一口に渓流釣りといっても、厳密にはそのフィールドから源流・渓流・本流と釣り方や道具などが異なってきます。Vol.12「山梨県笛吹川&早川釣行記」、Vol.13「長野県千曲川釣行記」では本流をフィールドとした本流釣りの釣行記をお届けしました。渓流釣りの中でも本流と呼ばれる流域での釣り、その魅力やノウハウについてご紹介します。

一般的に支流を集めて流れる、川幅が10m以上あるような河川の流域を本流と呼んでいます。そこには居着きの魚と遡上系の魚が混在しています。本流域は渓流域に比べて水温が高く、エサとなる水生昆虫もたくさん生息していることから、居着きの魚は歳月を増すごとに成長し、大きいものでは40cmほどになります。また、遡上系の魚は海や湖などで成長するためサイズも大きく50cmを超える大型もいます。こちらはある時期になると川へと遡上してきます。遡上系の魚は河川に入ると捕食しないといわれ、その個体数の少なさと釣りの難しさが魅力となっています。

どこで竿を出し、不意に訪れる大物のアタリにいかに対応できるか? ターゲットが大きくなるほど、タックルもパワーが必要になり、いざ掛かると水深・流速を味方にした引きは想像以上で、パワフルなやりとりは脳裏に刻まれます。苦労して釣り上げた一尾を手にした時の感動は身震いするほどです。

本流釣りを楽しめるシーズン

解禁当初の3月頃は本流の居着きヤマメの場合、普段から冷水に馴染んでいる渓流魚とは異なり、魚の活性が上がりません。とくに早春の水温5℃以下では動きも鈍く、そういった本流の居着きヤマメを狙うなら水温は9℃以上欲しいところです。少し遅めの春、河原に白い花弁のアカシヤが咲くころから水温も上昇して釣れ始めます。大型は水位変動が大きい梅雨時期が活性も高く狙い目です。真夏になると水温は20℃を超えることが多くなり、活性も衰えます。日中は厳しく「朝晩がチャンス」といわれる時期です。渓流域に比べてシルバーに輝く魚体と、山間部に近いところではパーマークのはっきりした魚体もいます。

●盛期のヤマメ

遡上系の魚にはサクラマスやサツキマスなどがいます。海からのサクラマスは3月の桜が開花する時期と、場所によっては秋に遡上する個体もあります。サツキマスはサツキの花が開花する頃に海から遡上してきます。また、湖などのランドロックと呼ばれる陸封型サクラマス、サツキマスは秋に川へと遡上します。どちらも遡上すると捕食しないことが多く、釣るのは難しいといわれています。河原を吹き抜ける風が爽やかに感じ始める初秋、メスはお腹に卵を持ってうっすらと婚姻色を纏い、オスは鼻が曲がって凛々しい容姿に変わり始めます。この頃になるとペアを組んでいる姿を目にすることもあり、紅葉が進むに従って、静かにシーズンは幕を閉じ、9月下旬頃、魚を保護する意味合いで河川は禁漁となります。

●秋のヤマメ

●遡上の戻りヤマメ