンやってみたい方に使ってもらうのがいいと思います。竿の扱いに慣れていない方でもミドルクラス~ハイエンドモデルの竿に比べて圧倒的に丈夫なので無理がきくんですよ。もちろん硬いものにぶつけたりするとだめですが、竿を伸ばしたり縮めたりするときのトラブルも少ないですし、強引に竿を曲げてやり取りしても強いですからね、そういった面も魅力だと思います」