高いコントロール性と対応幅を確保するために
今は90に迫る勢いで85は鮎竿のスタンダードな長さになりつつある。だからリミテッドプロRSに85が設定されることは何の不思議もないが、50cmの差に島はどのような意味を込めているのだろうか。
「狙いを定めて狭い場所へ的確に“撃てる”長さを考えると80でもいいんでしょうけど、いろんな対応幅を考えるとパワーもほしい。それを考えると85になります」
竿は長さがあるほどタメがきく。曲がりの効果を生かすなら、85と80の差は超先調子のRSでは見過ごせない要素になる。
「さらにそこでH2.6か、H2.75かを考えると、テクニカルに使うなら硬いほうがいいんですけど、RTチューブラーが付属する分、いい意味での『あやふやさ』もほしい。竿全体のしなやかさはある程度残したほうが多くの方にとって使いやすいですし、僕も数釣りを考えると微妙な硬さの違いで結果が変わってきます。狙い方と掛けやすさ、穂先や調子をトータルで考えた結果が85でH2.6という結論になりました」
ポイントを絞り込めるならフィールドを選ばない
85が得意とするのはポイントが変化に富んだ中小河川。マイナス50cmで高まったコントロール性能がいかんなく発揮される。
しかし本当のところ、この竿のスキルは川幅や川相だけに縛られるものではない。自分でポイントを攻め込むことができるのなら、そしてより精密な釣りを目指すならフィールドは無限だ。
「確かに85はポイントに変化のある河川に向いていますが、表面的には変化がなくても川底の小さな変化を自分で見つけられるなら強みを発揮できると思います」
つまり川幅が広く、石の大きさが均一な河川であったとしても、85が活躍できる可能性は十分にある。
30cmズームが冴えるテンション自在の85-88Z
そしてこの85をベースに誕生したのが、パーソナルスペック85-88Z。アクションズーム30cmによる長さの変化にも、やはり島ならではの意味が込められている。アクションズームは、ズームでありながら軽さや曲がりも重視した設計。そして釣りの一連の動作の中で積極的にズームを使い分けられる長さとして30cmを選択している。
「僕は仕掛けの長さをズームを伸ばした88に合わせています。ハナカンが竿尻にくるくらい。オトリを送り出して、糸を張って的確に操作がしたければそのまま。少しフワっとさせたければ、ポイントに入ってから縮めると30cmの手尻が出ることになるので操作しやすくなります」
酷暑の7月下旬、白川はまさにアクションズームが威力を発揮する状況だった。数日差で釣果が急降下する土用隠れ。島は群れ鮎の反応を的確に感知して、オトリがそこに入るとわずかにテンションを抜いた。きわめてタフな状況下、こうして着実に野鮎を掛けていったのだ。