2018.2.16

低水温期の人気ターゲット・カレイを釣りたい! [ 日置 淳 ]

Vol.1 カレイ釣りの概要

カレイ釣りの魅力

重量感のある引きと抜群の食味

カレイはシロギスと並ぶ、投げ釣りの代表的なターゲットです。
小気味よいアタリで楽しませてくれるシロギスに対し、カレイは重量感のある引きが魅力です。平べったい身体で最後の最後まで抵抗し、手前まで寄せてオモリが見えても、まだ魚体が見えてこないほどです。

また、カレイは食味がよいことでも知られています。新鮮なカレイの刺身は絶品です。甘辛く煮付けたものはご飯に合い、昔から日本の食卓を彩ってきた庶民の味ともいえるものです。この他にも、唐揚げや塩焼き、ムニエルにしても美味しくいただけます。釣れたカレイは氷でしっかり冷やし、丁寧に持ち帰りたいものです。

一時期は釣れなくなったといわれたカレイですが、熱心な稚魚放流事業の成果が現れたのか、大阪湾などではここ2~3年で30~40cmのマコガレイが釣れるようになってきました。

古くから日本の食卓を彩ってきたカレイは、投げ釣りでもシロギスと人気を二分するターゲットです。

穂先に出る多彩なアタリを楽しむ

カレイ釣りは竿を複数出して置き竿で狙うスタイルが一般的です。
エサ使いや仕掛けのバリエーションも多彩で、状況を見つつ、あの手この手で口を使わせるのが特徴であり、
カレイ釣りの楽しさであるといえます。

穂先に出るアタリもガツンと竿先を大きく揺らすもの、フワッと道糸がフケるものなど様々。
じっくりと喰い込ませ、合わせを入れた瞬間にドシッと手元に伝わる重量感は格別。手持ち竿でアクティブに釣り歩くシロギス釣りとは、また違った楽しみがあります。

カレイ釣りも真鯛と同じく置き竿でアタリを待つ釣り。竿先に出る微妙なアタリを察知して喰い込ませます。

釣れるカレイの種類

マコガレイとイシガレイが2大ターゲット

ひと口にカレイと言っても、世界にはおよそ60種のカレイが棲息し、日本国内の沿岸にも約30種のカレイが分布しています。地域によって釣れるカレイが異なりますが、本州沿岸ではマコガレイとイシガレイが2大ターゲットといえるでしょう。

マコガレイはカレイ類の代表的な種で、内湾性が強く身近な場所に棲息しています。砂泥地を好み、最大で60cm前後にまで育ちます。種類が多いカレイのなかで最も人気のある対象魚であることはもちろん、食味もトップクラスです。

イシガレイはマコガレイと人気を二分するターゲットで、体側に石状の突起物があることからこの名が付きました。
マコガレイよりも大きく育つので、アタリは比較的大きく、引きも強いのが特徴です。食味がマコガレイなら、イシガレイは釣り味といったところでしょう。

北海道や東北では多彩なカレイが釣れる

マコガレイやイシガレイ以外にも、地方によって様々なカレイを狙うことができます。
スナガレイ、マガレイ、ヌマガレイ、ナメタガレイをはじめ、北海道ではクロガシラガレイ、ソウハチガレイなど、本州ではお目に掛かれないカレイもよく釣れます。

カレイは冷水を好む魚で、東北や北海道など北の地域ほど釣れる種類が多く、型も期待できます。カレイの種類ごとに独特の釣趣があり、地域によって仕掛けやエサ使いに特色が見られます。当コンテンツではマコガレイとイシガレイを主体とした一般的なカレイ釣りをご紹介しますが、ローカル色豊かなカレイ釣りに触れてみるのも楽しいものです。

カレイ類の代表的な種であるマコガレイ。食味は多くのカレイのなかでもトップクラスです。

大きなアタリと強い引きで楽しませてくれるイシガレイ。マコガレイよりも大きく育ちます。

カレイの釣期

晩秋~春がシーズン

カレイの釣期は種類や地域によって異なりますが、本州のマコガレイ、イシガレイの場合は、晩秋から春にかけてがシーズンです。私のホームグラウンドである関西エリアでは大体10月くらいから、早い場所では9月の半ばから釣れ始めます。盛期はカレイの乗っ込み期にあたる秋と、「戻りガレイ」「落ちガレイ」と呼ばれる春になります。

乗っ込みガレイのピークは10~11月。12月の半ばになるとカレイが産卵に入ってしまい、釣果がガタッと落ちてしまいます。「先週までは喰っていたのに今日はアタリもない」というのがこの季節で、直近の情報を念入りにチェックして、産卵前の個体が入っている釣り場を選ぶようにしましょう。

戻りガレイは2月頃から少しずつ口を使い始め、5月の連休前後まで釣れ続けるのがパターン。ちょうど桜が開花する頃にピークを迎えるので、春の盛期を「花見ガレイ」と呼ぶ地域もあります。カレイはその風貌から想像できないほど移動の早い魚です。ちょっとタイミングが遅れただけで群れが抜けてしまうことも多々あるので、事前の情報は多く集めるのに越したことはありません。

北海道では初夏まで狙える

釣期も釣れるカレイの種類が豊富な北海道になると、かなり話が変わってきます。多くの場所では、5月の連休明けから8月にかけてが最もカレイが釣れる季節であり、厳寒期を除きほぼ周年にわたって狙える地域もあります。

5月以降といえば、本州の釣り人はシロギス釣りにシフトする季節。この時期に盛期を迎えるのは羨ましいやら勿体ないやらですが、初夏以降の北海道は季候のよい季節でもあるので、このタイミングで遠征釣行を企画するのもよいものです。

カレイの釣期は秋から春にかけて。仕掛けを作る手がかじかむ季節になると乗っ込みシーズンの終盤です。

タックルと仕掛け

振出竿&ドラグ付リールが主流

竿

カレイ釣りは複数の竿を出し、置き竿にしてアタリを待つスタイルが基本です。私は4本ほど竿を用意して、遠近に投げ分けてポイントを探ります。並継竿でも十分にカレイ釣りを楽しめますが、釣り場までの運搬性やポイントを移動するときなどの機動性を考えると、やはり振出竿がおすすめです。
私がカレイ釣りで愛用している竿は「スピンパワー425CX-T」です。標準錘負荷が30号で非常に繊細な穂先を備えていますが、キャスト時、取り込み時ともパワーは十分で、荒磯でコロダイやタマミなどを狙うとき以外はまったく不足を感じません。カレイ以外にもマダイなどにも多用する、近場でのメインロッドです。

竿はCXクラスの振出竿がおすすめ。4.25mとやや長めのものが活躍します。

長さは4.25mで、やや長めのアイテムを選んでいます。シロギス釣りで多用される4.05mより20cm長いだけですが、これだけで魚の浮きやオモリの回収がグッと楽になります。また、サーフ以外にも堤防や岸壁から竿を出すこともあるカレイ釣りでは、高い足場からの釣りも想定しなければなりません。ストロークの短い竿では抜き上げの途中で魚が外れてしまうことがあるのですが、20cm長いだけで取り込みやすさが数段アップするのです。これ以外にも、長めの竿には「遠投が利く」「手前の障害物をかわしやすい」といったメリットがあります。

リール

カレイは真鯛のようにハリ掛かりした後に走る魚ではないので、リールはドラグレスタイプとドラグタイプのどちらでも構いません。私の場合は、ドラグタイプの「フリーゲンSD35標準仕様」を使用しています。ドラグタイプを使うのは、アタリを楽しみつつ、その後の喰い込ませ方を変えることがあるからです。カレイ釣りにおいてドラグは不可欠なものではありません。

しかしドラグが付いていれば、たとえばカレイの活性が低くなかなか喰い込んでくれないときは、ドラグを緩めて引かれただけ道糸が出るようにして、違和感を軽減するといった使い方ができます。逆にカレイの活性が高いときはドラグを締め、穂先にガツンとアタリを出して楽しむこともできます。ドラグタイプのリールは、スプール(道糸)を交換することで真鯛などの大物釣りにも使えるので、実に重宝しています。

ドラグタイプのリールは様々な喰わせパターンを演出できます。真鯛などの大物用も兼ねるユースフルなアイテムです。

道糸&力糸

道糸はナイロンを使用する人もいますが、私の場合は感度を重視してPEラインの1.5~2号を標準としています。力糸は「SPINPOWERテーパーちから糸EX4PE」の1.5-7号を結んでいますが、遠投の必要がないときは、PE5号の単糸を使うこともあります。真鯛釣りのように潮が速い場所を狙うときはナイロンが有利ですが、感度や遠投性においてはPEラインに軍配が上がります。

吹き流し式の遊動仕掛けが一般的

カレイ釣りでは、テンビンを用いた吹き流し仕掛けが一般的です。
砂泥や砂地底に棲む環虫類などを常食しているカレイを狙うにあたり、海底に仕掛けを這わせる吹き流し仕掛けは、実に理に叶ったものといえるでしょう。テンビンについては、アタリを明確に取りたいときは遊動タイプ、飛距離を優先するときは固定タイプがおすすめです。

これ以外にも、地域によっていろんなスタイルの仕掛けが使われています。なかでも私がよく使うのが、北海道で人気のある胴つき仕掛けです。胴つき仕掛けは絡みにくいというのが最大のメリットで、吹き流し仕掛けがグチャグチャになるような底流れの荒い場所で効果があります。オモリは27~30号を標準として、潮の速い場所では33~35号を使うこともあります。

仕掛けはテンビンを用いた吹き流し式が一般的。アタリを楽しむなら遊動テンビン、飛距離を重視するなら固定テンビンが向いています。

エサ取りが多いときに過度な装飾は逆効果

ハリは流線の13~15号が目安です。号数は釣れるカレイのサイズによって使い分けており、大型だけを狙うときは15号のみで攻めることもあります。ハリスはフロロカーボン5号、モトスはフロロカーボンの10号で、ハリを結んだハリスとモトスを別々に作っておき、チチワで結節することによって、その日の状況に対応するようにしています。

ハリ数は2本を基本としています。カレイ釣りではエサを大きく付けて目立たせるのがセオリーですが、エサが大きいほど空気抵抗も大きく、ハリ数を欲張ると絡みの原因になってしまいます。カレイが喰ってくるときはハリを2本とも咥えていることが多く、ハリ数を増やしたからといって、さほど数が釣れるものでもありません。カレイの喰いが渋いときは、1本バリで攻めることもあります。

仕掛けはハリを結んだハリスとモトスを別々に作っておき、チチワにて現場で結節します。ハリスを変えるだけで様々な魚に対応できるので大変便利です。

ハリスやモトス、スナズリなどは、バインダーポーチなどに小分けして収納しておくと便利です。

ビーズなどの装飾については確かに効果があるようですが、私は装飾の抵抗による飛距離の低下を避けたいのと、カレイの近くにエサがあれば喰うと思っているので、過度な装飾は好みません。またエサ取りが多いときは、エサを目立たせるための装飾が逆効果になってしまうことも考えられるので、ハリスに付けるのはソフトタイプの発光玉程度にとどめ、エサ取りが多いときは少しずつ発光玉を減らしていくようにしています。

エサを目立たせるという意味では、段差仕掛けを使うこともあります。3~4㎝ずらした上バリに本虫(イワイソメ、マムシ)、下バリにはアオムシ(アオイソメ)をたっぷりとつけ、匂いと動きの両面で誘う、カレイ釣り独特の仕掛けです。
複雑なカレイ仕掛けを自作するのは面倒なものです。最近はよくできた完成品が多数市販されており、これを利用するのもよい方法です。

vol.2に続く