Q オシアジガーインフィニティ モーティブ誕生のきっかけは?
シマノのジギングロッドは軽くて性能のいいものが次々に開発されてきましたが、その軽さを活かしてもっと長いロッドを作りたい、レングスがあれば出来ることが多くなると考え、何年か前に提案させていただいたのが始まりですね。
求めたのは特定の魚種に特化したロッドではなく、よりジギングの操作性に特化したロッドです。スロー系ジギングの発達でフォールアクションに優れたジグも増えましたが、ロッドにストロークがあればフォールでの誘いをより長く、自然に演出することが可能ですし、そのためのレングスを出すために長い時間をかけてテストしました。
Q こだわった点、苦労した点など。
グリップジョイントの2ピース仕様ですが、2ピースでありながら1ピースのアクションという点には徹底的にこだわっています。その際、グリップとブランクスの継ぎ目が求めるアクションを出せるかどうかのカギを握っていて、この点が一番苦労したと言えますね。
ちなみに理想のアクションというのは、スローでありながら粘りも張りもあるもの。中深海で使えばスロー、近海ではハイピッチにも対応する変幻自在なブランクスで、要はどんな状況にも対応できるロッドです。僕はミドルピッチと呼んでいるのですが、こうしたコンセプトはいままでになく、長さからくるいい意味の“もたつき”と張りの強さをどこでバランスさせるかということを、少しずつ長さを変えながら突き詰めていきました。
また、リールシートは握ったときの感度が良くなるよう、通常よりも後ろを長く設計。普通ならEVA等の柔らかい素材が掌に当たりますが、モーティブは固いリールシートが水中の情報を掌に伝達してくれます。
そうしたいろいろなことを確かめるため、形にしたプロトタイプの数は軽く100本を超えていると思います。
Q オシアジガーインフィニティとの使い分けは?
従来のインフィニティは、スローピッチはもちろん、コンビネーションジャーク等にも十分対応可能なオールラウンド的な使い勝手が魅力の竿。モーティブも応用性は高いのですが、こちらはフォールを得意としつつもミドルピッチのジャークも視野に入れたロッドです。
ロングフォール用のロッドを短くしていき、フォールとジャークを両立する長さと硬さを探しました。つまり、長さもアクションもスローの竿なのに柔らかくないという、今までにないコンセプトのロッドです。フォールを主体に、状況に応じてより幅広い誘いを試してみたいときはモーティブの出番ですね。
Q スパイラルXコアがもたらす効果とは?
大前提として、これまでの[スパイラルX]もボクのなかではなにひとつ不満のない優れたパフォーマンスを実感していたのですが、モーティブでは進化した[スパイラルXコア]が搭載されたことで、安心感は現時点での最高レベルに達していると感じます。いままでよりさらに軽く、つぶれ、ネジレにもいっそう強くなりましたね。そのことが実釣面でもたらす効果は、ブランクスの無駄なブレやパワーロスがなくなる分、ジグの操作が非常に楽になるということ。釣り全体を通してストレスをまったく感じない安定感があります。
Q モーティブによって山本さんの釣りはどう変わりますか?
今回、僕が頭に描いていたロッドはほぼ完全な形で実現されました。ということは、僕がやりたいフォールを主体としたジギングを思い通りに展開できることは間違いないでしょう。それと同時に、このモーティブと付き合っていくなかで、いまは想像していないもっとすごいことができそうな予感もあります。そのくらいのポテンシャルを含んだロッドだと思っています。
それと余談ですが、仕舞寸法は飛行機の荷物規定をクリアする長さなので、遠征釣行の可能性も広げてもらえると思っています。