前回まではハードベイト、特にスピーディに探るのが得意なマキモノ系のメリットを伊藤巧さんに紹介してもらいました。
とはいえ、アクティブな魚が少ない状況では、ハードベイトでスタートしてもまったく反応がないこともあるでしょう。そんなときの次善の策は?
「ハードベイトに反応がないのも、ひとつの情報だと捉えてください。いろんなシチュエーションで使ってバイトがなければ『もっと障害物周りをタイトに釣ってみよう』と、素早く切り替えることもできるわけです。もしも朝からスローに釣っていたら『釣っているシチュエーションがダメなのか? このルアーがダメなのか?』といった判断を下すタイミングも遅くなってしまいます」(伊藤)
プラスマイナスどちらの要素も「情報」と捉えることができれば、「ゆっくり使うルアーよりもスピーディなルアーのほうが、その情報を早くキャッチできる」というのが伊藤さんの基本方針。反応がないことを情報源として釣りを変えていく、というイメージを持つのが大事なのだそうです。
「シンプルに考えればいいんです。スピナーベイトを速く巻いてダメなら、今度は遅くしてみたり、障害物の外側を巻いたあとは、その周りをワームで撃ってみるとか…。パワーのあるルアーで探ったあとは、もっと弱くしてみたりといった、簡単なことから試してみるとよいと思います」(伊藤)
なにかが違うと思ったら、とにかく変えてみること。正解がわからなくてもいいから「変える」。これが大切なのです。
「なにをどう変えるか…を考えるヒントとしては、周りをよく観察することですね。例えばシャローでスピナーベイトを引いているときに、カバー際でエビが跳ねたとします。だとしたら、釣れなくてもエサはいるわけだから、『これならシャローで勝負を続けても可能性はある』という考えが成り立ちます。逆に、まったく生命感がなければ『もう少し深いところを釣ったほうがいいかも?』という発想が浮かびますよね」(伊藤)
周囲で起きているちょっとした変化や動きをヒントに、「次はどんな手を打とうか…」を考えるのが、バスフィッシングの面白さでもあるわけです。
ちょっとした変化を察知して、次の一手につなげられれば理想的。たとえ方向性が見つけられなくても、釣れないときは同じことを続けず、なにかを「変える」ようにしてみましょう。