前回、釣れないときの対処法として、“なにかを変える”ことについて解説しましたが、今回はもう少し具体的に、「変える」ことの例をご紹介しましょう。
たとえば、朝からしばらく釣れないとき。ルアーを替えてみるのはもちろんですが、一番悩むのは「狙うエリアを変えるべきかどうか?」ではないでしょうか。魚の反応がなければ「この場所にバスはいない」と考えることもできますし、逆に「バスはいるけれど喰わないだけ、丁寧にやれば釣れるかも…」という可能性もあります。
さて、どちらが正解なのでしょう?
「どっちも正解なんです(笑)。粘るのもひとつの方法だし、早々に見切りをつけるのもアリです。ただ、早朝に見切って移動した場所へ、後から入り直すこともあります」(伊藤)
なぜ、釣れなかった場所へ戻るのかというと、時間の経過とともに状況が変化し、釣れない場所が釣れるようになる可能性があるからです。
「たとえ釣れなくても、その場所の様子をよく観察しておくと、後で役立つことがあります。たとえば、『ここのアシの周りだけ深く掘れているな…』ということに気づいたら、今は釣れなくても、『ガクンと水位が減ったときには釣れるようになるかも…』と記憶しておきます。減水で周囲が浅くなりすぎると、ちょっと深いスポットにバスが集まる可能性があるからです。
あるいは、南側の岸にポツンと一箇所だけ桟橋があったとしましょう。朝は無反応でも、太陽が昇って南に回ったお昼頃には、この桟橋が貴重なシェードになってバスが入っているかもしれません」(伊藤)
エリア以外に気になるのは、ルアーを替えるタイミング。同じルアーを1~2時間投げて反応がないと、だんだん不安になってきますよね。1時間毎にローテーションするとか、自分である程度の目安を決めて取り組むべきでしょうか?
「それもひとつの手ですね。ただ、僕はずーっとルアーを替えないこともあるんですよ。特に、天候がコロコロ変化しているようなときほど替えません。水位や流れなど、そのほかの状況変化が激しいときも同じです。経験上、デカい魚ほど“変化”のちょっと前に動いてバタバタッと喰うことが多いです」(伊藤)
曇ったり晴れたり、風が吹いたりやんだり、水が流れたり止まったり…。コンディションが変わるタイミングは、バスの状態も変化するので、それまで喰わなかったルアーに突然反応することがあるそうです。逆に、コンディションに変化がなく、快晴で穏やかな状況が続くようなときは、こまめなローテーションを心がけたほうがよさそうですね。
前半にチェックしたエリアに気になるスポットがあれば、時間を空けてもう一度トライしてみる価値はあります。状況が変化していれば、バスが反応してくる可能性もあります。
天候がコロコロと変わる不安定な日は、やる気のあるバスに出会えるチャンス。状況の変わり目に反応するバスを狙って、同じルアーで攻め続けるのも効果的です。
狙うエリアを大きく「変える」前に、同じエリア内でも深場、浅場、カバー等々、幅広く探って情報収集しておきましょう。移動時の参考になるだけでなく、状況が変化したときに、「今ならあそこが釣れそう…」と、元のエリアに戻ってくる作戦も立てられるようになります。