竿の選び方
落差のある上流域、大岩が連なる源流域、ゴルジュ帯、大淵、滝壺、堰堤の下など、イワナのポイントは多彩。竿は川幅やポイントの規模に合わせるのが基本です。様々なポイントを釣りこなすことを考えると、竿は長短の2本を揃えたいところ。予備の竿はリュックなどに入れて持ち歩くとよいでしょう。イワナ釣りでは重めのオモリを使うこともあるので、穂先がしっかりした硬調~硬硬調の竿がおすすめです。
流れ込み周辺など小さなポイントを狙うときは、5.3mクラスの竿が適しています。ズーム機能を備えたものなど、長さを調節できる竿が使いやすいでしょう。
前々回の釣行記で紹介した小武川や本谷川は、イワナポイントとしては比較的開けた川相で、さほど重いオモリを使う必要もなかったので、ソリッド穂先の『天平ZA』の硬調53を使用しました。もっと水深がある場所や流れの押しが強い場所など重いオモリが必要な場合は、『弧渓ZM』などチューブラー穂先の竿がメインとなります。
源流域などで小さな棚をチョウチン釣りで攻めるようなときは、節を短く縮めて使える『鎧峰NF』『七渓峰ZK』などが活躍します。
滝壺や堰堤下はポイントまで距離があり、流れも複雑で軽いオモリでは仕掛けが落ち着きません。このような大場所では、『鎧峰NF』『源流彩NY』など重いオモリを背負ってもブレない穂先を備えた7m以上の竿が必要です。
イワナ釣りの仕掛け
ポイントが多彩なイワナ釣りでは、魚の大きさよりも、立ち位置や障害物といった釣り場の環境によって仕掛けが変わってきます。障害物が少ない開けた場所で尺クラスまでを狙うのであれば、ハリスはフロロカーボンもしくはナイロンの0.2~0.3号でOK。ヤマメ釣りとほぼ同じ仕掛けでも問題ありません。
特殊なのは滝壺や堰堤下。このような場所には大型が着いていることもあり、ハリスは0.8号以上が無難です。まだ雪が残る春先に雪渓の上から遠いポイントを狙うときも、掛けたイワナを一気に抜き上げるために1号前後のハリスを使うことがあります。
オモリはガン玉3号から5Bくらいまでをよく使います。私の場合、ヤマメ釣りではガン玉5号あたりからがメインとなるので、イワナ釣りはやや重めということになります。
ヤマメ釣りはエサを流れになじませるイメージでガン玉をセレクトするのに対し、イワナ釣りはオモリを穂先で吊るようにして流れよりも遅くエサを流す、あるいは止めるというイメージでオモリを選びます。滝壺や堰堤下では、5Bクラスを2個、3個と打って白泡の下からエサを出ないようにすることもあります。
ハリは軸がしっかりしたイワナバリの6~8号が平均です。特大のドバミミズで大イワナを狙うときは9号を使うこともあります。
早春のイワナ釣りで使うエサ
イワナは貪欲で、川虫やミミズ以外にも陸生昆虫や、ときにはヘビなども口にする魚です。秋にはコオロギやバッタ、トンボなどもエサに使いますが、春に限定するならば川虫、ミミズ、ブドウムシ、イクラあたりを用意しておけば問題ないでしょう。イワナの喰いを見てローテーションするために、3種類ほど用意するとよいでしょう。川虫以外は釣具店で売られています。
解禁直後はどのエサにもイワナは反応してくれますが、解禁からしばらく経ち、釣り人がひととおり攻めた後になると、イワナもややセレクティブになります。スレたイワナに効くのはやはり川虫です。ピンチョロは暖かくならないと出てきませんが、オニチョロやキンパクは早春から採れるので、可能ならぜひとも用意しておきましょう。
川虫の採取法
スレたイワナに有効な川虫ですが、上流域や源流域にはあまり棲息していません。現地ではまず調達できないので、中流域や下流域で事前に採取しておきましょう。
春先に多用されるオニチョロやキンパクは、水当たりのよい場所の石裏や砂利底にいます。採取が容易なのは砂利底です。目の細かい網を自分より下流に立てて、足で砂利を掻き回すようにすると流された川虫が網の中に入ります。オニチョロ、キンパクとも泳ぎが上手で、モタモタしていると砂利の中に戻ってしまうので注意しましょう。
採った川虫は、そのままエサ箱に入れるとすぐに弱ってしまいます。園芸ショップで売られている水苔を軽く湿らせ、エサ箱の中に入れておくとよいでしょう。予備の川虫は、蓋に通気穴を空けた密閉容器などに水苔と一緒に入れ、クーラーボックスの中で保管しておくと安心です。