JOURNAL
アキアジは遥遠旅の果て、母川の追憶で錦秋に染まる
こんにちは!サポートアングラーの矢野元基です。
北海道の秋の風物詩とも言えるサケ(アキアジ)釣りは道内の釣りで最もポピュラーかつ人気があり、多くのアングラーを熱狂させます。サケ釣りに適したコルトスナイパーSSロングが発売されたことをきっかけに、久しぶりにショアから浮きルアーを振ってきました!
サケ釣りの歴史について
北海道を代表する魚と言えるサケ(アキアジ)。古くはアイヌ民族も縄文の昔から冬を越すための大事な食糧として「神の魚」と崇めていた。その資源管理は徹底され、未来永劫漁獲できるよう食べる分や交易の分など必要な数を獲り、人間以外の動物たちにも配分されるよう意識し⾃然のサイクルを守ってきた。
江戸時代に入り、サケは国力を支える「貴重な水産資源」として注目されはじめる。そのため、国策としてサケを求めた和人が北上をすすめた。一方、世界史ベースでは防寒着としてヨーロッパで最高級品とされたラッコの革を求めたロシア人が南下を開始。両者が道東や千島で接触し、日露外交の最前線となる。このように、サケは近代日本史と深く結びついている。
そして時は流れ昭和の終わり、道東太平洋で投げ釣りの竿にサケが相次いで掛かった。それまでの産卵のため戻ったサケは「エサを食べないので狙って釣れない」という定説が覆った瞬間だ。高級魚サケが海で釣れるという情報は北海道のアングラーには衝撃で、瞬く間にサケ釣りのムーブメントが巻き起こる。当時は、河口規制などのルールも無く、アングラーが大挙して遡上河川の河口でサケを釣った。乱獲やゴミ問題、不法侵入などのトラブルが頻発していたらしい。幼少期は贅沢にもサンマ(当時は1匹数十円だった)のぶつ切りを餌にぶっ込み仕掛けでサケを釣ったものだ。今では一般的となった浮きルアーなる革新的な攻める釣法が生まれたのは私が小学生くらいの時だったろうか。その後もサケを擁する「地元や漁業者とアングラーの摩擦を繰り返し」経て規制が強化され続け今にいたる。
久しぶりのサケ釣り
私も幼少から道内アングラーのソウルとも言えるサケ釣りに精を出した。結婚してしばらくは妻を連れサケ釣りもしていたが、とても混雑したポイントで竿を振ることによってキャストしようとしたルアーのフックが刺さるなど多くの事故を目にしてきたこともあり、次第に足も遠のく。ここ7年ほどはショアからのサケ釣りはやっていなかった。
しかし、コルトスナイパーSSロングが発売されることを機に再開した。昨年より発売する旨は聞いており、今春にはプロトモデルを預かりその完成度に「このロッドでサケを釣ってみたい」と思えたからだ。
サケ釣りは戦いだ。夜通し不眠不休で持ち場を守り、いざ夜が明けるとファランクスさながらの密集陣形や信長の鉄砲隊さながら二段構えの段列で挑むこともある盛況ぶり。そんなことから北海道のサーモンフィッシングシーンでは「チャンバラ(竿同士がぶつかり合う)」に耐えうる剛健なショアジギングロッドは多用されてきた。大混雑するポイントでサケに主導権を一時も与えず巻き寄せ抜き上げるロッド。それがかつての「コルトスナイパー」であり、憧れの存在だった。今回のSSロングもショアジギングロッドがベースであり、軽量で握りやすい細身のグリップでティップはサケの繊細なアタリを感じる柔らかさがあるのだが、胴元の剛健さが目を引く。実戦環境での使える道具、まさに「武人の蛮用」に最適なロッドだ。私がS130で妻はS120を携え、いざ勝負。
太平洋サーフでロッドの初陣と入魂
例年、太平洋の一部では8月より釣果の便りが聞こえ始めるがここ数年は不漁で釣果も乏しかった。今年は8月半ばより、散発的ながら昨年よりは釣れているよう。期待しつつ8月末に太平洋サーフへ向かう。深夜にポイントへ到着し、仮眠し夜明け頃に起床。さほど混雑しないポイントという認識だったが、すでにサーフにはアングラーがズラリと並ぶ。急ぎ激戦区を避け列の端へ。周囲の状況を確認すると、激戦区では5本ほどの釣果でその周囲では数本とのこと。
準備をしていると友人がすでにサケをずりあげている。どうやら「浮きジャケ」を回収した模様。浮きジャケとはヒットしたサケが浮きを付けて徘徊している様で、しばし群れの位置を捕捉するために放置されたり仕掛けとサケごと回収されたりする。銀ピカ(魚体が淡水を感じて婚姻色が出ていない状態)で大型のメスだった。
棚が深そうだったので私は浮き(誘導式)下1.2mほど下に45gのスプーンをセットし、ピンクの蓄光タイプのタコベイトに段差フックのセッティング。フックの1つにカツオを縫い刺ししてキャストを開始。フルキャストはせず50mほど飛ばしデッドスローで誘う。ジギングロッドとは思えない軽快感と曲がり。グリップが細身で握りやすく、フィーリングはとてもよい。
浮きルアー」とは浮きの下に大型のスプーンを付け、沈ませず一定の層を極力ゆっくりと引くことに特化しており、ゆっくりとした動きのモノに喰らいつくサケの習性にマッチした北海道独特のメソッドだ。セオリー通り極力ゆっくりリーリング(1回転/10秒)していると、すぐにコツコツというサケ特有のアタリが。ここで焦ってアワセてはいけない。このタイミングでサケはルアーのリーリング方向と同調しルアーをハグハグと口で確かめている状態。フックが刺さるかガッチリとルアーを咥え反転し重みが加わった状態でアワセなければフッキングしない。このもどかしい時間が1分ほど続くことも。
アタリから15秒ほどか、コツコツとしたあたりからグングンと重みを感じたところで針掛かりしてそうなので大きくフッキング。ここで「手加減してはサケの硬い口にフッキングしない」ので、力を込めてアワセる必要がある。その後はロッドのレングスとパワーを生かし、難なくランド。75㎝ほどの大きく綺麗なメスだった。
ほどなく70㎝ほどのメスも追加し順調に釣果を重ねる。
その後、地合いが終わったのか釣果が落ち着いてきたが妻にはチャンスが訪れず時間が過ぎる。シーズン序盤に釣っておきたいという思いからか、昼過ぎまで粘ることに。
私が疲れてサーフで寝ていると妻にヒットしたとの友人の声が。いつも私がサーフで寝てる時に妻がヒットするのは気のせいか・・・。寝ぼけたまま駆け寄るとランディングに苦戦しており、かなり大きい。やっとの思いでキャッチ出来たのは82㎝、大型のオスだった。
当日は「メス群れ」で私も周りもメスしか釣れていなかったが、フィールドで見た中では断トツで大きなカッコいいオス。コルトスナイパーSSロングの初陣で夫婦揃って入魂という満足のいく釣行だった。
オホーツクでの釣行を経て
9月に入り、オホーツク海での釣行を開始。現地の友人に状況を伺うとポツリポツリと釣れている模様。10月からは湖の釣りにシフトしたいため、9月中になんとか数を重ねたいと遠征を繰り返した。海況が悪く竿を振れない日も多かったが、グルメ旅をしつつそれなりに満足のいく釣果を得られた。コルトスナイパーSSロングを使い気付いたこととして、ゴロタなどは波が高いと海に近付くのは危険なため、波打ち際から下がってキャストをすることになる。そのような場合でも、波打ち際のヒットゾーンをロングレングスを活かしてロッドを立てて、足元まできっちりと探る事が出来る。
また、大岩が並ぶゴロタは足場が悪くフットワークに難があるが、強靭なバットパワーでサケを簡単にランド出来た。これは大きなアドバンテージだろう。鱗が剥がれる銀ピカの魚体、山の木々よりも早く錦秋色に染まった魚体が楽しませてくれた。長旅の末、故郷である母川を前に婚姻色が現れたその姿には、言葉にはできない感慨がある。
最後に、冒頭でも触れたがサケ釣りは高価な魚が手軽に釣れるという魅力から、釣り場に沢山のアングラーが集中しあらゆるトラブルの温床になる。減少の一途を辿るサケ資源保護のため釣りの自粛を促す地域もあり、漁業者や地域からの目線も厳しい。ルールもより釣り人へ制限を掛ける内容に見直し続けられている。各地域では熱心な「有志の方々がこの釣りを守るために大変な尽力」をしていることを忘れてはならない。強くお願いすることとして、地域でのマナーモラルの遵守は勿論、何らかの呼び掛けや指摘をされた場合は「素直に従って」ほしい。我々アングラーはその地域でサケ釣りをやらせてもらっていると常に意識する必要がある。
遠征飯とサケ料理
①炭火やきとんブッチャー横山(網走市)
昔、網走で一緒に釣りをしたサケ漁師さんの御子息(当時中学生!)に教えていただきヘビーリピートをしている炭火焼肉店。なんと、豚レバー1人前280円と破格だが驚きの旨さ。サッと炙り大量のすりおろし生姜と甘めのタレを纏ってビールで流し込む幸せを知ったら最後だ。我が家はどハマりして行き過ぎ、店主馴染みに。私はこの焼肉を食べる目的で網走へ行っているのかもしれない。ついでに釣りをすることもあるだろう。道の駅などで配布される市内のグルメマップを持ち込むとホルモン1人前のサービスもあり。近くに公衆浴場もある。
②ラーメンだるまや網走店(網走市)
釣り人に人気のラーメン店。店内の20名以上の客全員アングラーだったという冗談のような経験がある。釣りとラーメンの関係は深く、釣りは寝不足で寒さに耐えつつも体力を消費するためか釣行後は塩分とカロリー、暖かさを早急に欲する。ラーメンは儀式的な締めとして習慣化する者も多い。私のおすすめはからあげセット。人気のらーめんに唐揚げ3つとご飯がつく。ご飯はおかわりもできる。私はどろラーメンの大盛りを選択し、勿論ご飯はおかわりする。
③サケ料理 サケジェノベーゼパスタ
サケ釣りシーズンは道の駅や直売所に生バジルや激辛青唐辛子がよく売っている。それらを松の実、オリーブオイルと一緒にミキサーし、焼いたサケとパスタと混ぜるだけ。青唐辛子を沢山いれて辛くするのが好みだ。
④イクラご飯やサケフライと石狩汁サケトバなど
釣ったサケは感謝を込めて美味しくいただきたい。
TACKLE & EQUIPMENT タックル&装備
使用タックル
<矢野元基のタックル>
ロッド:コルトスナイパーSSロング S130
リール:ツインパワーXD C5000XD
ルアー:スプーン45g 35g 赤シルバー黒ドッド ピンクタコベイトに段差フック
ライン:ハードブル+ 2号
リーダー:オシアEXフロロリーダー40ポンド / エクスセンスリーダーEXフロロ30ポンド
<矢野愛実のタックル>
ロッド:コルトスナイパーSSロング S120
リール:ヴァンフォード C5000XD
ルアー:スプーン55g 45g 35g 赤シルバー ピンクタコベイトに段差フック
ライン:ハードブル+ 2号
リーダー:オシアEXフロロリーダー40ポンド
<矢野元基のタックル>
-
ロッドコルトスナイパーSSロング S130 -
リールツインパワーXD C5000XD -
ラインハードブル+ 2号 -
リーダーオシアEXフロロリーダー40ポンド -
リーダーエクスセンスリーダーEXフロロ30ポンド
<着用アイテム>
矢野愛実のタックル
※記事内で紹介されている製品は、旧モデルの可能性がございます。