2018.11.29
シロギスは砂地の海底を常に回遊している魚ですが、どこに投げても釣れるわけではありません。フラットに見える海底にも変化があり、これに沿ってシロギスは移動します。代表的な海底の変化はカケアガリです。シロギスのポイントを探るにあたっては、まずこのカケアガリを探すことから始めます。
波口ならまだしも、沖のカケアガリを目で確認するのは、ほぼ不可能です。海底の状態を探るには、釣りを始める前にオモリだけを投入し、海底を引きずりながら手に伝わる重みに集中しましょう。
手にくる感触が重くなったら、そこがカケアガリです。
広い海岸でも、カケアガリがまったくない場所があれば、二重、三重にカケアガリが形成されている場所もあります。カケアガリが多い場所ほど好ポイントです。
投げ釣り用の道糸は25mごとに色分けされているので、カケアガリまでの距離をしっかり覚えておきましょう。
海底の変化は、陸上の地形からも読み取ることができます。
波打ち際をよく見ると、砂浜が出っ張っている箇所と引っ込んでいる箇所があるはずです。
砂浜が出っ張っている所は、馬の背状の地形がそのまま落ち込んでいます。砂浜が引っ込んでいる場所は、潮流や波によって沖が掘れて深くなっています。
沖の落ち込みが「横のカケアガリ」なら、馬の背からの落ち込みは「縦のカケアガリ」といえ、ここもシロギスがよく釣れるポイントです。
浜に川が流れ込んでいるなら、流れが出る方向をよく観察しましょう。潮の向きによって、左右のいずれかに流れが振れているはずです。
川の水は海水より低いのが普通です。シロギスの活性が低いシーズン初期は、川水が当たらない側のほうが水温が高く、ポイントとしては有望です。夏〜秋にかけての高水温期は、逆に冷たい川水が当たる側のほうがシロギスが気持ちよくエサを喰うようです。
仕掛けの投入点は、ポイントのやや沖が基本です。
ポイントへダイレクトにオモリを落とすと、シロギスが警戒するからです。仕掛けが着底したら、そこからゆっくりと仕掛けを引いてきます。この引く動作のことを「サビキ」と言います。
サビキには、竿を後方へ回すようにして仕掛けを引く「竿サビキ」と、竿尻を地面に付け、竿を固定したままリールを巻く「リールサビキ」の2通りがあります。一般的なのは竿サビキですが、競技会では一定速度で仕掛けを引けるリールサビキを多用する人も目立ちます。
サビく速度はシロギスの活性に合わせるのが基本です。
ハリ掛かりしたシロギスが暴れて仕掛けがダンゴになるようなときは、サビキのスピードが遅すぎ。多点仕掛けの先バリ(最もテンビンから離れたハリ)のほうだけに喰うときは、サビく速度が速すぎます。すべてのハリにまんべんなく掛かってくる速度がベストです。
釣り場の状況、シロギスのコンディションがわからないときは、まずゆっくり仕掛けを引いてみます。そこからシロギスの喰いを見て、サビくスピードを調整するとよいでしょう。
狙いとするカケアガリに仕掛けが入ったら、サビくのをやめて、いったん仕掛けを止めます。ここでチェックするのは、まずアタリがあるかないか。アタリがあれば、どのくらいの型が喰ってくるか、です。
アタリがなければ次のカケアガリを探ります。シロギスが喰ってくる場合、良型ならばそのまましばらく待って、連掛けを狙います。小型が一斉に喰ってくるようなら、一定速で巻き上げて手返しを早くします。
連掛け狙いで仕掛けを止める際、あまり待ちすぎても仕掛けが絡んだり、せっかく喰った魚がハリから外れてしまう恐れがあります。
これを防ぐには超スローで仕掛けを引くとよいのですが、仕掛けを絡ませず、かつ連で喰わせて外さない速度を見つけるのは、ベテランでも頭を悩ませる部分です。
このあたりの「引き感」や「掛け感」は、経験を積んで養うしかありません。
よく喰うポイントを探り当てたとしても、一日中アタリが続くことはほとんどありません。シロギスは常に回遊していることに加え、大きな群れも釣り続けるうちに魚が薄くなるし、大きなオモリを何度も放り込めば警戒心も高くなります。「シロギスは足で釣れ」との格言があるように、釣れなくなったらどんどん移動して、フレッシュな群れを探すことが重要です。
どのタイミングでポイントを見切るかは人それぞれですが、私はそれまで連で掛かっていた魚が単発になるなど、群れが薄くなったと感じたとき、というのを目安にしています。完全にアタリが途絶えるまで粘るよりも、活性の高い魚を探すほうが効率的と考えているからです。
このほかでは釣れるシロギスの型が小さくなったときも、ポイント移動のタイミングです。近いポイントで喰わなくなったときは、遠投に切り換えると違う群れに当たる可能性もあります。
それまでは活発に喰っていても、釣れなくなったポイントに執着するのは時間の無駄です。積極的に動いて数を伸ばしましょう。
投げ釣りでも最も多いトラブルは、高切れや仕掛け絡みといったライントラブル。とりわけ投げ釣りは一投のスパンが長い釣りで、仕掛けを直すわずかな時間が大きなロスとなることもあります。しかしそんなトラブルも、ちょっとした工夫と心掛けで回避することが可能です。
まず、釣りを始める前には、軽く仕掛けを投入した後に、道糸を指でつまみながら巻き取っておきます。スプールへの巻きを固く締めることで、投入時のバックラッシュをかなり減らすことができます。
バックラッシュは高切れをはじめとする致命的なトラブルにつながるので、これはぜひとも実行していただきたいトラブル回避術です。
投入時は、オモリが着水する直前に指をスプールエッジに当て、道糸の出をセーブするとよいでしょう。
これは、リールを使う釣りの大半に用いられる「サミング」と呼ばれるもので、飛距離の微調整ができると同時に、長い多点バリ仕掛けをまっすぐ伸ばし、絡みを防ぐこともできる一挙両得のテクニックです。
魚を取り込んだら、先バリから元バリに向かって魚を外し、エサは逆に元バリから順に先バリへ付けていくとよいでしょう。
こうすることで仕掛けが絡みにくくなるうえ、エサを付けながら仕掛けのチェックもできます。