「操作性の高いパワーロッド」がリミテッドプロ TFの真骨頂
パワーロッドに求められる「力強さ」や「タメ性能」と、「軽快さ」や「操作性の高さ」は、基本的には相反する要素だ。
パワーを追求すればロッドの自重は増え、軽快さは失われれる。大きな野鮎の引きを不安感なくタメきるには、シャープな操作性には目をつぶらなければならない部分も出てくる。
リミテッドプロTFは、そんな瀬釣りロッドのジレンマから目を逸らさず、いずれの要素においても高い水準を満たすべく、最新の技術と素材で、その性能に磨きを掛けてきた竿である。
その初代モデルから携わってきた島啓悟は、第4世代となる本作の開発にあたり、ひとつの思いがあった。
「僕の場合、基本的には“操作性の高さ”に重点を置いているので、瀬釣りでも先調子寄りの竿が使いやすい...という考えが根底にあります。第2世代の急瀬テクニカル90は、まさにそんな感じの竿で、オトリ操作がしやすく持ち重りもせず、僕としては非常に気に入っていたのですが、タメという要素に関しては、まだ突き詰められる部分がありました。瀬の中に立ち込んで、ギューッと上のほうから大きく曲げ込んでいくと、軽い竿って手元あたりが不安に感じる場合がありますよね。これ以上、曲げたらヤバいかもって。でも、そこを超えると、急瀬テクニカル90は反発力のある竿なので、魚がスパッと上がってくるんです。でも、どうしても思い切りよくいけないことって、あるんですよ...」
そこで、第3世代ではもう少し胴に乗る調子にシフト。強度の高いスパイラルXコアの採用もあり、優れた操作性を維持しながら、より思い切ってタメられる竿になった。
さらなる大型と対峙するためのモアパワー
そして、最新の第4世代2022モデルでは、より大きな魚や強い流れへの対応力のアップが図られた。前作よりもタメが利き、さらに踏ん張る調子へと移行。特に、元竿がジワジワとスムーズに曲がり込むよう設計され、胴から元へと美しくカーブが繋がるようにリファインされた。
「前作もパワーはかなりあるのですが、軽快さを維持しつつ、もう少し胴から元にかけての力強さが欲しかったので、そのあたりをチューニングしてもらいました。具体的に言うと、先のほうを少ししっかりさせて、胴から元にかけての曲がりを活かせる調子にしています。魚を抜き上げるときの力って、実は胴より上のほうの強さで変わってくるんです。微妙なバランスなんですが、先側をやや強くすることで、胴から元へと曲がりが入りやすくなる...といった理屈ですね」
調子としては、昨年発売されたスペシャル トリプルフォースのG(胴調子寄り)とT(先調子寄り)のちょうど中間。第3世代の前作リミテッドプロTFは、T(先調子寄り)に近い調子だったので、若干胴に寄せてきたイメージだ。
「前作と持ち比べると、力強さがアップしたと感じられると思います。より大きな魚も、安心してやり取りできるようになっていますよ」
さらに、標準穂先がエキサイトトップIIチューブラー(H3.0)になったことで、感度が大幅にアップ。また、タフテック∞ソリッド(H3.0)、エキサイトトップ パワータイプチューブラー(H3.2)の2本の替穂が付属する“パワーセレクトシステム”により、シーズン、魚のサイズ、流れの強さに応じた使い分けが可能となっている。