第3話
初めての探見丸CV-FlSH
~魚探の基礎講座~

シマノのモバイル魚群探知器「探見丸」を
使いこなして、沖釣りをもっと楽しく!
それが「もっと!探見丸」のコンセプト。
第3話は「ついに探見丸CV-FlSHを購入したぞ!」という
魚探ビギナーの釣り人に向けて、これだけは知っておきたい
魚群探知器の基礎と、魚探画像から得られる情報をチェック!

※探見丸は親機が搭載された船でご使用ください。親機がない船では使用できません。
※Tankenmaru SMARTは、Wi-Fi対応のNEWアンテナを搭載した遊漁船のみでご使用になれます。
また、タブレット型の端末には対応していません。

 前回まで、スマホ用のアプリ「探見丸スマート」を取り上げたが、無線接続までの手順、防水性やバッテリー切れへの対策が必要だった。

 しかし船ベリに取り付けて使用する専用機「探見丸CV‐FISH」を入手すれば、これらすべてのハードルをクリア。探見丸システム搭載船に乗り込み、CV‐FISHのスイッチを入れるだけで無線通信が始まる。

 起動すると船名選択画面を自動的に表示。自分が乗る船の名前をセレクトすれば、すぐに魚探画面上に多様な魚群反応や海底地形が現れるのだ。

 ACCU-FISH®機能の対応船であれば、メニューボタンをオンにすれば魚のサイズやイラストが表示され、さらにワクワクすること間違いなし。見ているだけでモチベーションを上げてくれる、よき相棒になる。

 ただしもちろん、ターゲットのキャッチ率をアップさせるには基礎的な魚探の仕組みと、画像から得られる情報の意味を理解しておく必要がある。

 今回は有用な基本情報の数かずを、具体例をあげて確認しておこう。

▲ CV-FlSHは船ベリに設置可能。自分の見やすい角度に調整できる

STEP1
釣り船で魚探が探知するエリアと反射強度のカラーを要チェック

超音波の反射を利用して海中を探知

  •  魚群探知器の仕組みは、


    (1)船底に設置された送受波器(振動子とも呼ぶ)から、海底へ向かって「超音波」をビーム状に発射。
    (2)超音波は円錐状に広がって進み、主としてその円錐内に入った魚群や海底などに当たって跳ね返る。
    (3)その反射波を送受波器が受け取って解析し、1本の縦線上に信号化して表示……という手順。


     魚探の映像は、この反射信号を順次並べて作り上げられていく。覚えておきたいのは、最新の反射信号は画面右端に表示され、左へスクロールしていく画像は、すでに通過した過去のものということ。船下に魚群があるか否かを判断するなら、画面右側の映像を注視しよう。

魚探画面に映る範囲を知ろう

  •  図は全長約20メートルの釣り船を例に、よく使用される「周波数200キロヘルツ」の超音波の広がりを上方から見た大まかなイメージ。送受波器を中心点に、水深20~30メートルの浅い釣り場では胴の間の狭いエリアが魚探画面に映り、やや深い水深50~60メートルの釣り場では船全体をカバーした広範囲の画像が映る。


     この性質は、とくに浅場狙いの釣り物であるカサゴ、ヒラメ、イサキなどの流し釣りで活用できる。胴の間に座る人は画面右側に出る最新情報に合わせて仕掛けを操作すれば効率がいいし、四隅の釣り人はタイムラグを予測しながら根掛かりを回避したり、魚群に当てていくことが可能だ。

反射強度のカラー

  •  反射波の強度を表すのが「色」。写真は操船室に設置されている探見丸システムの親機、フルノFCV627。画面左端にあるのが反射強度を示すカラーバーで、上から強度が強い順に、赤→オレンジ→黄色→グリーン→水色→ブルーとなっている。このカラーリングは鮮明度が大幅にアップした探見丸CV-FlSHもほぼ同様だから、ぜひ覚えておこう。


     反射波は魚群や物体の密度が高いほど強く、「赤、オレンジ、黄色」あたりが現れたら要注意。また、密度が高い海底の反射波は非常に強いため、岩礁、砂地を問わず赤色に表現される。密度が低い(海水に近い)イカ類は魚探に映りにくいとされるが、船長の意見は多様だ。

Tankenmaru CV-FISH

魚のサイズが判別できるACCU-FISH®搭載、高輝度タイプ液晶を採用し直射日光下でも見やすくなった。探見丸システムに対応したシマノ電動リールとの接続で、多様な情報機能も満喫できる。アルカリ単三電池8本で約10時間作動、シャワー洗浄、海水OK。タイドグラフ付き。


  • ▼spec
    本体サイズ130×140×53mm
    液晶サイズ86×53mm
    自重420g(本体のみ)
    本体価格46,900円(税別)

  • 別売りのライトケーブルでバッテリー「電力丸」との接続も可能。バッテリー残量を気にせず楽しめる

STEP2 海底の形状と底質を確認すればターゲットの攻略術が見えてくる

岩礁か砂地かは「尾引き」で確認

  •  海底は密度が高いので赤く表現されると前記したが、岩礁、砂地、泥地などでその密度(硬いか軟らかいか)は異なる。そうした底質の違いを読み解くカギが、写真に示した、海底の「尾引き」だ。


     尾引きが長ければ、反射が非常に強い岩礁。尾引きが短ければ軟らかな砂地と判断できる。また、泥地であればさらに尾引きは短い。


     底魚の反応は魚探に映らないが、探見丸CV-FlSHで岩礁か砂地かを見極め、魚が寄っていそうな場所で勝負をかけるのも一手。ヒラメなら小魚反応がある根際から岩礁、シロギスならカケ上がりや根に近い砂地、カサゴなら岩礁の中のへこみなどだ。

海底&反応の全体像は潮回り時に把握

  •  流し釣りの場合は、船を流すポイントの全体像を把握すると攻略術の大きな一助となる。例えば左の画像は、一流しを終え、潮上へ潮回りする途中の魚探画像。


     根のトップ水深30メートル付近に浮いた魚群反応を通過し、その潮上にあたる水深36.3メートルまで移動している。ここから魚群方向へゆっくり流していくと、勝負どころは高低差5メートルの急なカケ上がり(画面中央)を登り切った直後と予測できる。


     超音波の反射信号が積み重なって映し出される魚探画像の性質上、海底地形の凹凸は、ある程度の速さで移動しているときにはっきりと表現される。移動中も探見丸CV-FlSHを眺め、様ざまな戦略を練ってみよう。

時分表示バーの活用例

  •  時分表示バーは黒色の横棒が30秒、白地の部分も30秒。つまり黒白合わせて1分間に表示された画像を示す。


     流し釣りにおける左の魚探画像を時分表示バーで読み解くと、魚群反応は20秒ほど前に船下を過ぎ去ったように見える。


     しかし前ページの「魚探画面に映る範囲を知ろう」の図を見てほしい。魚群は、浅場における「水深20~30メートルのビーム」から外れただけであって、ビーム圏外の四隅のどこかに到達している可能性がある。


     自分の釣り座が四隅で、もしアタリがきたら、反応の出方と自分の釣り座にタイムラグがあるのかもしれない。時分表示バーは、そのタイム差を測る目安として活用できる。

 ここで解説した超音波の周波数は、主として水深100メートル以浅の釣りで活用される「200キロヘルツの高周波を発振した場合」と補足しておく。

 探見丸親機の送受波器から発振する200キロヘルツのビーム角(指向角という)は15度前後と狭く、ピンスポットにある物体の反射波を探知する。解像度も高く、地形、小魚などの小さな反応も精密に表示する。デメリットは減衰しやすい(遠くまで届きにくい)ことで深場の探知は難しい。

 しかし操船室にある探見丸の親機は、50キロヘルツの低周波に変更できる。周波数は低いほど遠くまで届き、ビーム角が50度前後と広いため、広範囲を探知する性質を持つ。そのため水深200メートル前後の深場釣りであれば、船長が低周波の50キロヘルツに切り替えてくれるはずだ。ただし解像度は低く、ビーム角が広くなる分、画面に映る反応の位置を正確につかめない。

次回は探見丸CV-FlSH、探見丸スマートを活用した「イサキ釣り」の実践テクニックを紹介! 

シマノ フィールドテスター・松本圭一が大原のイサキを攻略