2019.04.15

投げ釣りタックルを駆使した「投げエギング」で沖のアオリイカを狙い撃つ!
[ 山本 修 ]

Vol.2 実践編・投げエギングのタックルと釣り方

「投げエギング」ってどんな釣り?

投げエギング─
前回の釣行記をお読みいただいた方はお分かりかと思います。投げエギングとは、投げ釣りのタックルを用いたエギング釣法のこと。サオやリール、ライン、テンビンまでは一般的な投げのシロギスタックルと同じです。テンビンから先の仕掛けが、リーダーとエギに変わったものと思ってください。

通常のエギングでは、エギの重さでキャストします。しかし投げエギングはオモリの重さでエギを遠投します。一般的なエギングでは、追い風に乗せても飛距離50m前後が限界でしょう。しかし投げエギングでは、一般的なエギングタックルでは届かないポイントを攻めることができます。

エギはシロギスの吹き流し仕掛けよりも空気抵抗が大きいため、7色、8色といった大遠投は無理としても、それでも100m前後は投げることができます。沖のポイントに着いているアオリイカは、まだエギを見たことがないウブな個体が多いものです。私がこの釣りを始めた当初は、ワゴンセールで売られている100円のエギでもアオリイカがガンガン乗ってきました。

エギングでは届かない沖のポイントを狙うのが投げエギング。エギを見たことがない個体がターゲットです。

100m先のポイントでドスンと乗せる快感。投げエギングは投げ釣りタックルでしか楽しめない釣りです。

また、投げエギングはキャストに必要なウエイトをオモリに依存するので、エギのサイズを選ばないというメリットがあります。たとえばイカがスレて大きなエギを見切るような状況下では、エギのサイズを小さくしたい場面です。エギのサイズを落とせば当然ウエイトもダウンするので、通常のエギングでは、ある程度飛距離を諦めなければなりません。

その点、投げエギングはエギのサイズを落としても飛距離はさほど変わりません。100m先のポイントで2.0号クラスのミニエギをしゃくることも可能なのです。
私が投げエギングを始めて3シーズン目です。まだ明確なセオリーが確立されていない投げエギングは、今もなお発展途上の釣りといえます。

投げタックルは、数ある釣りジャンルのなかでも最も遠投力に長けたタックルであり、投げ釣りで培ったキャスティング技術は、投げエギングにおいても活かされます。未到のポイントを攻める超遠投エギングは、投げ釣りタックルでしか楽しめない釣法といえるでしょう。

投げエギングのタックル

竿

特にこれでなければならないというものはなく、普段のシロギス釣りで使用している竿をそのまま流用できます。シロギス釣りでは着底したオモリをゆっくりサビく動作がメインとなるところ、投げエギングではエギに時折アクションを加えることから、私は軽量で操作性に優れた“ちょっと短め&ちょっと軟らかめ”の『スピンパワー365FX+』を愛用しています。

重さが気にならなければ4.05m、4.25mでも問題ないし、竿は長いほど飛距離面では有利です。硬い竿に重めのオモリを合わせれば、さらに飛距離を稼げるはずです。私は操作性と自分の体力を考慮してショートロッドを選択していますが、竿は好みで選べばよいでしょう。

竿は“ちょっと短め&ちょっと軟らかめ”のスピンパワー365FX+。特別なものは必要なく、普段の釣りで使っているものでも十分です。

リール

リールもシロギス釣りで使用しているものをそのまま使えます。投げエギング用として購入を考えているのであれば、アクション操作を楽に行えるよう、極力軽いリールをおすすめします。

私が愛用しているのは30mmストロークのコンパクトな『サーフリーダーCI4+ 30極細仕様』。軽量で取り回しやすく、ショートロッドとの組み合わせにより、楽にエギを操作することができます。

リールはコンパクトなサーフリーダー CI4+ 30極細仕様。軽量で繊細なロッド操作も意のままに行えます。

ライン&力糸

PEラインの0.8号をメインラインに、その先へ力糸としてPE3号を結んでいます。投げエギングでは重いオモリをフルキャストするような釣りではないので、力糸はシロギス狙いのときよりも細くしていますが、メインラインはシロギス釣りで使っているものとまったく同じです。

テンビン

テンビン(オモリ)もシロギス釣りのものをそのまま使用しています。私は竿の硬さとのバランスで20号をメインとしていますが、硬めの竿でさらに沖を狙いたいのなら、23号、25号と重いものを用いてもよいでしょう。

オモリはムクのものでも釣りにはなりますが、エギを自然に漂わせてイカに見せることを考えると、一気に底へドスンと落ちてしまうオモリはあまり適していないように思います。
私がよく使うのは、ナマリの上部に木を合わせたウッドシンカーです。空中では号数どおりの重さがありますが、水中では木の浮力がナマリの沈下を抑制してくれます。エギ自体が持つフォールアクションを損ねにくく、引く感触も軽いのでおすすめです。

オモリはナマリの上部に木を合わせたウッドシンカー。水中での比重が小さくエギのフォールアクションを損ねにくいのが特長です。

リーダー

テンビンの先にフロロカーボンの3号を結び、これをリーダーとしています。長さは現在も模索している最中で、前回の釣行記では1ヒロ半と長めに取りました。

リーダーは長いほどエギのフォールレンジを広く取ることができ、イカに長時間エギを見せられます。しかし、リーダーを長くするほどキャストが難しくなり、絡みなどのトラブルも増えます。リーダーの長さは、自分のキャストスキルや、風などの状況を考えて決めるとよいでしょう。

エギ

エギは2.5〜3.5号を使い分けています。
私の場合、エギのサイズは気にしますが、カラーはピンク系とオレンジ系が大半で、それ以外はほとんど使いません。もともと夜釣りがメインということもあり、イカの目に付きやすい(と思う)派手なカラーを好んで使用しています。

エギは3号を中心に、その前後の号数を使い分けます。カラーはピンク系かオレンジ系の目立つものが好みです。

釣り方・一連の手順

基本的な釣り方はズル引きです。エギング創生期の釣り方を、投げ釣りのタックルで行うイメージです。

仕掛けを遠投し、まずはボトムを取ります。ボトムが取れたら、1回大きくシャクリを入れてリーダーを伸ばすとともに、エギの存在をアピールします。その後はオモリで底を感じながら、ゆっくりエギを引いてきます。エギは海底近くのレンジを漂いながら、ユラユラと泳いでいるはずです。

このままズル引いてきてもよいのですが、私は引く途中で何度かシャクリを入れ、エギを跳ね上げます。投げエギングはオモリを使用するので、どうしても底中心のアプローチになりがちです。エギを跳ね上げるのは、中層に浮いている個体や、上を意識している個体に対して、エギを見つけてもらうための操作です。

エギを50mラインまで引いてきたら、私はここで回収してしまいます。これよりも近いポイントは、通常のエギングで攻められているエリアです。もちろん、このエリアで釣れるのであれば波口までエギを引きますが、大概の個体はスレていると考えられます。であるならば、近いポイントは無視して沖を集中的に狙うほうが効率的、というのが私の考えです。

アタリは引く途中でググーッと感触が重くなるケースがほとんどです。アタリがあったらテンションを緩めないことだけ注意して、ゆっくりと寄せてくればOK。ランディングは波のタイミングを見て浜へズリ上げます。

フルキャストでエギを遠投。投げ釣りで培ったキャスティング技術が発揮される場面です。

投げエギングではズル引きがアプローチの基本。時折竿をしゃくり上げて、イカにエギの存在をアピールします。

乗らないときの一工夫

確実に底を取れる投げエギングは、ボトム付近を狙う精度に長けている一方で、表層〜中層を狙う釣りは不得手といえます。

中層に浮いたイカを狙う方法としては、オモリをウッドシンカーや発泡オモリなどに替えるというのがひとつ。浮力材とナマリを併せたタイプのオモリは、空中では重く、水中では軽い(=比重が小さい)という特性があります。このタイプのオモリを使って底を切った状態で巻くことで、中層にエギを通すことができます。ただし、中層をキープしたままゆっくりエギを引くためには、ある程度オモリの号数を落とす必要があるでしょう。

もうひとつ、エギをフォールの遅いタイプに替え、リーダーを長くすることで、エギが中層に漂う時間を長く取るという方法もあります。そえでもエギのフォールが速すぎるときは、エギに仕込まれたオモリをニッパーなどで切って、エギのウエイトを落とすとよいでしょう。

小さなエギでも飛距離が落ちないのが投げエギングのメリット。積極的にエギをローテーションして、イカのスイッチを入れることを心掛けましょう。

イカの気配があるのに乗ってこない、イカがエギに触るのに乗らないといったときは、エギを引く速度を変える、エギのサイズを小さくするなどして対処します。投げエギングには、エギを小さくしても飛距離が落ちないというメリットがあります。むしろ、小さく軽いエギほど、投入時に絡まりにくいといえます。

2号、2.5号といった小型のエギで沖を攻められるのが投げエギングの武器。積極的にエギをローテーションして、一般的なエギングでは釣れないアオリイカをゲットしてください!