平成後期のころマアジは大幅に減少する……なんて予想があって船長も釣り人も不安になった。けれどもそれはハズレて東京湾はずっと盛況、今も乗合船で一番の人気ものだ。
「探見丸を見ながらうまいアジを釣りましょう!」と松本圭一が乗船したのは、探見丸システムを早期から導入している三浦半島走水港の関義丸。釣り場は走水~観音崎沖、東京湾の豊かな栄養がアジを金色に染め、湾口の速潮が引き締まったボディを育む。
7月中旬、関口道義船長が舵をとる午前便に乗り込み、水深37メートルのポイントへ。探見丸の便利機能の一つ「タイドグラフ」をONにすると干潮10時45分の大潮。朝イチは下げの激流が予想され、潮止まりが近づいて潮が緩む9時半ごろから1~2時間が勝負どころになりそうだ。
干満差による潮の動きが魚の活性に影響する内湾の釣りは、全国どこでもこの探見丸のタイドグラフが役に立つ。
天候はあいにくの雨。けれど根っからの釣りきち松本は「猛暑より、よっぽどまし」とニコニコしながら左舷胴の間で仕掛けを下ろした。
予想どおりの強烈な速潮、130号のアンドンビシが持っていかれてラインも斜めに入る。アジは海底にへばりついて踏ん張っているのか探見丸にほとんど映らないけれど、松本ほか数名は単発ながら25~35センチのうまそうなアジを喰わせた。
Situation・状況
走水の激流が緩んでいく潮の変わり目に時合到来!
東京湾はタイドグラフ機能を活用!
▲ 探見丸で当日のタイドグラフ(横須賀を選択)をチェック。下げの速潮が収まる干潮前後の「潮の変わり目」に時合がくる! と予測できる。
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▲ 体高、厚み、色。走水~観音崎沖にはこんなに素晴らしい中・大アジがいる
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▲ 松本が使ったニューライトゲームCl4+ TYPE73 H190 RlGHTは激流のアジ釣りを考えての選択。負荷表示のMAXが100号の番手ながらとても強靭で、130号ビシを背負うとほどよい軟らかさが生じて速潮下での喰い込みアップ、そして巻き上げ時の口切れを防いでくれる
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▲ 激流に抗う130号のアンドンビシは船で貸してくれる。リールはコンパクトでトルクのあるビーストマスター2000
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▲ 10時前後が最高潮。松本は次の「Strategy・戦略」に記した「ワザ」で多点掛けを連発
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▲ 付けエサはアカタン。喰い渋り時はアオイソメも効く
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▲ 松本は2番手の64尾、トップは2本竿で80尾超え。夏~秋も走水のアジは視界良好!
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▲ アジに付けられた鋭い傷跡は、同海域に集まっているタチウオだろう
ほぼベタ底でコマセを振ってそのままアタリを待ち、潮に押されてビシが数メートル浮いたらまた着底させて同じように繰り返す。そしてコマセを詰め直して再投入。潮が緩むまでは、この速潮に特化した釣り方で根気よく手返ししてアジを拾っていく。
探見丸にアジの魚群がはっきり映り始めたのは、時合間近と読んで船長が流した水深31~33メートル付近。読みどおり9時40分ごろから喰いが立ち、潮もほどよく緩んで底上2~3メートルのタナで入れ喰いになった。
約1時間続いたこの時合で皆さん30尾以上を手にして、松本も、
「この反応なら3点掛けもイケる!」とダブル、トリプルを連発。結果64尾を釣り上げホクホク顔で下船した。
探見丸に映る潮に敏感な「アジ魚群の変化」も実におもしろく、その画像は次でお楽しみいただきたい。
Strategy・戦略
底から立ち上がる好反応はダブル、トリプルを狙え!
速潮が終息していくときの魚群の変化
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【画像A】速潮時の底反応
下げの激流がさらす場面。アジらしき魚群は、ほぼベタ底の黄色いモヤモヤ反応と推定される。アジの群れが底スレスレに広がって速潮に耐えている……そんなイメージだろうか? こんなときは底上1メートル以内の低めのタナ取りを意識してコマセを出し、アタリを取っていこう。 -
【画像B】潮の緩み始めの反応
タイドグラフどおりに、速潮が緩みだした直後の魚群反応。低い雲のようなアジ反応が出現。ベタ底からアジが離れ、プランクトンを捕食し始めた……と推測する。
入れ喰い時のアジとタチウオ混在時の反応
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【画像C】入れ喰い時の反応
魚群が山のように立ち上がり、密集部は真っ赤な反応に。こんな反応が現れると入れ喰いだった。ただし「上のほうは違う魚でしょう。こんな反応でも、アジは底から3~4メートルの範囲でしか喰わないことが多いから」とは船長のアドバイス。 -
【画像D】タチウオ混在の反応
掛かったアジが巻き上げ中に奪われたり、傷が付いて上がったときの画像。中層に浮いた反応はタチウオのようで、巻き上げ中に噛みついてきたようだ。実際当日は近くにタチウオ船団があった。
▲ 頭が小さな黄色いアジ。「これは極上!」とにっこり
上に並べた探見丸の画像は、速潮時は映らなかったアジの魚群が、潮が緩むにつれて盛り上がっていく様子を明確にとらえたもの。
まるで少しずつ雲が沸き、むくむくと厚みを増して立ち上がっていく積乱雲のようだ。さらに、タチウオ反応が中層に出ると、アジのアタリが遠くなる現象も興味深いものだった。
時合と判断してダブル、トリプルを決めた松本は、まず底上50センチでコマセを振って、上バリに1尾目を掛ける。その暴れるアジにコマセを放出させつつ、徐々にタナを上げて2尾目、3尾目を喰わせていたようだ。
「画面右端が現時点の反応。ここで魚群の出入りをチェックして的確にコマセを振り出せば無駄打ちが減り、ヒット率もアップしますよ」と松本。潮に応じたタナと活性の変化、コマセを振るタイミングまで、探見丸はアジ攻略の多様なヒントを与えてくれる。
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【撮影協力】三浦半島走水港・関義丸 |