2019.02.28
カレイの盛期は秋口から冬にかけての「乗っ込み」と、春の「落ち」の2つになります。乗っ込み期はまだ水温が高く、カワハギやフグといったエサ取りが多いうえ、マダイやチヌなど大型のゲストも喰ってくるという特徴があります。厳寒期から落ちにかけてはエサ取りが少なく、ポイントに仕掛けを止め、じっくりアタリを待つという表現がピッタリですが、高水温期にこんなノンビリとした釣りは、まずさせてもらえません。
仕掛けを投入しても、ものの数分でエサが取られてしまうことはザラ。竿を4本以上出していたら、最後の1本を投げ終わったらすぐに最初の仕掛けのエサを付け替えるようで、腰を下ろす暇もない日もあります。したがって高水温期のカレイ釣りは、打ち返しの早い釣りがメインとなり、エサや仕掛けにも厳寒期とは違った工夫が必要になります。
ただ、アタリがない時間帯であっても、カレイは産卵のために浅場へ入ってきているのであり、そこそこの活性が期待できます。これは私の考えですが、実績のある場所、実績のある時期、また直近にカレイが釣れた情報のある場所には、ほぼ間違いなく至近にカレイが入ってきています。
私はエサ取りが極端に多い状況下でも、近くにはカレイがいると考えています。エサ取りもカレイも活性は常に一定ではありません。1日竿を出していると、エサ取りの活性が落ち、エサがハリに残ってくる時間が数回は訪れます。これはつまりカレイの口元へエサが届きやすくなるということ。エサが取られなくなったなぁと思った矢先に、ガツンとアタリが出ることも少なくありません。
エサ取りが多い高水温期は、まず手返しスピードを早くしてエサのチェックをマメに行うこと。そしてエサ取りの活性が落ち、カレイの活性が高まる気配があるときは、カレイにしっかりとエサを見せてアピールすること。この2点が大切です。
カレイのポイントはカケアガリに代表される地形の変化。ここに仕掛けを止めてアタリを待ちます。仕掛けを投入し、オモリが着底したらゆっくりと仕掛けを引いてきて、感触が重くなった箇所がカケアガリです。
乗っ込み期におけるポイントの設定や釣り方の手順は、基本的に厳寒期と同じですが、決定的に違うのが“打ち返しのスパン”です。
先述のように水温の高い乗っ込み期はエサ取りが多く、悠長にしているとカラバリだけの仕掛けが海底にズラリと並ぶことになります。
高水温期はこまめに仕掛けを回収し、エサを確認してから投入し直します。
フグが多いときは、仕掛けを上げたときにハリスも必ずチェックしましょう。少しでもキズが入っていたら即交換。前回ご紹介したように、あらかじめチチワ付きのハリスを結んだハリを用意しておくと便利です。
カレイは複数のタックルで狙うのが基本ですが、エサ取りが多い状況下ではじめから多くの竿を出してしまうと、エサのチェックが追いつかず、管理が行き届きません。まずは2本くらいで釣り始め、エサが取られないようであれば、徐々に竿を増やしていく方法がおすすめです。エサ取りが極端に多いときは、2タックルでも忙しい釣りになります。
エサ取りが多いなかでカレイを喰わせるために考えるべきことは、“カレイのポイントへ、いかにしてエサを長時間置いておくか”です。こまめに仕掛けを打ち返し、エサをチェックするのもひとつの方法。これだけでもカラバリを海中に置いている時間を短縮できるはずです。
しかし、エサ取りが極端に多い場合、手返しを早めるだけで対処するにも限界があります。
そこでキモとなるのが“エサ使い”です。エサ取りがうるさい時間帯はエサ取りが口にしない、あるいは口にする魚種が限られるエサをメインに使い、エサ取りが減った時間帯は匂いが強いエサや動きのよいエサで喰いのよさとアピール力を優先する、という使い分けです。
前回は高水温期の瀬戸内で用意したエサを4つご紹介しました。そのうち、ユムシや塩マムシ(塩ホンムシ)はハリ保ちがよく、エサ取りが多い時間帯に有効なエサです。ユムシは口にする魚が限られており、フグやカワハギが多くても勝負になります。塩マムシは身が締まっており、エサ取りに多少囓られた程度ではハリから外れません。
一方、匂いの強い本虫(イワイソメ)や、動きのよいアオムシ(アオイソメ)は、多くの魚が好むエサで、カレイの大好物でもあります。エサ取りが多い時間帯にこれらを使うと、あっという間に取られてしまいますが、エサ取りの活性が落ち、カレイの喰いが立ったのであれば、本虫やアオムシで積極的にアピールしたいものです。
それぞれを単体でハリ付けするほか、カレイ釣りでは異なるエサを1つのハリに付けるミックス掛けも多用されます。本虫とアオムシのミックス掛けはポピュラーな装餌法ですが、エサ取りに対処しながらカレイの活性を探りたいときには、ユムシとアオムシのミックス、塩マムシとアオムシのミックスも効果的です。
何が奏功するかはわかりません。大きくハリ付けするか、コンパクトに付けるか。1匹掛けか、房掛けにするか。思いついたことは何でも試してみてください。
仕掛けのトラブルは釣りのリズムを崩す原因のひとつ。特に手返しの早い高水温期の釣りにおいては、仕掛けの手直しする時間は大きなロスとなります。置き竿の釣りでよくあるのは、複数の仕掛けが絡まるオマツリですが、ちょっとした気配りでトラブルを回避することができます。
複数のタックルを管理するためには、まず“竿を欲張らないこと”です。高水温期の釣りは打ち返しが多いうえ、瀬戸内のように潮が速い釣り場では、投入した仕掛けが潮下へ流されます。こんなときは、潮下まで流された仕掛けを回収して潮上へ投入し直し、随時竿を並べる順番を入れ替えていきます。
潮が速いときに多くの竿を出してしまうと、竿の入れ替えが追いつきません。手返しに要する時間を計算し、きちんと管理できるだけの竿数に抑えることがオマツリを防ぐコツです。1つの三脚に掛ける竿は2本までとし、竿同士の間隔を極力空けるようにするのもよいでしょう。
また、使用する道糸とオモリの号数も揃えておくことです。道糸が太いほど水流抵抗が大きくなり、オモリは軽いほど流されやすくなります。1つでも流される速度が違う仕掛けがあると、それだけオマツリのリスクも高くなることを覚えておいてください。
根掛かりが多い場所では、ハリ数を抑えるとよいでしょう。カレイ仕掛けのハリ数は2本前後が標準かと思いますが、シモリだらけの場所では根掛かりばかりで釣りにならないこともあります。このようなケースを考えて、私は常に1本バリ仕掛けを持ち歩いています。
仕掛けとは関係ありませんが、玉網はぜひとも用意したいアイテムです。高水温期はカレイ以外にもマダイやスズキといった大型外道も喰ってくる季節です。喰わせた魚は玉網で確実に取り込みましょう。