2017.07.27
比較的のんびりしたペースで数個所のポイントをチェックして歩いた今回の山陰釣行でしたが、朝から夕方までの釣果は100匹程度ありました。いわゆるピンギスは少なく、15~18cmの中型をメインに20~24cmの良型も20匹ほど混じったので、シーズン初期としては十分に楽しめた感じです。
まあ、1投に時間のかかる遠投主体の釣りで、そこそこの数が釣れたのは、やはり常にトラブルを回避することを意識してスムーズな手返しを続けていた結果だと思います。たとえば、投入時には仕掛けを置く場所に海草やゴミなどの障害物がないことを必ず確認する。それだけで仕掛けのトラブルが減少し、ムダな時間をなくすことにつながります。
キャストの際に足場の状態を吟味することも大切です。砂浜の状態は一定ではありません。しっかりとスタンスを決められない場所から投げているようでは思うような飛距離を出しにくいはずですし、安定しないフォームによるミスキャストやライントラブルも起こりやすくて大幅な手返しのダウンになりがちです。
前回のコラムで「スペースが許せば1投ごとにキャストポジションを変えていく」としましたが、その際には足場のチェックが欠かせません。投げにくそうな場所では無理をせず、少し前に出たり後退したり、もしくは左右に移動することで足場をキープして安定したキャストを続けるようにしています。
手返しに悪影響を与える仕掛けのトラブルが発生しやすいタイミングのひとつは魚を掛けたときです。喰い込みの悪いキスへの対応策として仕掛けを止めるサソイを多用しますが、それでキスが掛ったら仕掛けを止めていてはいけません。止めていると掛かったキスが自由に暴れてしまうため引き釣りの多バリ仕掛けは簡単にからんでしまいます。
魚を掛けたらサソイの手を止めることをやめ、適度なスピードをキープして仕掛けを張った状態で追い喰いに期待することです。特にキスの活性が高くて喰いがよいときにわざわざ仕掛けを止めることはありません。サソイの基本通りにキスがエサを喰う範囲でできるだけ速く引くことが仕掛けのトラブル回避と数釣りにつながるものです。
また、釣れるキスが大きいほど仕掛けのカラミは発生しやすいので、アタれば型のよいキスだが喰いが悪いという状況なら追い喰いを期待せず、1匹掛けるたびに確実に取り込むことを考えた方が結果として好釣果につながるでしょう。
ちなみに、そういうパターンでは仕掛けを止めて小さな前アタリがきたら竿先を送り込むなどして慎重に喰わせますが、次の本アタリがきたときはアワセを入れて確実に掛けることで取り込み率がアップします(アワセはグリッとリールのハンドルを回す程度の小さな動作で十分です)。
なお、難しいのが活性の低い中型、良型のキスがごく狭い範囲にしかいない状態です。こんなときは止めのサソイ&ギリギリのスロースピードのサソイでうまく連掛けにしようとするのですが、サソイが遅過ぎると1投ごとに仕掛けがからみますし、1匹掛けたからと速く引き過ぎると単発ヒットばかりで数が伸びません。実は今回の釣行ではそんな場面が結構多く、最も効率よく掛けられるパターンのサソイを探り当てるのに苦労させられましたが、そんなプロセスもキス釣りの楽しさのひとつだと感じています。
キスの活性が高くて速めのサソイで釣っていけるときは多くの連掛けにすることも難しくはないですが、慣れない人はそんな好条件のときこそ仕掛けのトラブルを連発させることがあります。多くのキスが掛かっているときほど取り込み時にちょっとミスをすると仕掛けガラミが発生するからです。
キスを巻き寄せることは難しくありません。速く巻き上げようとして海面をバチャバチャと引いてくるのはバラシの原因になりますから、適度なスピードで表層を引いてくるようにすれば大丈夫です。問題は魚が波打ち際に寄ってからでしょう。たくさんの魚が掛かった仕掛けが足もとや、その先の波口で波に巻かれると仕掛けは複雑にからんでしまいます。
それを防ぐには波に巻かれた仕掛けが重なり合わないよう、竿先を横に向けたり、立ち位置を少し横に変えるなどして仕掛けが波の中を斜めに通る形にしてやることです。まあ、ベタナギのときはあまり気にしなくてもいいですが、波気があって取り込みのたびに仕掛けがからむようなときはこれを意識しておきましょう。
なお、キスを水から上げるときはズルズルと浜の乾いたところまで引きずると魚が砂まみれになってあとの扱いに困ります。取り込みの最後は竿を立て、上がってきたキスを空中に浮かせていくとスムーズに扱えます。
キスを取り込んだら仕掛けの下バリの方を持ち、魚を浮かせたままハリをはずしてクーラーでキープします。このとき私の場合は竿尻を脇にはさみ込んだ状態で竿を置かずに手早く作業するようにしていますが、この動作に慣れていないと竿を砂の上に落してしまう恐れもあります。基本的には竿立てやクーラーにセットしたロッドホルダーに竿を立て掛けるのが無難でしょう。
魚は下バリの方から順にはずしていきます。上バリの方からはずそうとして仕掛けがたるむとキスが地面について砂まみれになりますし、魚が暴れることで仕掛けがからんでしまいます。また、自分が動いて魚をはずしていくのは効率が悪いので、竿尻近くにしゃがんでリールのストッパーをオフにして少しずつラインを出してキスを手もとに寄せながらはずしていきます(ラインを出した後、ストッパーを再度オンに戻しておかないと一気にラインがでてしまうので要注意)。
なお、こうしてキスをキープし終えたら今度はエサつけです。
先ほどとは逆にリールでラインを回収しながら上バリからエサをつけていくと動作にムダがありませんし、仕掛けが風に吹かれてからんだり、ハリが何かに掛かってしまうトラブルも減少してスムーズに手返しができます。
さて、ハリにつけるエサですが、キス釣りの基本エサはイシゴカイです(関東ではこのエサのことをジャリメと呼んでいます)。状況によって他種のエサの方が有効な場面もあるので今回もチロリ、アオイソメを用意しましたが、まずはイシゴカイの使い方からマスターしておくといいでしょう。
通常の場合、イシゴカイは頭部を切り落としてハリ一杯につける形で使います。またキスの反応を見ながら少しタラシ(ハリの下にたらす部分)を出してボリュームを持たせたり、低活性時には細くて動きのある尻尾の部分を少したらして喰い込みをうながす方法もあります。その他、大型のキスを狙うときには頭部にハリを掛けた1匹づけや2匹づけとして、エサの大きさと動きでアピールするのも効果的です。
チロリはイシゴカイに匹敵するキスの好エサで、これにしか喰わない状況もありますが、イシゴカイに比べると入手が難しく、弱りやすくて保管も面倒なのが難点です。チロリは細めのものを購入し、小さく切ってハリのフトコロ部分につけるか、イシゴカイのようにハリ一杯につけるパターンを基本としています。
アオイソメはイシゴカイ、チロリに比べるとキスの喰いが落ちる場面が多いですが、やはりアオイソメばかりに釣れる状況もあるので用意しています。特に雨で濁りが入るといったようなキス釣りでは悪条件といえる状態の場合、このエサがよいケースが目立ちます。使い方は基本的にイシゴカイと同様です。
なお、エサ使いに関しては1日を通してイシゴカイだけで安定して釣れ続くというパターンが楽ですが、今回の釣りでもイシゴカイがよいとき、チロリの方が喰うときがありました。このあたりはハリのサイズなども関係するので一概にはいえない部分ですが、アタリがあるのに掛かるキスが少ないとか、釣れそうな場所でアタリがないときはキスがエサを選り好みしている可能性もあります。
エサで迷ったときはイシゴカイ、チロリを交互につけてみたり、下バリ寄りにチロリ、上バリ寄りにイシゴカイ、もしくはその逆という感じで併用してキスの掛かり具合を確かめるのも一策。それで片方のエサにヒットが集中すればそのときの当たりエサがはっきりするでしょう。逆にキスの喰いに差が見られないようなら思うように釣れないことには他の原因が考えられるわけで、釣り方、仕掛け、場所、時間帯の問題などを見直す必要があるということになります。
vol.4に続く