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盛夏の十勝ワイルドブラウンを求めて

皆さま、残暑厳しい折、体調など崩されてはいないでしょうか。こんにちは、シマノサポートアングラーの米澤です。今回は、盛夏の北海道/十勝の渓流や湖を舞台にブラウントラウトを狙った釣行についてお届けします。

北海道全域で記録的な猛暑

7月下旬、北海道地方は記録的な猛暑に見舞われ、十勝地方(帯広)では管内最高となる38.8度を観測しました。 一昔前は避暑地と呼ばれていた北海道も、近年では本州の気候や暑さに近づいてきているように感じます。 かつては北海道の家庭にクーラーが設置されていることは稀でしたが、今ではクーラーなしでは生活が難しいほどです。

そんな猛暑もひと段落した8月上旬、妻を伴い十勝川水系の上流部へ向かいました。

この時期の十勝川水系は近年、降雨量の少なさによる夏の渇水で「夏枯れ」している河川が多く、さらに前述の猛暑による水温上昇も顕著で、釣り場の選択が非常に難しい状況でした。いくつかの河川、流域を巡り今回は比較的、水量と水温が安定している河川を選びいざ入渓です!

最初にエントリーした河川。減水しておりすぐに離脱
夏の北海道らしい蝦夷鹿がいる夏の風景

川霧が立ち込める渓で

この渓流へのエントリーはまずそこそこなアップダウンがある森の中を悶絶しながら上り下りして入渓するところからスタートします(笑)もちろん羆のテリトリーであるため、熊スプレーやホイッスル、携帯用のナイフなどを準備し、足跡などの痕跡がないか細心の注意を払いながら進みます。

アップダウンがキツイ入渓地点。足元に気を付けて進む
笹薮は特に注意して進む。十勝の笹薮は低い

無事に入渓。8月ということもあり、気温、湿度が高く水蒸気を含んだ暖かい空気が水面近くで冷やされて霧状になるこの夏の時期特有の川霧が発生しており、とても幻想的な風景。

水面には川霧が発生している

湿度にもよるところはありますが川霧は気温と水温の差が平均5℃~6℃で発生するのでこの日の朝の気温が23度ということは表層付近の水温は測らずとも10度後半くらいかなというところ。データ上この川がこれくらいの水温であれば魚たちも元気にルアーを追ってきてくれるはず・・・。期待に胸が膨らみます。

ヨネ流トップウォーターメソッド

この日は盛夏。例年であればトップウォーターの最盛期である。十勝地方では、この時期になるとエゾセミやコエゾセミが煩いほど鳴いているものですが、今年はほとんど聞こえず。陽が射したときに耳を澄ませば、遠くで数匹が鳴いているかな?という程度。先日までの猛暑で羽化サイクルがおかしくなってしまったのか、雨が少ないせいで土が硬くなり羽化できないのか・・・。近年、こうした状況はしばらくなかったので、やはり異常気象の影響なのだろうと感じます。

経験上、セミが鳴いていなくてもセミルアーで釣れるのですが、やはりセミの鳴き声が響いている方が、不思議と釣り人のモチベーションは上がるものです(笑)そして今日のルアーボックスの中身(1部)はこちら。

セミ、ハチ、バッタ、トビケラなどの虫系ルアー

釣り仲間から「変態ボックス」と呼ばれている、僕自慢のトップウォータープラグたち(笑)。まずはトップウォータールアーで探り、魚の反応がなければシンキングミノーなどにチェンジしてさらに探る。これが僕の夏の釣りのルーティンであり、面白いほどハマることがあるのです。ちなみに川縁の草にはガガンボが大量にハッチしていました。

マッチザハッチではないが魚は水面を意識しているはず

セミルアーを使ったトップウォーターの釣りといえば、よく「ほっとけメソッド」、つまり何もせずにただ浮かべて待つ釣り方があります。けれども僕の場合、それでは退屈に感じてしまうので、極力ルアーを動かすようにしています。
といっても闇雲に動かすのではなく、ナチュラルに、まるでセミが水面でもがいているようなリアルさを、自分のアクションで演出するイメージです。

具体的には、ロッドのティップを左右に超微振動させ、その波動をラインに伝えてルアーを細かく震わせます。そのときに生まれる波紋が、実際にセミが水面で暴れているときの波紋に近づくよう特に意識しています。幸い、僕が使っているストプレ(カーディフ ストリームプレミアム)はティップがしなやかで適度に張りもあり、収束も早いため、この微振動を生み出しやすいロッドといえるでしょう。

これは本物のセミだが、こんな感じの波紋を意識する

文章ではこれ以上細かく伝えるのは難しいのですが、このアクションと静止を繰り返したり、クロール(セミルアーをスローリトリーブで泳がせる動き)を織り交ぜたりすると水面を意識しているお腹を空かせた魚たちが、たまらずバイトしてくるのです(笑)これが僕の主要なトップウォーターメソッドです。

もっと詳しくお知りになりたい場合は来年のトップウォーターガイド(5月末~8月末)に是非お申込みくださいませ(笑)
Trouty one Guide Service

水面爆発!ワイルドブラウンとの出会い

この川特有の、少し開けたポイントに到着。水は一見止まっているように見えますが、実はゆるやかな流れがあります。

対岸のオーバーハング下が好ポイント

こうしたポイントでは、前述したメソッドが活きます。羽根付きのセミルアーを対岸のオーバーハング下へ山なりにキャストし、派手に着水させてまずは魚へ強くアピール。細かくシェイクし、ルアーを止めた瞬間激しく水面に水柱が立ちました!

何度経験しても思わずビクッとなる瞬間ですが、慌てずにワンテンポ「合わせ」を遅らせ、確実にフッキング。
猛烈に抵抗する魚。寄せてくると、黄色く輝く魚体が水面にやや浮かび上がりました。狙いのブラウントラウトです。
しかも大型!

じっくりとやり取りし、ついに勝負あり。ランディング成功、歓喜の瞬間です!「妻に自慢しよう!」と振り返ると……はるか後方に(笑)釣りに夢中になり、かなり先まで進んでしまったようで、またしても置いてきてしまったようです。

改めて魚を確認。北海道らしいワイルドさを備えた、黄色味の強い50upのブラウンでした。

オスのブラウンは特にカッコイイ
ストプレとブラウンと渓相がベストマッチ!
背中のブラウンと同じようなブラウン!

じっくり観察し、至福の撮影タイムを終えた後、元の流れへとリリース。その後も数匹を追加し、満足しこの川を後にしました。

僕のストプレはB60UL、妻のストプレはB54UL

セカンドラウンドは止水のワイルドブラウン

連日の釣行。前日に渓流でワイルドブラウンを釣った余韻もあり、この日は止水でトップウォーターをのんびり楽しもうと、少し遠征してダム湖へと車を走らせました。広大なフィールドは渓流と違い、そこまで足を使わず体力的にもエコな釣りができるため、連日釣行のときによく選ぶスタイルです。

木々の緑が水面に反射して一面が緑の世界
べた凪はリフレクション写真が美しい

この日は快晴。朝から風ひとつなく湖面はべた凪。沈める釣りの場合、波風がないと釣果は伸びませんが、トップウォーターではむしろ魚の反応が丸見え。凪の日の止水は格別に楽しいのです。

美しいミヤマカラスアゲハも湖面で吸水中

湖面ではウグイと思われるライズが多数ありました。その一方で、ルアーの届かないほど沖では、モンスタークラスの大きく太い魚が水面スレスレを飛ぶ蝶を狙い、垂直にジャンプして捕食していました。届かない魚ながら、モチベーションが一気に高まるシチュエーションです。

オーバーハング下を念入りに攻めていきます。岸から少し離れた岩盤のブレイク付近に魚影を見つけ、そこへセミルアーを何度かキャストしシェイクを繰り返していると、大きな黄色い魚が急浮上しルアーの真下へ!最も緊張する瞬間です。動かし続けるか、止めてしまうか・・・。

このときは動かし続けることを選択。さらに少し自分の方へ引いてくると、魚が追ってきて大きな口を開けながら迷いなくバイト!水面が激しく割れ、ファイト開始。寄せては深みに戻ろうと繰り返し抵抗する魚を、2分ほど慎重にやり取りし、無事にランディング。

手のひらよりも圧倒的に大きい顔
この魚もストプレでキャッチ

口が大きく裂けた見事なオスのブラウン。 このサイズになると一気にワニっぽくなるこの魚。人気があるのもうなずける格好の良さ。その後はパタリと良い魚が出ずにウグイをたくさん釣り終了しました(笑)

記念にニコパチ。天気が良いと自撮りも映えます

帰り道、この近辺に釣りに行くと必ず立ち寄るナポリタンが美味しい喫茶店があり、そこのナポリタンを食べ、その後近くのモール温泉に入って 家路につきました。

熱々のスキレットで提供される大好物のナポリタン

良い魚を釣って、美味しいご飯を食べ、遊び疲れた身体を大好きな温泉で癒す・・・釣り人にとってこれ以上の幸せがあろうか・・・なんとも贅沢な一日でした。

TACKLE & EQUIPMENT タックル&装備

使用タックル
ロッド:カーディフ ストリームプレミアムB60UL、カーディフ ストリームプレミアムB54UL
リール:カルカッタコンクエスト BFS XG LEFT
ルアー:セミルアー(他社品)
メインライン:PE1.0号(他社品)
ショックリーダー:ナイロン14lb(他社品)

insta360 Ace pro2、iPhone16pro

※記事内で紹介されている製品は、旧モデルの可能性がございます。

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