スペシャルの“神バランス”をプロセレクトで再現すること
2タイプの調子設定。このコンセプトをいち早く取り込み、ラインナップに反映したのが現行の21スペシャルトリプルフォースである。なかでも坂本が手掛けた急瀬Gは評価がとびきり高く、シマノ鮎ロッドで歴代トップクラスの名竿となっている。これはG調子を待ち望むユーザーがいかに多かったかの表れともいえるだろう。
スペシャルで打ち出したG調子。これをいかにプロセレクトで表現するかが開発のテーマになった。しかしスペシャルに比べ、プロセレクトは使用する素材にも制限がある。同じ設計、同じ手法を用いてもスペシャルと同じG調子にはなり得ない。
「設計者によると『スペシャルの“神調子”は、スペシャルの素材と技術があるからこそ成し得た』のだと(笑)。でも僕自身G調子には相当なこだわりがあります。何度もパーツを作り直してもらって、ようやく僕が求めるG調子が完成しました」
タメたときの安心感とシャープな操作性の両立
プロセレクトでやれることを全て注ぎ込んだ一本。操作時はシャキッとしていて、掛かると胴まで曲がり込んでとことん粘る。
「感度や軽さはスペシャルが当然勝っていますが、素材の特性からか粘り強さはプロセレクトTFのほうが凄いと思います。タメてもタメてもまだ曲げられる。そんな安心感がある竿に仕上がったと思います。スペシャルよりこっちが好きって人もいるんじゃないかな(笑)」
坂本はそのタメ性能を絶賛した。
「胴調子といってもT調子に比べて胴寄りの調子なだけ。よく胴調子の竿は川底がフラットで底流れの強い河川に向くといいますが、プロセレクトTF急瀬Gは胴調子にありがちなブレや鈍感さがほとんどなくオールラウンドに使えます。G調子かT調子かは好みで選べばよいと思いますね」