2020.04.21
「春告魚」との異名を持つメバルは、その名のとおり春によく釣れる魚。1〜2月の釣り物が少ない時期から釣れる貴重なターゲットです。
メバル釣りといえばノベ竿を使った探り釣りや、磯竿でのウキ釣りで狙うのが一般的です。近年はルアーのメバリングで気軽に遊ぶ人も多いでしょう。しかし、私は「投げメバル」で春の夜を楽しんでいます。
「投げメバル」とはどのような釣りか。
投げ釣りのコラムで紹介しているのでおおよその察しはつくかと思いますが、私が実践する投げメバルとは、投げ釣りのタックルを使った超遠投スタイルのメバル釣りです。重量級のウキを使い、平均して80m、追い風ならば100m前後まで仕掛けを遠投してメバルを狙います。
この釣りの魅力は、なんといっても大型が釣れることです。投げメバルでは、通常のウキフカセ釣りの軽い仕掛けやメバリングのフロートリグでも届かないポイントをダイレクトに攻めます。このような手付かずのポイントは大型の個体が温存されているばかりか、スレていないので3号クラスのデカウキを一気に消し込んでいきます。私のホームグラウンドである神奈川県の湘南〜西湘エリアでは、尺クラスは普通、ときとして35cmオーバーのモンスタークラスが喰ってきます。
竿は軟らかめの投げ竿を使います。私は「サーフランダー405EX」を使用していますが、特にこれでなければダメということはなく、普段シロギス釣りで使っているものを流用すればよいと思います。
ただ、できればある程度の長さはほしいところです。サーフで竿を出す場合、竿を立て気味にして波に道糸を叩かれるのを抑える必要があるからです。4m以上あれば問題なく使用できます。
遠投用磯竿の4〜5号を使ってもよいでしょう。
リールも遠投仕様のスピニングリールであれば、普段の釣りで使っているものの流用で構いません。ただ、大型のメバルが喰ったときは多少やり取りしたいこともあるので、もし新たに購入するのであれば、「サーフリーダーSD35」のようにドラグ付タイプがおすすめです。
PEラインの0.8〜1号をメインラインに、その先へ力糸としてPEテーパーラインの1▶6号を結んでいます。投げメバルで使用する電気ウキはシロギス狙いのテンビンほど重くはないので、力糸はPE3号あたりでよいかもしれません。ライン関連は、基本的にシロギス狙いのメインラインをやや太めにしたものと考えて差し支えありません。
投げメバルは夜釣りがメインとなるので、ウキは電気ウキを使用します。それも単三乾電池が2つ入る、昔ながらの大型電気ウキを使います。このくらい自重のあるウキでないと100m近い遠投は不可能ですし、このウキをキャストするからこそ、投げ釣りタックルが必要だといえます。
オモリ負荷は3号前後が目安。仕掛けはオモリを打たないノーシンカースタイルです。止水ではポッコリと頭を出して浮き、繊細にはほど遠い状態で使いますが、これでもメバルが喰えば一気に消し込みます。むしろ、オモリでヘッドが海面ギリギリになるまで沈めてしまうと、サーフ独特の大きなウネリに揉まれてしまい、アタリがわかりにくくなってしまいます。
私の投げメバルタックルで、最も特徴的なのがテンビンを使う点かもしれません。一般的なウキ釣り仕掛けで用いるゴム製のウキストッパーは至近距離への投入なら問題ありませんが、投げ竿でフルキャストする釣りでは仕掛け絡みが頻発します。絡みを防ぐために、現時点ではテンビンを使うほうがよいと思っています。
私はウキに合わせた専用のテンビンを自作していますが、市販品を使うのであれば、湘南テンビンや名古屋テンビンが使いやすいかと思います。
ハリスはナイロン、もしくはフロロカーボンの1.5号前後を使用します。長さは矢引〜1ヒロ。ウキはスナップでテンビンに固定するので、ウキ下は必然的に固定となり、ウキ下はハリスの長さにて調節することになります。
なぜ固定ウキでも釣れるのか、なぜ浅ダナ狙いなのかは、後の釣り方解説部分で詳しくご説明します。
ハリはメバルバリやヤマメバリの10号を中心に、その前後の号数を使い分けます。メバルは口が大きく、またエサもアオイソメを1匹掛けで使うので、基本的にハリは大きくてもよいと考えています。メバルの活性がよほど低くないかぎりは、ハリが大きいほうがやり取り中のバレも少ないと思います。
エサはアオイソメを使用します。ウキ釣りではオキアミやモエビなども用いられますが、遠投したときの外れにくさを考えると、やはりアオイソメが多くの面においてベストかと思います。
エサ使いの基本は、ズバリ“アピール重視“です。アオイソメは太めのものを選び、動きを活かすよう1匹掛けにします。
メバルは沖の沈みテトラや沈み根といった障害物周りに棲息しています。それも海藻が多い場所ほどメバルの着きもよいようです。したがって、これらメバルが身を隠せる場所ほどよいポイントといえます。
私がよく釣行する神奈川県西湘一帯のサーフは、70〜80m沖に浜の浸食防止を目的としたテトラが入っており、この周りを狙います。このような場所は全国にあると思いますし、沖に沈み根が点在する場所は無数にあります。サーフに限らず、堤防や磯場でも投げメバル釣りは可能です。
メバル狙いのベストタイムは、日没から2〜3時間です。アジはマヅメの薄暗い時間帯から喰いが立つこともありますが、メバルは完全に暗くなってからが勝負です。ただ、一晩中釣れ続くことはほぼなく、一定の時刻を境にアタリが散発になります。私の経験では午後9時あたりからアタリが遠のくので、このタイミングで竿を納めることが大半です。
釣り方は、設定したポイント近くへ仕掛けを投入し、あとは潮なりに流すだけです。ただ、サーフは波口で道糸が揉まれてしまうので、竿を立て気味にして波をかわすようにします。
サーフは広く、自由に動くことができるので、仕掛けの流れに合わせて足場を移動するとよいでしょう。横流れがあるときは、浜と平行に100m以上も歩くことがあります。
よくメバル釣りはナギの日が有利と言われますが、私の経験では多少波っ気があっても問題なく喰うようです。潮回りも満潮からの下げっぱな、干潮からの上げっぱなといった潮変わりに喰いが立つ傾向はあるものの、サーフに限って言えばあまり潮位は関係ありません。
潮位よりむしろ、流れの有無のほうが釣果に影響します。投げメバル釣りは、コマセを使いません。一応ウキ釣りではありますが、一般的なフカセ釣りよりは、探り釣りの感覚に近いように思います。
したがって、潮は動いているほうがポイントを広く探れるため有利です。それも海中の障害物に沿って流れる状況がベストです。流れがなくても風が仕掛けを押し、ポイントを「線」で探れるなら問題なく釣れます。
アタリは明確で、あの大きな電気ウキの灯りが一気に海中へ消えることがほとんどです。頭を上に向けて定位し、頭上にエサが流れてくると勢いよく浮上してエサを喰います。沖のポイントはほぼ手付かずで、魚もほとんどスレていません。前述のように私の仕掛けは浅ダナの固定ウキですが、これでも十分喰ってきますし、普段は底にいるカサゴまで同じ仕掛けにヒットするほどです。
アタリがないときは、ハリスを長くしてウキ下を深くしたり、ハリ元にソフトタイプの夜光玉を入れるなどしてアピール度を高めます。