2020.5.13

ノントラブルで快適釣行名手のタックルメンテナンス [ 伊藤 幸一 ]

Vol.2 リール編①/本体のメンテナンス

年に数回はグリスとオイルでメンテナンス

第2回目の今回は、リールのメンテナンス。前回のロッド同様、日頃の手入れは釣行後に流水で軽く汚れを落とし、水気を拭き取って乾燥させる程度。時々ラインローラーの固定ボルトやハンドルの軸受け部分などに注油するくらいで、これといって特別なことはしていません。これだけでも、よほどのことがないかぎり不具合は起こりませんが、年に数回はボディ内部のギア周りにグリスを補充したり、ラインローラー内の清掃をします。

日頃のメンテナンスは釣行後に流水で汚れや塩分を落とす程度ですが、年に数回は各部にグリスアップと注油を行います。盛期を迎える前に、リールのコンディションをベストな状態に整えておきたいものです。

リールの手入れで注意していただきたいのは、「無闇に分解しないこと」です。シマノのリールは精密にできており、特殊な工具を使って緻密に管理している部分もあります。一度分解してしまうと、組み直しても元の巻き心地に戻らないこともあるので、ギアにゴロつきを感じるほどのレベルになったら、オーバーホールに出すことをおすすめします。

ボディ内部のメンテナンスで使用する「リールグリススプレー」と「リールオイルスプレー」。パーツや箇所によって、グリスとオイルを使い分けます。リールのパフォーマンスを最大限引き出すために、必ずシマノの純正品を使用してください。

フリーゲンなどに採用されているXプロテクト構造のラインローラー一体型ベアリングには、特殊撥水グリス(DG18)を使います。DG18はパーツ扱いでお取り寄せいただけます。

メンテナンスの手順

それでは、私のリールメンテナンスの手順を説明します。サンプルとしてメンテナンスを行ったのは、ラインローラー部にXプロテクト構造を採り入れた「フリーゲン」です。製品によって、また箇所によって適切なオイルやグリスが異なるので、事前によく確認してください。

①ボディからスプールを外す

作業効率と後の乾燥を考えて、ボディからスプールを外しておきます。

ボディからスプールを外しておくと、後の作業がしやすくなります。

②流水で汚れを落とす

シャワーで表面に付いた汚れを落とします。高温のお湯は潤滑オイルまで落としてしまうので、冷水で汚れを流してください。

冷水のシャワーで表面に付いた汚れや塩の結晶を落とします。

③水気を拭き取って乾燥させる

軟らかいタオルなどで水分を拭き取り、陰干しにて乾燥させます。
水分を拭き取った後、エアスプレーなどで隙間の水分を飛ばすこともおすすめしますが、その際は逆にボディ内部に水滴が入り込まないよう、ご注意ください。

表面の水気を拭き取って陰干しします。普段のメンテナンスは、だいたいここまで行えば十分です。

④注油するために必要なパーツを外す

まずはボディ内部のギア周りのメンテナンスです。各部へ注油するために、オイルインジェクションの注油穴キャップ、ハンドルスクリューキャップ、ボディ後方のボディガードを外します。

ハンドル脇にあるオイルインジェクションの注油穴キャップをマイナスドライバーで外します。

ハンドルスクリューキャップは手で簡単に外せます。

ボディガードはボルト1本で固定されています。ネジ山が崩れないよう、ドライバーで慎重に外してください。

キャップ、カバー類を外し終わったところ。個人でのメンテナンスでは、これ以上の分解はしません。

⑤注油部分周りの汚れを落とす

キッチンペーパーなどで劣化したオイル類を拭き取ります。ボディ内部にゴミなどが入らないよう注意してください。

注油口周りには付着した劣化したオイル類は、注油の前に拭き取っておきましょう。

⑥ドライブギア周りをグリスアップする

ドライブギア周りにはグリスを使用します。使用中に流れた分を補充するくらいの感じで、少量吹いてはハンドルを回すことを数回繰り返し、ギア全体へグリスが行き渡るようにします(ドライブギアの歯面に少量で十分です)。

ドライブギア周りのメンテナンスにはグリスを使用します。「リールグリススプレー」は狭い箇所にも手を汚さず充噴することができます。

ボディカーバーを外すと見える大きな歯車がドライブギア。スピニングリールの心臓部です。

グリスを少量吹いてはハンドルを回し、ギア全体へ行き渡るようにします。

⑦ウォームシャフト、ピニオンギア周りに注油する

オイルインジェクションからウォームシャフトやピニオンギア周りへ注油します。ここではサラッとしたリールメンテナンス用のオイルを使用します。

ウォームシャフトやピニオンギア周りにはサラッとしたタッチのオイルを差します。リールの性能を引き出すためには、「リールオイルスプレー」などシマノ純正のオイルを使用してください。

オイルインジェクションはボディ内部へ簡単に注油できるシマノ独自の機構。かつてはボディを開けての大掛かりな作業でした。

⑧ハンドルのベアリング周りに注油する

ハンドルシャフトを受けるベアリング周りに注油します。この箇所以外に、ハンドルノブの回転部分、スプール軸の受け部分に注油しておいてもよいでしょう。

ハンドルシャフトを受けるベアリング部分に注油します。オイルは少量でOKです。

⑨ラインローラー周りのパーツを取り外す

次にラインローラー部分のメンテナンスに移ります。まずは固定ボルトを緩めてパーツを取り外します。

ラインローラー部分のパーツは、固定ボルトを緩めて取り外します。

アームカムをゆっくり広げていきます。アームカム側にはベールを戻すためのバネが入っており、一気に広げるとパーツが飛び散ってしまうので慎重に作業を進めてください。

アームカムを広げたらパーツを取り外していきます。

取り外したパーツは、組む順番と向きがわかるよう並べておくとよいでしょう。

⑩パーツの汚れを落とす

キッチンペーパーや綿棒などを使い、汚れや劣化したグリスを落とします。

アームカムのベアリングが収まるスペースには劣化したグリスが付着しているので、これを綺麗に落とします。

ベアリングその他のパーツも、付着している古いグリスを拭き取ります。このときベアリングの回転もチェックしておきましょう。少しでも回転が引っ掛かるようであれば交換するのが無難です。

⑪ベアリング部分にグリスを充填する

ベアリング部分にグリスを充填していきます。フリーゲンなどに採用されているXプロテクト構造のラインローラー一体型ベアリングには、特殊撥水グリス(DG18)を使用してください。
※ 特殊撥水グリス(DG-18)を以下の部分に塗布するのはやめてください。機能を損なう恐れがあります。
- ドラグ部(ドラグは専用グリスの塗布が必須となります)
- ギア/ウォームシャフト部
- ローラークラッチ部(DG-18に限らず、ローラークラッチ部にはグリス全般が付着しないようご注意ください)

Xプロテクト構造のラインローラー一体型ベアリングには、必ず純正の特殊撥水グリス(DG18)を使用してください。ベアリングの内部は非常に複雑、かつ精巧なので、これ以上は分解できません。
DG-18は手についたまま、火気に近づけると有害物質を発生します。気になる方は、ゴム手袋など使用されるか、喫煙される方は、たばこをグリスの付いた手で吸わないようにご注意ください。また、塗布後、すぐに高速回転するとグリスが飛び散ることがございますので、衣服についたり、目に入らないよう、ご注意ください。

グリスアップしたパーツを元どおりに組み込めば、リール本体のメンテナンスは完了です。

私が個人レベルで行っているリールボディのメンテナンスは以上です。リールに機能的な不具合があり、グリスアップと注油で解消しない場合は、オーバーホールに出すことをおすすめします。
上記のような簡単なメンテナンスほか、シマノHPでも動画でご案内しております。あわせて、ご確認ください。


次回はスプールに巻いたラインのメンテナンス法について解説します。

vol.3に続く