ロックショアで使うグローブって、世の中にたくさんあるし、シマノからも今まで何種類か出てたと思うんです。でも正直、自分の中で「これだ!」って思えるものには出会えなかったんですよね。
というのも、人の指の長さってそれぞれ違うじゃないですか。既製品だと指先が余ったり、逆に詰まって痛くなったりして…。自分は何度もそれを経験してきました。で、やっぱり自分が一番大事にしてるのが「指先の感覚」なんですよ。
たとえば、ラインがプールから抜けていくときの微かな抵抗とか、ブランクスを握ったときの繊細な反応とか――それを感じ取れるかどうかって、釣果に直結すると思ってます。だからそこだけは、どうしても妥協したくなかった。
今回のグローブでは、キャスト時に負荷のかかる人差し指だけを保護して、あとの4本の指は出してもらいました。右でも左でもキャストできるようにしてるんで、自分のスタイルに合わせて使えます。
手のひらには全面にハイグリップスエードⓇを貼ってるんですけど、これがとにかく滑らない。グリップ力があるってことは、余計な力を入れなくていいってこと。無駄に握力を使わないから、長時間の釣りでも疲れにくいんです。しかも全面だから安心感もあるし、濡れててもちゃんと効いてくれる。
しかもこのスエード、厚みを抑えてあるから、感覚がしっかり残るんです。自分なんかはフロントグリップの先の方を持ったりもするんですけど、ちゃんとグリップするし、リールのハンドルもすごく握りやすい。細かい操作がちゃんとできるんですよね。
キャスティングのときに一番使う人差し指の部分には、カンガルーレザーを使ってもらいました。これがまた、薄いのにしっかりしてて、強いんです。キャストを何百回も繰り返すような釣りでも、ちゃんと守ってくれるし、感覚はそのまま。
さらに、手の甲にはタイタニューム・アルファを採用して、防寒性も確保しました。冬の冷たい風の中でも手全体はちゃんと温かく保ってくれる。でも、指先は出してるから感覚は損なわれない。寒さは感じるけど、「釣りの感覚を守る」っていう優先順位を自分は選びました。
実際、フルカバーのグローブと比べたら指先は荒れます。でも、釣りの最中に感じるストレスは、圧倒的に少ないです。それにこのグローブ、ほんとに“無駄がない”んですよ。守るところは守って、必要な感覚はちゃんと残す。そして滑らない。素材の選び方が、本当に“適材適所”。
プロトの段階から何度もテストしてきましたけど、破れたりもしてなくて。これ、素手より良いかもしれないな、って本気で思ってます。最初の試作は手のひらが柔らかい素材で、使い込んだらすぐ破けちゃったけど、それでも気に入りすぎて「返したくないです!」って担当に言っちゃったくらい(笑)。
でも最終的に、掌にハイグリップスエードⓇを使ったバージョンができあがって、それ以降はずっとそれを使って釣りしてます。薄くて滑らなくて、感覚がちゃんと伝わって、守るところは守ってくれる。このグローブに変えてから、釣りに集中できる時間が圧倒的に増えました。
ロックショアに本気で挑むアングラーにこそ、ぜひ一度試してもらいたい。これが、自分が今の釣りに求めた“理想のグローブ”です。そして、釣果を支える存在になってくれたら嬉しいですね。