2018.10.24

本格的なシロギスの引き釣りに入門! [ 日置 淳 ]

Vol.3 実戦編01 / エサ使いとキャスティングの基本

エサ使いの基本

シロギス釣りでも近年は多種多様なエサが使われるようになりました。こだわり始めたらキリがないのがエサ使いですが、ここでは基本となるエサと、その使い分けをご説明しましょう。

ビギナーの方におすすめするエサは、ジャリメ(イシゴカイ/スナムシ)、チロリ(東京スナメ)、アオイソメ(アオムシ)のです。この3つは私自身もメインとしており、よほどのことがないかぎりほかのエサは使いません。
それぞれの特徴は次の通りです。

ジャリメ(イシゴカイ/スナムシ)

シロギス釣りでは定番ともいえるエサで、ローテーションの軸として必ず用意しておきたいエサです。ハリ付けしたときの動きがよく、シロギスの喰いがよいのは当然のこと、安価で流通も安定しています。
キスの引き釣りの場合、ハリ付けするときは、ハリ軸にまっすぐ刺し、タラシを出すなら1cmまでとするのが基本です。シロギスはエサを取るのが上手な魚なので、ハリ先は必ず出すようにします。

シロギスの活性が高い初夏〜秋の盛期は、エサを小さく付けても喰ってきます。むしろエサはコンパクトなほうが喰い逃げされにくいので、シロギスの喰いがよいときほど短く切ってハリ付けするとよいでしょう。

シロギス釣りの定番エサであるジャリメ。ハリ付けする際は必ずハリ先を出すこと。

逆に喰いが悪いときはタラシを長く取って、ジャリメ特有の動きで誘うようにします。これでもハリ掛かりしないようであれば、ハリスまでエサをこき上げたり、思い切って1匹丸ごとハリ付けしたり、尾っぽ側の柔らかい部分のみを使ったり、いろんなことを試してみます。

大ギスを狙うときに私がよくやる裏技としては、通常はジャリメの頭側からハリに刺すところ、逆の尾っぽ側から1匹付けする方法。ゴカイ類は砂から頭を出していることが多く、シロギスはまずこれの頭を攻撃して砂から引きずり出し、そこから反転して食べるという習性があります。頭をタラシ側になるようハリ付けして、これまでに何尾も大型を仕留めました。ブラックバスのワッキーリグのように、ジャリメの胴体にチョン掛けする方法が有効なときもありました。

ジャリメをハリ付けする際は、必ずハリ先を出すこと。タラシは1cmまでが基本です。

チロリ(東京スナメ)

大ギス狙いの特効エサといわれており、全国的に人気のあるエサです。ジャリメが動きで誘うエサなら、チロリは匂いでアピールするエサといえます。

最近はチロリしか使わないという人もいるようですが、状況によっては明らかにシロギスがチロリを嫌っているという経験もあるので、ジャリメをメインエサとし、チロリはサブという使い方がよいと思います。

チロリは5mmから1cm程度に短く切って、コンパクトにハリ付けするのが一般的です。切り口から体液を拡散させることで、チロリ独特の匂いでシロギスを寄せることができます。

大ギス狙いの特効エサといわれているチロリ。独特の匂いがシロギスを寄せます

チロリは匂いを放つ体液が拡散するように、小さく切ってハリに付けます。

アオイソメ(アオムシ)

一部の地域でよく使われるエサです。
ジャリメよりも太めで、特に大ギス狙いで好まれる傾向にあります。シロギス釣りにおいて、万能という意味ではジャリメのほうが上ですが、喰いが悪くなったときなどに目先を変えるための予備エサとして用意しておくと心強いでしょう。

ジャリメ同様に動きのよいエサなので、シロギスへのアピールを目的として使うならば、タラシは長めにするほうがよいでしょう。

アオイソメはジャリメでアタリが遠くなったときなど、目先を変えたいときに役立ちます。

エサの管理法

シロギス釣りのハイシーズンは、気温の高い初夏から秋にかけて。
虫エサは非常にデリケートなので、炎天下で直射日光に当てるとすぐに弱ってしまいます。したがってエサは氷を入れたクーラーボックスの中に保管し、必要に応じて外付けのエサ箱へ小出しにして使う方法がおすすめです。シマノの投げ専用クーラーボックスにはインナートレイが付いており、エサをここにストックしておけば、氷に直接触れることがないので便利です。

エサ屋さんで虫エサを入れてくれる透明の容器のままクーラーボックスに入れてもよいのですが、小さな容器ではエサが弱りやすいし、ときとして容器の隙間から虫エサが脱走することもあります。私は100均などで購入した密閉式プラスチック容器の蓋に空気穴を空け、この中に虫エサを入れて管理しています。氷を切らさないよう注意すれば、数日間はエサが弱りません。

エサはクーラーボックスの中に保管し、必要なぶんだけエサ箱へ小出しにするとよいでしょう。

虫エサには石粉やオガクズをまぶすとハリ付けする際に滑りにくくなります。

予備のエサは蓋に穴を空けた密閉容器などに入れておくと弱りにくいでしょう。

キャストの基本

道具とエサの用意ができたら、いよいよ実釣です。仕掛けをポイントへ投入する動作を「キャスト」と言います。投げ釣りとはその名の通り、重いオモリの付いた仕掛けを100m、150m、上級者になると200m以上も遠投する釣りで、キャスト技術がそのまま釣果に直結する釣りといえます。これから投げ釣りを始めるにあたっては、まずキャストの基本をマスターしましょう。

まずは上段からまっすぐ竿を振る「オーバースロー」と、身体に対してやや斜めに竿を振り抜く「スリークォータースロ−」を練習し、竿を曲げる感覚を養うことをおすすめします。いずれも回転投法などに比べると竿のスイングが浅いキャスト法ですが、これでもしっかり竿を曲げることができれば、7〜8色の遠投が可能です。

飛距離を出すために最も重要なことは、オモリの重みを竿に乗せ、しっかりと曲げることで弾力をオモリに伝えることです。また、竿のスイングと同じ軌道にオモリを通すことも大切です。スイング軌道とオモリの軌道がズレてしまうと、竿にオモリの重さが乗りにくいことに加え、投入方向も安定しません。

オモリの軌道は、投入の際にオモリを置く位置が大きく関わってきます。オーバースローなら自分の真後ろへ、スリークォータースローならオモリを身体側面のやや後方に置きますが、いずれも竿を振る軌道の延長上にオモリを置くようにしましょう。

オモリをリリースする角度は45度が基本です。射出角度が浅くても深くても飛距離は出ません。

飛距離を出すには、竿にオモリの重さを乗せてしっかり曲げ、竿と同じ軌道でオモリを射出するのがコツ。

オモリの射出角度は45度が基本。角度が浅くても深くても飛距離が出にくくなります。

キャスト・実際の動作と注意点

キャストする前には、かならず後方を見て、人や障害物がないか確認してください。加速したオモリが人に当たると、当たった箇所によってはケガどころではすみません。仕掛けを流木などに引っ掛けたままキャストするとラインが切れたり、最悪の場合は竿が折れたりするので注意しましょう。

竿を振る際はしっかり腰を回転させ、オモリをリリースする瞬間は、リール側の手を押し出し、竿尻側の手を引き付けるのが飛距離を出すコツです。身体の回転だけで振る、いわゆる「ドアスイング」はオモリに竿の弾力を伝達しにくく、当然飛距離も伸びません。

リール側の手を押し出し、竿尻側の手を引き付けると竿の弾力を活かすことができ、飛距離がアップします。

注意点としては、キャストの動作に移る際に力糸をきちんと張ることです。遠くへ飛ばそうと力んでしまうと、どうしてもリールを保持した側の腕が縮こまってしまいます。こうなると穂先の位置が変わるので、それまで張っていた力糸が弛んでしまい、竿へ瞬間的にオモリの重さが乗ってスイングの途中で曲がりが戻ってしまったり、コントロールが定まらなかったり、ひどいと力糸が切れてしまうことがあります。

いまひとつ飛距離が出ない、うまくオモリの重さを竿に乗せきれない、仕掛けが左右に逸れて飛んでしまうという人は、タラシの長さを見直してみましょう。オモリがバットガイド(最もリールに近いガイド)のあたりにくるのが基本的なタラシの長さ。これを基準として、自分に合うタラシの長さを見つけることです。

それでは、オーバースローとスリークォータースローのスイングを連続写真で見てみましょう。

タラシはバットガイド付近にオモリがくる位置を基準として、自分に合う長さを見つけましょう。

オーバースロー

竿を地面に対して垂直に振るキャスト法です。
オモリは自分の真後ろへ力糸を張った状態で置くか、やや地面から浮かせた位置からキャストを始めます。慣れないうちはオモリの軌道がフライ気味になったりライナーになったりしますが、左右へのズレは少ない投法です。

オモリは自分の真後ろに置くか、地面から若干浮かせた状態からスイングをスタートします。勢いよく振り切るよりも、まずはオモリの重さを竿に乗せる感覚を養うことが大切です。

スリークォータースロー

竿を45度前後の角度で斜めに振る投法です。
オモリは身体の側面に置きます。オーバースローよりもスイングの軌道を長く取れるので、オモリの重さを竿に乗せやすいのが特徴です。

オモリを身体側面のやや後方に置き、力糸を張った状態からスイングをスタートします。写真のように右から竿を振る場合、仕掛けが左方向へ飛んでしまう人はタラシを短めに、右方向へ飛んでしまう人はタラシを長めにするとよいでしょう。

vol.4に続く