本流ヤマメの釣期

本流ヤマメのシーズンは地域によって微妙に異なりますが、4~7月中旬が一般に盛期とされています。

アカシアの花が咲く頃がシーズンインの目安といわれているように、本流域は渓流域よりやや遅れてシーズンが始まります。本流域のヤマメは冬からの目覚めが遅いためで、解禁直後は渓流や沢のほうがよく釣れます。本流ヤマメは雪代が収まって水温が安定してからが本番です。

7月の七夕前後になると水温が高くなり、冷水系の魚であるヤマメは活性が落ちてしまいます。この頃は産卵を控えた個体が上流へ移動する時期でもあり、ポイント選びがやや難しくなります。シーズン後期は放水口や湧水周り、伏流水のある所など、水温が低めで安定している場所を狙ったり、朝夕のマヅメ、雨が降って水温が下がったときなど水温が下がるタイミングで竿を出すとよいでしょう。

真夏以降のシーズン終盤は、ダム湖などから遡上するランドロックのヤマメがおもしろくなります。本流というカテゴリーからは外れますが、これも40cmを超える大型が望めます。

本流ヤマメのシーズンは渓流域よりやや遅れてスタートします。水温が安定する初夏からが本番です。

高水温期は湧水や伏流水などで水温が低めに安定していそうな場所を探すとよいでしょう。

水温が高い夏場以降はポイント選びがシビアになります。こまめに移動してヤマメの活性が高い場所を探りましょう。

ポイントの設定法

本流域でもヤマメはヤマメであり、渓流域のヤマメと習性は同じ。したがって、狙うポイントは基本的に渓流域と同じで、本流のポイントは渓流域のポイントが大きくなったものと考えてよいでしょう。代表的なヤマメのポイントは、2つの流れの合流点、瀬から深みへ落ち込んだ流れなどで、ヤマメが常食している川虫が流下する筋を狙うのが基本です。

ただし、同じ流れ込みでもポイントとしての優劣はあります。私が常に気にしているのは、ポイントの上流に川虫が着く石があるかないか、つまりポイントへ流れ落ちる川虫が多いか少ないかです。

本流域に棲息するクロカワムシが着く石が豊富にあれば、その下流の流れ込みはかなり有望です。特に川虫が増え、羽化も始まる5月以降になると、このようなポイントが爆発することもあります。

一方、岩盤底の下流にある流れ込みでは、私自身いい思いをしたことがありません。大型ともなれば老獪で、効率よくエサを喰う術を身に付けています。「川虫の多少」と「川虫が流下する筋」の2点は、ポイント選びの大きな要素となります。

本流ヤマメのポイントは、常食している川虫が流れてくるかが重要。ポイント上流の環境も関わってきます。

本流ヤマメのポイントは、常食している川虫が流れてくるかが重要。ポイント上流の環境も関わってきます。

川底の障害物も要チェック

もうひとつ、私がポイント選びで必ずチェックするのは、ポイント周辺にヤマメが身を隠せるものがあるかないかです。ヤマメが身を隠すものとは、川底の大岩や消波ブロック、岩盤のエグレなどを指します。利根川のように大岩がゴロゴロ入った川があれば、鬼怒川の中流域のように石の大きさが比較的揃った川もあり、川底の地形は河川によって様々ですが、ヤマメが身を隠せる場所が多ければ多いほど、ポイントして有望であるといえます。

水深が浅い場所では障害物の有無を目で確認できますが、水深のあるポイントなどでは川底の石が見えないことも多々あります。この場合は水面をよく観察してみましょう。

モワッと鏡のように流れが吹け上がっている箇所があれば、その前には石などの障害物が入っています。吹け上がりの鏡が大きいほど障害物も大きいと考えられます。流速のある場所では湧き返しの勢いが強く、落ち込みの流れが開く場所では湧き返しがゆったり出ます。

落ち込んだ流れが勢いよく当たる石は流速が速くてヤマメが着きにくいので、流れが適度に落ち着く流芯の脇や開き付近にある石のほうが、ポイントしては有望です。これに加えて、石のどちら側かが深く掘れていれば申し分ありません。

生きた流れが当たっている場所は、湧き返しができては消え、を繰り返しています。このようなポイントは流れに変化があるといえますが、底層の流れは比較的落ち着いています。このようなポイントはヤマメが定位しやすく、エサも喰いやすいうえに、仕掛けを止め気味にしてエサを吹け上がらせるなど、様々な演出が可能です。

大きな湧き返しが勢いよく出るような場所は流速が速すぎてヤマメが嫌うので、水面をよく見て、生きた流れが当たっている場所を探すよう心掛けましょう。

瀬からの流れが深みへ落ち込む場所は、本流域においてもヤマメの好ポイントです。

2つの流れが合流する箇所も代表的なヤマメポイント。消波ブロック周りは大型が居着く場所です。

大小の湧き返しができているのは生きた流れが当たっている証拠。ヤマメがエサを喰いやすい場所です。

流れが開いて消えかかる箇所は流れが落ち着いており、エサを止めたり吹け上がらせたり、様々なアプローチが可能です。

岩盤のエグレにもヤマメが着きます。地形の変化がある場所は積極的に狙いましょう。

水深や水量とヤマメの活性の関係

私の経験では、水深は深いほど警戒心の強い大型が着きやすいように思います。水量は少なすぎるよりも、やや増水気味のほうが好条件です。

水温の高い夏場は、夕立などで水が出た短時間にヤマメの活性が高まることもあります。本流ヤマメは笹濁り程度なら問題なく喰ってきますので、できるだけ条件のよいタイミングで竿を出したいものです。

(次回へ続く)

夏場の本流域において、水温が低い早朝はゴールデンタイムです。

雨も高水温期においては大歓迎。少しでも水量が増えればヤマメの活性も変化します。