2017.11.20
真鯛釣りは一般的に、潮が大きく動く大潮回りがよいなどと言われていますが、私自身、真鯛は潮回りよりも当日の潮の動きや時合で喰うことが多いように思っています。潮がまったく動かないよりは、少しでも潮が動いているほうがよい、というくらいの認識です。
今回釣行した瀬戸内のように干満の差が大きく、速い潮が複雑に流れる地域では、渦を巻いて流れていた潮が緩んだときに喰ってくることが多いように思いますし、日本海のように干満差がなく、潮の流れが乏しい地域では、止まっていた潮が微かに動いた瞬間に道糸が走ることもあります。
真鯛はその海域の環境や潮の流速に慣れているので、この潮回りがよいと一概にはいえません。釣り場ごとに真鯛の喰いが立つ時合が異なるので、まずは自分が釣行する釣り場の傾向を知ることが大切です。
天候については、私の場合はあまり気にしていません。
投げ真鯛は夜釣りが中心ということもありますが、晴天でも曇りでも、雨が降っていても、人間が我慢して竿を出せる程度の天気であれば、まんべんなく真鯛は釣れました。潮色は澄みすぎていてもよくないのですが、最も避けたいのは濁っているときです。特に台風や大雨が降った後の、川から真水が流れ込んだときに見られる白っぽい濁りはよくありません。いわゆる「水潮」と呼ばれるものです。
この濁りが入ると塩分濃度が下がって真鯛の活性が上がらないばかりか、フグが多くなるため、釣りの効率もガクッと落ちます。釣行当日が好天でも、直前に大雨が降ったときは釣り場を慎重に選ぶ必要があります。河口が近く、川水の影響を受けやすい場所は避けたほうが無難でしょう。
真鯛の喰いが立つ条件として、何よりも重要なのが「潮が動いている」ということ。
ひと口に潮が動くと言っても、地域や潮回りなどによって流速や押しの強さが異なりますが、前述のように真鯛は流速に慣れる魚なので、単純に潮が何ノットで流れたから喰うというものではありません。瀬戸内のような潮流が激しいエリアの個体は、速い流れの中でもエサを口にします。
ただし、潮が一本調子に流れるだけでは、なかなか真鯛の食性スイッチが入らないようです。速い潮が緩んだ、潮の流れる方向が変わったなど、潮流に何らかの変化が生じたときが時合になることが多いように思います。
時合の傾向は地域によって違うので、何度か釣り場に足を運んで潮のクセを掴むことが釣果への近道だと思いますし、釣れたときの状況を覚えておくと、後の釣行できっと役立つはずです。
潮の変化で見逃せないのが、瀬戸内などの潮流が激しいエリアでは速い潮が緩んで止まりかけたとき、日本海のような流れのおとなしい海域では、止まっていた潮が動き始めたときの2点です。特に後者は潮がわずかにフッと振れただけで、真鯛の喰いが立つことがあります。
潮がいつ変わるかが分かりにくい釣り場では時合を読みにくいのですが、干満によって流れが逆になる釣り場は、ある程度時合を予測することができます。満ち切った潮が湾奥で押し込み合って跳ね返ってくるなど、大概はタイドグラフの潮時と実際の潮変わりにズレが生じますが、このチャンスを逃す手はありません。この時間帯は集中して竿を出すようにしましょう。
瀬戸内のように大小の島が点在する釣り場では、潮が島に当たって複雑に流れます。満ち切った潮が湾奥で跳ね返り、別の潮と複雑に揉み合うことも日常茶飯事です。流れの向きはもちろんのこと、海面をよく観察して潮が競ってできるヨレや潮目の位置を見て、流れに変化のあるポイントを狙うことです。
真鯛は一定の場所に居着いているのではなく、潮や時間帯などによってエサを求めて回遊する魚です。
したがって、真鯛が回遊するルートをいかに見つけるかがポイント選びのカギになります。
ポイントの見方については、前回でも触れました。真鯛はフラットな砂地のど真ん中を回遊するのではなく、シモリやカケアガリといった海底に起伏のある場所に沿って移動します。カケアガリとシモリ周りは絶好のポイントといえるでしょう。
潮が速いときは、仕掛けが潮流に流されてカケアガリに寄せられた瞬間に喰ってくることもあります。これは逆に、仕掛けをカケアガリ付近に投入しても、潮に流されるとポイントから外れてしまうことも考えられということ。海底にエサを置く投げ釣りは、地形を狙う釣りといえますが、ポイントを選定するにあたって潮の向きは非常に重要です。
ポイント設定の精度を上げるには、竿を出す前の地形把握をおろそかにはできません。
私は釣りを始める前に、必ずオモリだけを投入して海底を引き、カケアガリの位置やシモリの有無を調べます。
オモリを引いてきて重く感じる場所がカケアガリです。状況によって攻め分けられるよう、できるだけ多くの地形変化をサーチしておきましょう。
地形以外にも、投入したオモリが着底するまでの秒数を数えておくと、おおよその水深がわかります。
道糸の角度を見ておけば、色分けされていないナイロンラインでもポイントまでの距離を掴めるはずです。
ポイント周辺の地形、水深、距離といった情報収集は、その後の攻めに大きく関わってくるので、綿密に行うようにしましょう。
vol.4に続く