関西都心部からほど近い泉佐野市から午前9時出船、アジを狙う。
本来のシーズンであれば初夏からの釣りモノであるアジだが暖冬の影響か釣れ続く紀淡海峡の釣り場はいかに!?
※記事は2020年3月の取材を元にしたものです。
誰もが知る大衆魚
アジ釣りにトライ
水温が高いせいだろうか、大阪湾の出入口である紀淡海峡周辺では、昨年の初夏からずっとアジが釣れ続いている。スタートは現地で鬼アジと呼ばれている40cm前後の大型が多かったのだが、途中で群れが入れ替わったりして大小取り混ぜての釣りとなり、最近は少し小型化してきたようだ。とはいっても30cm前後の大きさがあるから引きは強いし食べても美味しい。なのでマダイ釣りの本場なのにアジ目的で釣りに出掛ける人が意外に多いのだ。
我らが食いしん坊コンビも、そんな風潮に乗っかってアジを釣りに出掛けようではないかと、今回も阪本智子さんと一緒に泉佐野までやって来た。
「今日は春うららの天気で、最高気温も15度ぐらいになるでしょう」
そんな天気予報通りに快晴微風、海は波高さえ感じられないほどのべた凪だった。
小一時間走って地ノ島の北側沖へ、まずは船長が得意とするポイントでアジのご機嫌をうかがうことにしたようだ。
底すれすれを回遊する
気難しいアジ
静かに竿を構える待ちの釣り
友ヶ島周りで釣れるマアジは、喰いが立った時や群れが大きい時は胴突き仕掛けの上バリにも喰ってくるが、それ以外は魚探の画面の底すれすれに写ってくる群れしか喰わないのだ。こんな気難し屋のアジなので、オモリでトントンと底を叩きながら釣ったり、ミチイトを出し過ぎてオモリがズルズルと底を引きずるような釣り方をするとまず喰わない。
底を取ったら30cmほど巻上げてオモリを宙に浮かせ、竿を正眼に構えたままアタリを待つ。駆け上がりを釣る時は、オモリが底をこする感触が伝わったら素早くリールを1、2回巻き、底を引きずらないように釣ることが肝要だ。
底取りさえきっちり出来たら誘いなど必要ない。ただ静かに竿を構えてアタリを待っていると、急に竿先がムズムズッとし始めたかと思うと、一気に竿が舞い込む。あとは口切れでバラさないように竿を立てて魚をあしらいつつ、必ず手でリールを巻きながら取り込むことだ。
地ノ島沖で小一時間流してみたが、釣れたのは2匹。イマイチ魚の機嫌がよくないので、船を南下させて沖ノ島の駒崎の沖へとポイントを変えた。水深は浅い場所では35〜40m、深い所だと60m近くある。
以前のカワハギ釣りでは智ちゃんにコテンパンにやられたが、まだ彼女の竿は沈黙したままだ。カワハギやテンヤタチウオなど、誘って喰わせるテクニカルな釣りが大好きだが、今回のアジ釣りのように、ただひたすら喰うのを待ち続ける釣りは、性に合わないのかなと思い始めた時、ようやく彼女の竿にもアタリが出始めた。
潮は下げ、風は西寄りで船がトモ流れだから、トモから順番に竿が曲がり始める。なのでミヨシに並んだ我々には、なかなか順番が回ってこないのだ。
「後ろの人がお祭りしている時がチャンスですね」と状況を把握している智ちゃんは笑いながら話しかける。やがて潮が緩み始めた午後2時過ぎから、ようやく我らにもチャンスは巡ってきてバタバタとアジが上がり始めた。ただ、40cm前後の大型はほとんど交じらず、大きくて30cm前後、26、27cmがレギュラーサイズだった。まだ魚探の画面が真っ赤になるほどアジの群れが写るので、このまま春の乗っ込みシーズンに突入するかもしれない。