ラシュラン

【24シマノ新製品鮎竿】ラシュラン × 小沢聡　変幻自在の引き釣りコンビネーション　岐阜県長良川中央

圧倒的風斬り性能を誇るラシュランが、史上最高レベルの極細ブランクスで8年ぶりに生まれ変わった。

　“極細”になった背景は2つ。8.5mの長さと、6本継での開発に成功したこと（多くの竿は7～8本継）。

例えば通常の＃2の長さは100cmほどだが、このラシュランは約140cmもある。細く長いほど成型は非常に難しく、だからこそ先端付近のパーツほど短いことも事実。その限界を突破し、進化したカーボン成型技術によって製品化が可能になった。

また、超細身の竿に不可欠な肉厚設計はパワーと粘りにプラス要因の半面、持ち重りは不可避。しかし8.5mで操作性は上がり、無風時にも効果的なハイバランスを獲得した。

同じ肉厚設計のバーサトルよりさらに肉厚。新たに「スパイラルXコア」も採用され、思いきり曲げ込める。H2.5ながら良型にも軽く通用するポテンシャルを秘めている。

そして「超細身設計かつ胴調子」ゆえのクッション性は特筆もの。圧倒的引き性能を備える一方、立て竿操作でもブレ知らず。独創的なテンションコントロールによる管理泳がせすらこなしてしまう。

最後に風斬り性能に触れておきたい。データではスペシャル競FW85と比較した場合、風速4mでほぼ同等の手元負荷となり、5mで逆転、6m以降になるとラシュランは負荷が伸びにくくなる。

釣りでストレスを感じるようになるのは風速4～5mあたり（8mで釣りは困難レベル）だが、開発陣が実釣で競FWと比較すると、ラシュランの持ち軽さは竿の動作が加わるほど、データの数値以上に際立った。

過去には台風が接近するなかでも釣りが成立したという逸話を持つラシュラン。「こんなに風が強くても、ストレスなく釣りができるのか！」という感動を、ぜひ体感していただきたい。

細身だから感じられる軽さ 肉厚ブランクスゆえのパワー

矢作川の漁師に見せつけられた圧倒的な釣果が起爆剤となり、小沢聡の引き釣り探求は始まった。その過程で得たのは、引き釣りには軟らかい竿、曲がる竿が向くという原則。この考えをベースとして初代ラシュランは2005年に誕生した。

それから18年。2023年9月下旬の長良川中央。鮎之瀬は多くの人で賑わっていたが、その中に小沢はいた。操るのは新しい4代目ラシュランだ。

「過去の中ではいちばん細身ですね。渓流竿のよう。川へ行くと風の影響をほとんど受けますから、風斬り性能ですごく軽く感じるっていうのもこの竿の特徴だと思います」

初代は尖った調子ゆえ、好みが分かれた竿だったことも確か。しかし、この4代目のコンセプトはさらに振り切ったもの。初代より尖っているかもしれない、と小沢は言う。

「好きな人にはたまらないと思いますね。H2.5だけどかなり肉厚。しなやかでよく曲がるんだけどパワーと頑丈さがある」

“尖った調子”で展開する引きだけに留まらない釣技

この日の小沢の釣りは、ただ流れの筋を引くだけではなかった。反応が悪いと見るや45度近くに竿を起こして操作したり、立て竿の泳がせでも数を重ねる。見過ごしがちなピンポイントも細かくていねいにオトリを引くその釣りからは、むしろ尖った竿の印象は感じられない。

小沢の周囲だけが異空間のように釣れていた。すれ違う釣り人に何度も声をかけられる。気になるのは当然だろう。

「もちろん引き釣りのしやすさは強力な武器ではあるんですけれども、竿を立て気味にして糸を張った釣りとか、最近はやりの超ベタ竿の速引きなど、いろんな釣技に対応できるのがこの竿の強みなんです」