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トラブル防止のためのへら竿の取扱い 心得集

ー 準備 ー さぁ、はやる気持ちを抑えてしっかり準備しましょう!

Point 1

竿が最も本体以外に接触する竿掛の先端部。

しっかりフェルトなどで竿の保護を。

 

竿はエサ付け、ハリを外す時等、何度も竿掛に載せるものです。このときU字の先受、竿枕の位置は変わらないため、同じ位置にダメージが蓄積されます。これは万力側でも同様です。道糸を沈める等の誘いも、塗膜の摩耗が心配されます。対策として、U字の内側にフェルト生地等の柔らかい緩衝材を当てて和らげる工夫が必要です。

Point 2

竿を継ぐ時は、玉口を傷つけないよう丁寧に行いましょう。

 

継ぐときに、玉口へ指を当てて差し込むことでズレて傷つくことが防げ、玉口に触れる際にゴミや砂の付着にも気づくことができます。また竿袋へ仕掛けを巻く釣り人は多いのですが、このときに口栓をしない人もいるようです。軽視しがちですが口栓は、穂先の飛び出し(竿袋内で折損)や大事な継部の玉口が欠けないように防止している役割を担っています。

また、慌てて竿交換した場合や、根掛かりなどで直線方向に竿を引いたときは“込み”を再確認してください。

ー 準備 ー 竿掛と竿の長さのバランスをしっかりチェック!

Point 3

竿の先端部、水中への入れ過ぎには要注意。

水の抵抗を見くびってはいけない。

 

喰い渋り打開の基本は、とりあえず“竿を長くすること”です。その竿交換で、うっかり竿掛を短尺設定のまま交換すると、長尺にしたとき数本分も浸してしまい、同じように力強くアワせて元竿を折損する場合があります。水の抵抗は想像以上に大きく、急な操作は予想以上の強い衝撃を生じます。

製品、尺数に限らず竿掛は長い方が良いと小山圭造氏。「長い分には竿先が入りすぎないから折損防止になります。短い竿掛に長めの竿を載せると竿尻が上がり、このフラつきが原因となる問題も起こりますよ」。

ー 実釣時 ー 魚とのやりとりは、無理せず竿のパワーを利用して!

Point 4

強く引き込まれたとき“拝み取り”で、元竿の中央を支えるのもNG。

握り以外、曲げる力を入れるのは厳禁。

 

多くの人が、想定外の大きな魚(多くはへらぶな以外の魚)を取り込もうとして、ある程度、竿が立ったときに強く引き込まれ、片手で握り部を持っているだけでは耐えきれず、両手を使った“拝み取り”態勢を経験します。このとき“元竿の中央部”を支えたために折損する場合もあります。小山圭造氏は「魚が逆を向いているとき強引に引かない。竿をタメることで魚の走りは止まります」と語りました。萩野孝之氏は「釣技として上手にバラすこともひとつの方法です。へら竿はへらぶな以外に折られていることが多い」とも話しています。

誰もが経験するであろう両手を使った拝み取り。しかし楽をしようと、元竿の中央部に片方の手を滑らせて耐え、立ち上げようとしてしまいがちです。しかし、これは折ることを想定したような動作で竿折損の原因にもなりえる行為です。両手を揃えて竿のパワーを利用しながら魚とのやり取りを愉しみましょう。

Point 5

取り込み時に仕掛けをつかむ行為もNG。

スレでも玉網を使うべき。

 

「スレた魚をフラシへ入れない意志」を表すために、玉網を使用せずに仕掛けをつかんで引き寄せる人がいます。仕掛けが短いと穂持ちまで大きく曲がってしまううえに思わぬ力が加わって折損の危険が高まります。瞬間的に強い力で鋭角に竿を曲げる行為は、竿を傷めます。できる限り、竿の長さに合った玉ノ柄と組み合わせた玉網で取り込むようにしてください。

リリースもしっかり玉網で!

面倒と思わず、しっかり玉網を使い、フィニッシュまでへら竿を大事に扱いながら愉しみましょう!

ー 実釣時 ー タナ変更の時も周りをちゃんと確認してください

Point 6

桟橋、岩場や舟縁など、

硬いもので竿の塗膜を削るのは要注意。

 

桟橋や舟、岩場の上に竿を置くことは、折損の原因となります。例えば釣り桟橋で、タナを変えるためにウキをずらそうと竿を手繰ったとき、後方では、桟橋の縁、フラシ掛けなどで塗装面が削られて傷つけてしまっていることがあります。桟橋だけでなく、舟釣りの場合も舟縁、オールのクラッチで同様のことが起こります。傷を防止するために、必ず手元から竿を抜き、傷つきにくいところに抜いた竿を置きながらタナを変更して、継ぎ直すようにしてください。これは塗膜を摩耗や剥離させる傷の問題だけではありません。握り部は素材部(本体部分)よりも重量があるため、握りのすぐ上をぶつけた場合、ハンマー効果により、まるで叩き折ってしまうような亀裂を生じかねないのです。

桟橋・舟・陸っぱりなどは注意するところだらけ。愛竿を守るために自分なりの工夫を考えるのも一興!

ー 片付け ー 力任せに竿を抜かないでください

Point 7

釣りが終わり、帰り支度の際、

継ぎ竿を抜く時も細心の注意を。

 

玉口は、準備と納竿時にダメージを受けやすい部位です。継ぎが抜けた反動で障害物へ衝突させて欠けたり傷ついたりすると、込みの具合に影響を与えかねません。そこで抜いた先には何もないこと(空中)を確認し、逆の一方は桟橋へぶつけないように当て布または自身の身体(足など)でガードして玉口が削れないよう真っ直ぐ抜いてください。

片手を足に当て固定しながら、抜ける先に障害物がないか確かめて、ゆっくりと抜きましょう。

ー 帰り支度 ー 帰り支度は竿を守るための注意事項でいっぱい

Point 8

なぜ二層式の竿袋があるのか?

二層式の竿袋を有効に活用。

 

愛竿を汚れと傷から守る竿袋には、二層式もあります。これは二本仕舞いという並継竿の形式から、元と元上の接触を防ぐのが目的です。とくに塗膜の薄い軽量モデルは摩耗により、深い外傷ダメージを負ってしまう危険があります。擦り傷防止のため、二本仕舞いの並継竿を片側一層へ入れるようなことは避けてください。

Point 9

竿は、金属部品や箱といった “角のあるもの”と一緒に収納するのはNG。

細心の注意を払い、最悪の事態を想定しておくこと。

 

竿を保護して運搬するはずのロッドケース内で、竿が傷ついてしまう場合もあります。ロッドケースは一~三層のタイプがあり、各層ごとに分けて収納できます。同じ層へ竿だけを収納している場合は問題ないのですが、ハリス計測具(ハリを掛ける金具が当たる)、ウキ箱とハリスケース(木製の箱形で角が当たる)、パラソルの柄(金属製でネジが付いている)などと混載した場合は、接触により竿が傷つきます。使用予定のない竿まで入れた過剰収納のケースも、竿へストレスが生じるため芳しくありません。車釣行の例会時に相乗りで竿ケースが重ねられ、車の走行振動で竿が擦られている状況は、摩耗ダメージが心配されます。また、根掛かりを外す時なども十分にお気をつけください。さらにドボン仕掛け等の重いオモリを使う場合、軽量長尺モデルの薄膜塗装へオモリが弾丸のようにぶつかると深い傷が生じる場合もあるので注意が必要です。

竿とウキ箱などを同じ層に入れない。

竿とウキ箱などを別層に入れる。

ロッドケースは余裕を持って収納する。

使用後は、竿を拭いて水気を取り収納してください。穂先は特に太径から細径に向かって拭い、逆方向は避けてください。細い先から太い元へ向かって拭くと、折れる危険があります。また乾燥させた状態での収納で塗膜が健全に保たれます。

ロッドケースは他の荷物の下敷きにならないように積み込む。