久しぶりに朱の点が体側にあるアマゴが釣りたい。そんな思いから訪れたのは山梨県の笛吹川。天下の武将、武田信玄ゆかりの地を流れる川で、富士川から遡上するサツキマスや本流アマゴが釣れます。
昔から暴れ川と呼ばれ、大きく蛇行しないで一気に駆け下る川相は上流でまとまった雨が降ると釣りにならないこともありますが、普段は初心者も気軽に竿を振れるような川幅で、交通の便も良く、近くには石和温泉(いさわおんせん)があるなど、気軽に行ける本流の一つです。
前日は夕方に到着して河川状況の確認をしました。車を走らせ、左岸・右岸から見て良さそうなポイントをセレクト。もちろん駐車スペースも気を配りました。その後、地元の昭和町にある釣具店さんへ足を運んで雑談。最近の河川状況を尋ねると、ときどき大物が釣れているものの、渇水が続いて良い状況とは言えないとのことでした。
店内には地元の釣り用品が多数並べられ、興味津々に眺めるのはいつもの私。各地の釣具店に立ち寄るのも楽しみの一つになっています。店内で売られていたミミズは見たことのないパッケージだったので、思わず4箱も大人買いしてしまいました。(笑)
夕食は創業100年と書かれたラーメン店。言葉を無くすほど魚出汁のつけ麺が旨く、私の舌を満足させてくれました。
翌朝、コンビニで遊漁券を購入した後、中流域にある万力公園付近から釣り開始。タックルはSUPER GAME BASIS(スーパーゲーム ベイシス)ZP[H80-85]、ライン:0.4~0.6号、ハリ:6号~7.5号、オモリ:ガン玉1号~2B。両側に生い茂る葦を掻き分けながら川に立つのは予想以上に大変でした。水温の高い夏時期は酸素量の多い流芯、水温の低い支流との合流付近、水深のある瀬落ち、水通しのいい葦際、伏流水が湧き出ているところなどがポイントになります。
さっそくミミズに反応したのはウグイ。ハヤとも呼ばれる魚で、水温の高いこの時期はとくに釣れる魚です。エサを変えることも大切なので、川底の石を剥がしてクロカワ虫を採取。ハリを肩から通して胴体の横から針先を出すように刺し、流芯を流していくと、コツコツと魚信を伝えてくるのはウグイばかり。数キロ上流にある富士見橋までの間を車で移動しながら竿を出すものの、本命らしきアタリはありません。
この日の気温は35度。ギラギラと輝く太陽を見上げ、額に流れる汗を拭いながら考えました。少しでも低水温の川はないだろうか…。そこで思いついたのは発電所からの放水が流入する早川。思い切って1時間かけて移動することにしました。
富士川支流の早川は下流域は水量が乏しく見えますが、上流にある東京電力早川第一発電所で取水されるのが原因。それより上流になれば水量は豊富にあります。立ち入り禁止の発電所付近を避け、上流にある大きくカーブした淵を目標に入川しました。
ポイントに立つと以前に訪れたときと川相が違いました。砂利底であるため、大水で一変したからでしょう。それにしても広い河原。景色も良くて水も澄んで気持ちいいものです。
しかし、ここでも本命の魚信がありません…。水流が強くて砂の舞い上がるようなところにはいないので、流れ込みの白泡付近を中心に狙います。やはり釣れるのはウグイと小型のアマゴ。
夕暮れが迫り、周囲の山影が河原に落ちてきた時刻。最後のポイントは強い流れが岩に直角に当るところ。流れにエサを馴染ませても、すぐに仕掛けが下流へ吐き出されてしまいます。その下流を見ると、浅瀬ですが水流が乱れていないところを発見。大物が定位していることがあるので、ガン玉2Bを2個付けて、ゆっくりと流してゆくと予想通りに目印が止まりました。
クルクルとローリングする銀鱗の魚体。ときどきハリをはずそうと口を開いてもがく姿はアマゴ特有のものでした。あまり強く引っ張らずに、竿の弾力が効く角度を保持。魚のパワーを吸収するように心掛け、焦らずにじっくり待つと、手前の緩い流れに寄ってきました。しっかりと顔を水面から出してからタモに導くと尺アマゴ。
魚体が白く感じるのは白い川底と同化しているためでした。いつまでも眺めたい美しい魚体でしたが、秋の産卵で多くの子孫を残してほしいと願い、いつものように優しく流れに戻しました。
誰でも気軽に本流釣りが始められるように作ったBASIS(ベイシス)シリーズ。リーズナブルな値段でありながら、上級者モデルに匹敵するほどの性能は皆さんに納得していただけると思います。大物を数多く釣り上げた実績。そのノウハウを入れ込んだ竿を使っていただき、記憶に残る一匹を釣り上げてください。山梨県の自然と渓流。地元の釣り友。同行カメラマンに感謝です。もちろん、最後まで熟読してくださった皆様にも感謝です。次回は、長野県の釣行記。楽しみにしてください。