オカッパリと違って、ボートは水さえあればどのポジションへも自由自在に移動できます。でも、『岸際からどれぐらい離れて釣りをすればいいのか?』『狙いたいあの杭には、どこまで近づいていいんだろう?』……迷いはじめるとキリがありません。
伊藤巧さんの場合、岸と平行にボートを流していく際は、ピッチングでギリギリ届かないぐらいの距離感を保つことが多いそうです。理由は、あまり近づきすぎるとボートの気配やエレキモーターの回転音でバスを警戒させてしまうから。
「でも、ボートを覚えはじめのころは、ピッチングで届く距離まで近づいちゃってOKだと思います。表層にバスがいれば発見しやすいし、狙ったスポットにちゃんとアプローチできますからね。もしバスに逃げられても『このぐらい近づくとダメなんだな』『エレキモーターを踏むとこんなにプレッシャーが掛かるのか』といった感覚がわかってくる。それも大事な経験です」(伊藤)
水中の障害物にも注意してコース取りを行いましょう。見える立ち木の周りには、水面下に隠れた立ち木が残っていることも。霞ヶ浦などではドック周りに杭が多くあります。
崖のようになった急深の岩盤エリア。落石の恐れがあるため接近しすぎないようにしましょう。
もうひとつ、ボートの流し方に関する重要なポイントがあります。それは『ほかのボート』との間隔です。
たとえば前方で釣りをしている人を追い抜くとき、そのボートのすぐ後ろを通過するのはマナー違反。静かに釣りをしている人に対して、こちらのボートの走行音や引き波で邪魔をすることになってしまうからです。
先行者がいるときはエレキモーターのスピードをゆるめて、できればそのボートとは逆サイドの岸を通りましょう。よほど広い場所で、フルキャストしても届かないぐらいの距離が取れるなら、それほどスローダウンしなくても大丈夫ですが、周囲に迷惑をかけていないか常に気を配りたいものです。
狭いバックウォーターなどで、どうしても至近距離を通らねばならないときは「すみません、通ります」などと声を掛け、相手とコミュニケーションを取っておくことがトラブルを防ぐためのコツです。
バスの釣り場にはヘラブナ釣りやワカサギ釣りのファンも多くいます。ほんのわずかな引き波やエレキモーターの音が魚を散らしてしまうこともあるので、近くを通る際は細心の注意を払いましょう。