2月下旬、新しくなった探見丸CV-FlSHを携えて鈴木孝が乗船したのは、相模湾では希少なフグ乗合を出している鎌倉市腰越港の池田丸。全船に探見丸システムを導入する、釣り人にうれしい船宿だ。
ポイントは鎌倉沿岸の根周りで、水深15~25メートルあたり。ショウサイフグをメインに、ヒガンフグ、コモンフグ、トラフグなど、季節や潮次第で多彩なフグが交じる。
オモリ10号の仕掛けは東京湾と同じとのことで、鈴木はチラシ式のカットウ仕掛けを用意。ロッドは「カワハギだけでなくフグにも最適」と言う、鋭敏かつアワセもガッチリと効くステファーノ 攻 SS175をセレクトした。
▲ 視認性がアップし、クールなデザインが印象的なNEW探見丸CV-FlSHに、鈴木もニッコリ
この日はシケ後のせいかショウサイフグの明確な群れは見当たらず、実績ポイントを転々と探りながらの拾い釣りの展開。そんな中でも探見丸を見ていると、興味深い反応が出たところでフグがアタってくる。
険しい岩礁帯に入ると探見丸で地形の変化を確認しながらスムーズに根掛かりをかわし、根周りの平場と見るやキャストして幅広くアタリを探る。縦横無尽に攻める鈴木に根負けし、ショウサイフグ、コモンフグ、1キロ近いヒガンフグも掛かってきた。
Situation・状況
シケ直後のフグポイントは予想どおりの喰い渋り…
険しい岩礁の攻略術
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探見丸があれば、根掛かり注意の岩礁帯も一目で分かる。こんなエリアでは仕掛けを少し浮かせて、カットウバリの根掛かりを回避しながらフグを掛けていく。仕掛け図をご覧のように、ハリス止めを介してカットウバリを結ぶ「根掛かり対策」もおすすめ。
▲ ショウサイフグは良型が中心。30センチ級も交じる
▲ 仕掛けをジワジワと下ろしてフグのアタリをキャッチしたら(左)スーッと底まで落としてエサを追わせ、ひと呼吸置いてキュッとアワセる(右)
▲ 鈴木お手製、エサバリ3本のチラシ式カットウ仕掛け。オモリは10号
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▲ もしもの高切れに替えスプールも用意。
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▲ チラシのハリには、アルゼンチンアカエビのむき身をカットして付ける
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▲ 美味なコモンフグもきた。ヒガンフグ、ショウサイフグと合わせて3種をゲット
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使用タックル製品情報
「相模湾のショウサイフグは根や魚礁の上に浮いた反応が出るのが特徴で、宙で誘って宙で掛けるパターンもある。でも今日はシケ後のせいか、底近くでしかアタらないですね」
そう言う鈴木の釣り方は、竿を立てて仕掛けを1~2メートル底から浮かせ、ゆっくりフォールさせてアタリを出す東京湾と同じパターン。この間にアタリが出たらスーッと仕掛けを下ろし、フグにエサを追わせてストップ。カットウバリが垂れ下がるタイミングを計って鋭くアワセる。
平場での流し、キャストした鈴木の仕掛けに異変が起きた。落下途中の宙層でガツガツとアタり、完全にテンションが失せたのだ。巻き上げるとリーダーが切られ、無数の噛み痕が残されていた。探見丸を覗くとイワシらしきベイトを追う魚が映っている。
「トラフグだ。やられた!」
それでも10尾のフグを釣って同数トップの一人となった鈴木。喰い渋りの中、探見丸に映った興味深い画像は次をご覧いただきたい。
Strategy・戦略
横帯反応がフグのシグナル 地形を見て攻め方を思案
フグっぽいホバリング反応
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【画像A】魚礁の反応
海底から突き出る魚礁らしき障害物の周りに、横帯の反応が所どころ浮いている。同じレンジで「点」ではなく「帯状」に映る反応はその場でジッとホバリングし続けている魚、つまりフグ類である可能性が高い。 -
【画像B】根際の反応
平場から根の斜面に差しかかったところ。底上2~3メートルに横帯反応があり、とくに右側の反応は強い。この付近で数尾が釣れたから、おそらくショウサイフグだろう。また、根際の海底にモヤモヤとした海藻らしきが映っていて、こんな環境はヒガンフグも潜む好ポイントになる。
真っ赤な魚群に惑わされるな
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【画像C】イワシ類
宙層の真っ赤な反応は、ちょうどこの時期沸いていたカタクチイワシやキビナゴだろう。慣れないうちは、このような反応に心が躍るが、大いなる勘違いなので要注意。むしろ反応が途切れたあたりが狙い目だ。 -
【画像D】ベイトを追うトラフグ?
船中でエサバリが取られたり、鈴木がリーダーから切られた時間帯の画像。宙層のベイト団子を追う魚が右下に出ている(これは探見丸スマートのフィッシュマーク・オン状態)。正体は判然としないが、フィッシュ・イーターとしても知られるどう猛なトラフグの可能性もある。
▲ フグ釣りでも多様な攻略法のヒントを与えてくれる探見丸CV-FlSH
「ショウサイフグの反応は、喰いがいい日ならニョロニョロとした横線みたいにハッキリたくさん出ます。だけど今日は反応が薄い。船下に着かずに、通過してしまう感じでした」
これは橋本船長のコメントで、当日なんとか探見丸に映ったフグらしき反応は画像AとB。ちなみにエサに群がってホバリングし続ける好条件なら、船下にフグが着く→魚探の超音波を反射し続ける→結果、ウネるような横帯状の反応が数多く現れる……ようだ。
一方、鈴木のほうは、
「ほどよくシビアな攻防とハプニングが、これぞフグ釣りって感じで最高でした!」と満足そう。あっココはガチガチの根だから着底させてシャクっちゃダメだ……おっココならキャストして底をトレースしながら手前まで探れるぞ……とつぶやきながら集中する横顔は、まさに釣りフリーク。その心強い相棒が探見丸なのだ。
【撮影協力】相模湾腰越港・池田丸 |