探見丸CV-FISHを横目でにらみながら、3.5メートルのロングロッドを鋭くシャクる鈴木孝。今回のターゲットは5~6月に乗っ込みのピークを迎える相模湾のアオリイカだ。
4月中旬、少し早めであるのを承知で乗り込んだのは、相模湾腰越港の蒼信丸。この日は中オモリ式の餌木シャクリを楽しんだが、希望でティップランも受けてくれる頼もしい船宿だ。
アオリイカに情熱を傾ける関塚一浩船長は、溜まり場を探して江ノ島沖~亀城根周りまでの広範囲を転々と移動。水深も15~40メートルまで幅広く探ってくれたのだが、
「4月は雌雄がペアリングする直前でアオリイカが落ち着きなく動き回っています。当たりハズレが多いんですよね」と嘆き節。3時間を経過して音沙汰なしである。
それでも、鈴木は集中力を切らさない。
「こんなときこそ手を休めずに、しっかりシャクる。3.5メートルのインナーロッドは穂先絡みの煩わしさもないし、小さな力でしっかり餌木が動くから疲れないんですよ」
手にした竿は早潮SI-T20-350。テコの原理で、軽快に餌木をシャクリ続けることができるロングロッドだ。
「それから今日の釣り座は足場が高い左舷ミヨシですから、指示ダナより1メートル低めにタナを修正しています」
魚探の振動子は胴の間付近に設置されているため、ミヨシ側のタナは1メートルほど誤差が生じると言う(カコミの解説参照)。
▲ 餌木は大型アオリに効く「セフィアクリンチ」の3.8号。上からキンアジ、ピンクドット、オレンジドット
Situation・状況
神経質な乗っ込みのアオリをロングロッドのシャクリで刺激
ミヨシは1メートル低くタナ取り
▲ 蒼信丸の指示ダナは中オモリまでの水深。例えば画像は「タナ20メートル」の指示で、振動子のそばにいる釣り人(胴の間)の中オモリと餌木が映っている。しかし、左舷ミヨシから竿を出す鈴木は21メートルにタナ取り。1メートルせり上がる舳先側の誤差を計算しているのだ。
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▲ 全長3.5メートルの「早潮SI-T20-350」を軽快にシャクる鈴木。スナイパー釣法の構え方でシャクれば疲れにくいと言う
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▲ 指示ダナの1メートル下でシャクり続け、2杯のアオリを乗せた鈴木
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▲ 餌木にはベンケイサイズのマルイカ(ケンサキイカ)も乗ってくる
▲ 道糸はタナトル2号。ラインマーカーの視認性もよく、正確にタナが取れる
▲ 穂先絡みのないインナーガイドの早潮SI-Tに、軽量なステファーノ100XGの組み合わせ
▲ 蒼信丸は7月初旬まで大型アオリを狙って出船。昨年6月は2キロ前後の大型が連発した
そして10時30分、待ちかねた1杯目が鈴木に乗った。タモ取りされたのは1キロ級の雌アオリだ。
ポイントは水深25~30メートルのカケ上がりで、探見丸には興味深いベイト反応が出ている。
同じエリアを流し直すと、ほか3名も小型のアオリイカを1杯ずつ確保して船長もひと安心。鈴木はその後、もう1杯を追加して極端な乗り渋りの一日をトップで終えた。
次で、探見丸に映るヒットポイントの画像、さらに鈴木が語るユニークな活用術の一例を紹介。アオリ攻略にぜひお役立ていただきたい。
Strategy・戦略
探見丸でベイトの形状を確認 海底地形も先読みして勝負!
ベイトの形状で喰い気のあるアオリイカを読む
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【画像A】
▲ ベイト反応が現れるだけで、釣り人の気持ちは高ぶる。けれどもこのようにべったりと落ち着いた大きな魚群は、その周りに喰い気のあるイカがいない可能性が高い。船長も「こんな反応が続くエリアは、すぐに見切って移動します」と言う。
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【画像B】
▲ 狙い目はこのように細切れに分離しているベイト反応だ。食欲旺盛なアオリイカ(あるいは魚かもしれない)に追われて、ちりぢりになっている。事実、取材日もこの付近で船中4杯のアオリイカが乗った。勝負をかけるべきオイシイ反応だ。
釣れないときに試したい超裏ワザ!?
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【画像C】
▲ 同一ポイントを流し直すべく、低速で潮回りしているときの画像。このとき探見丸で根のトップの水深を把握し、次の流しは最初からこの高根に「タナを決め打ち」して餌木を流し込んでみる。
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【画像D】
▲ 投入合図が出たら前記した「人より高いタナ」を取って、そのままキープ。画像Dは同じ高根に向かって流れていく様子を示し、餌木は矢印上を進んでいくイメージとなる。こうすることで、根のトップ周辺に浮いてエサを待つアオリイカの目に止まりやすくなり、いち早くアオリイカが乗ることもある。
▲ 潮回り中は海底地形を把握するチャンス
アオリイカの反応は魚探に映りにくいのが難点。けれども、
「探見丸は水深、ベイトの有無、海底の形状を知らせてくれる。それだけでも自分なりのアオリ攻略術が次つぎに沸いてきますよ」と鈴木は言う。
上記のようにベイトの反応ひとつをとってもアオリイカの釣れそうな反応を推測できるし、ベイトの種類(イワシ、アジ、サクラダイ、ネンブツダイなど)を想像しながら餌木をセレクトする楽しさも加わる。
もう一つ、不利な釣り座をカバーする裏ワザとして教えてくれた「高根に合わせたタナ取り」も、探見丸があってこそのテクニックだろう。
「この方法で自分だけ連発した経験もあります。保証はしませんが、困ったときは試す価値あり!」
楽しそうにアオリ狙いを語る鈴木にとって、探見丸は最高の右腕なのだ。
次回も探見丸CV-FlSH&探見丸スマートを活用し、旬のターゲットを攻略します!次はキンメダイを予定! |
【撮影協力】相模湾腰越港・蒼信丸 |