このウキはかなりこだわり抜いて完成させました。釣りとしてはずばり磯際狙い。私は“石ころの釣り”と表現していますが、岩の割れ目に魚がいてマキエを沖に撒いても出てこないような、喰いの渋い居着いているグレをメインターゲットにしています。ウキを見てアタリを取るために、潮を噛むのではなく小アタリにも敏感に反応するシャープな形状となっています。塗装にもこだわり、わずかなウキの動きを判別するためにマットカラーを採用しています。またウキのヘッドを少し凹ませることにより、ウキを少し沈めたときの浮き上がりも抑えています。
特に難しかったのは小さなボディへのDVCの搭載ですね。今までは半遊動の釣りで小さなアタリを取れるような、DVCを搭載した小さなウキはシマノのラインナップにはありませんでした。ぜひDVCは搭載したかったのですが、感度を良くするために径を小さくすると、それが非常に難しくいろいろ試行錯誤しました。最初はDVCのシリンダーをひとつにしていたのですが、そうすると浮力の調整幅が約0.12g、G6相当しか設定できなかったので、思い切ってシリンダーを2つ設け、調整幅を約0.24g、G3相当まで広げることができました。0のウキにオモリをひとつ打ち、その状態でDVCを調整すれば、少し浮かせる、少し沈ませる、思い切り沈ませる、といった設定が可能になっています。
パイプにもこだわっていて、今回は上下にリングを入れています。さらに上側のリングを2.6mmに、逆に下側は00~Bまでを1.6mm、2B以上を1mmにしています。これによって軽い半遊動仕掛けにするときはシモリ玉を使う必要がなく、ウキ止めがパイプ内の下部で止まるためアンダーロック状態になります。そのためアタリが出たときに、より小さなアタリにウキが敏感に反応してくれるようになりましたし、2B以上に関しては確実にウキ止めが止まる仕様になっています。また、従来のゼロピットのパイプと重量を合わせるためにリング形状を工夫し、これまでのゼロピット搭載ウキにも同じ浮力で使うことができるようになっています。