ハードベイトについて、皆さんはどんなイメージを持っていますか。
「釣ってみたいけれどバイトが少ない?」
「投げて巻くだけの当て物的なジャンル?」
「ワームに比べて大雑把で偶然性の高い釣り?」
いつもプレッシャーが高い場所に通う人や、根掛かりを恐れてハードベイトを使いづらいオカッパリアングラーにとっては、どうしてもネガティブな印象が強くなるかもしれません。
しかし、ハードベイトを得意とする伊藤巧さんは「ボートの釣りには絶対に欠かせない」と言います。
「僕にとって、ハードベイトの役割は『やる気のあるバスを、もっとも早く、離れた場所から惹きつける』こと。必然的に釣れる魚のコンディションがよくなるので、サイズを選んで喰わせるというトーナメント寄りの戦略も組み立てやすい。もちろん、短い時間で広いエリアをカバーできるのも強みです」(伊藤)
前回(step34)は、シャローに差してきたやる気のあるバスを、スピナーベイトでキャッチしました。そのとき、もし小さなライトリグを投げていたとしたら、どうなるでしょう?
「バスがルアーの存在に気づかず、素通りしていたかもしれません。ああいうバスはスイッチが『ON』の状態なので、グングン泳いでいて前方しか見ていない。だから、横や後方に美味しそうなライトリグを落としても、あまり意味がないんです。そんなときは、スピナーベイトのように強いハードベイトを通して、ルアーの存在に気づかせてアタックさせるほうが確実性が高いと思います」(伊藤)
この取材では、ほかにもバズベイトを使って1500gオーバーをキャッチ。別のアングラーが何度もチェックしていた水門周辺を狙い、ハードベイトならではの「パワーとスピード」を生かしてバイトに持ち込みました。
「ハードベイトは、僕にとっては不可欠なアイテムです。これがないと広いエリアをカバーできないし、デカい魚も釣れません。ソフトルアーでスピードとパワーを表現させるのは難しいですからね。ボートなら根掛かりでロストすることも少ないですし、いろんなトレースコースが狙えます。オカッパリではハードベイトを敬遠していた人も、ボートなら使い所を習得しやすいと思いますよ」(伊藤)
エサを欲している「ON状態」のバスのイメージ。ライトリグは見た目がエサっぽいですが、バスに気づかせるパワーが弱いのでスルーされることも…。この場合、ハードベイトのほうが「バスが自分で発見し、遠くから追って喰ってくる」効果を期待できます。
長門川下流にあるこの水門は、オカッパリからもボートからもプレッシャーを受け続ける有名スポット。「ほかの人があまり通していないルアーで、スピード+寄せる力を使って騙す」という、伊藤さんの意図がピタリと的中! バズベイトに1500g超のビッグフィッシュが飛び出しました。