「フットコンの操作はなによりも“慣れ”です。最初は魚を釣ることは二の次にして、練習のつもりで半日もやっていれば身体が慣れますよ」(伊藤)
はじめのうちは足元やヘッドの矢印を見ないとまっすぐ進むのにも苦労すると思いますが、最終的な目標は「ブラインドコントロール」です。これはキーボードのブラインドタッチと同じようなもの。視線はキャストするスポットやその周囲に向けながら、エレキモーターは足の感覚だけで前後左右に自在に操れるようになりたいものです。
「ブラインドコントロールがなかなかできない原因のひとつに、スピードを出しすぎている可能性があります。移動しながらキャストするときは、速度をハイバイパス(使用しているエレキモーターの最高速度)の1/5ぐらいにしておくとよいでしょう」(伊藤)
エレキモーターのスピードは[step14]で解説したとおり、ペダルの横のダイヤルで設定します。モデルにもよりますが、5段階なら1~2速、無段階なら1~3ぐらいが、釣りをしながら移動する際の標準のスピードです。荷物が多かったり2人乗りだったりすると『少し遅いかな?』と感じるかもしれませんが、この程度のスピードに抑えたほうがスムーズに直進できますし、左右への方向転換なども安定します。万が一、水中の障害物にぶつかってもスピードが出すぎていなければ転倒しづらくなる、というメリットもあります。
風が吹いている場合は、その強さに応じてダイヤルのスピードを上げたりと、速度の微調整が必要になります。
風が吹いている場合は、その強さに応じてダイヤルのスピードを上げたりと、速度の微調整が必要になります。
「もうひとつ注意したいのは、キャストせずに移動するときのスピード。心情的にはハイバイバスで一気に移動したくなりますが、スピードが上がると思わぬトラブルに繋がる可能性があります。僕はトーナメントでないかぎり、最大速度にすることはほとんどありません」(伊藤)
フットコンエレキモーターは、もともとエンジン船の補助的な動力として作られています。つまり長い距離を移動することは想定されていないのです。ハイバイバスで長時間踏みっぱなしにすると、バッテリーが急激に減ってしまうだけでなく、場合によってはエレキモーターが焼きついてしまうことも考えられます。
したがって、移動時は6~8割くらいの出力にセットすることを推奨します。連続走行時間も最大で15~20分ぐらいを目安にして、エレキモーターに掛かる負荷を減らすように心がけましょう。
速度を出して移動するときは、椅子やクーラーボックスなどに座るなどして姿勢を低くしましょう。立って操船していると、予期せぬ障害物に当たったときに落水する危険があります。