本流ヤマメ釣りってどんな釣り?

渓流釣りの1ジャンルとして定着した本流釣り。広い本流域では、多くの魚を狙うことができます。これらを大別すると、ヤマメやアマゴといった陸封魚と、サクラマスやサツキマス、アメマス、サケなどの遡上魚の2つになります。

本流ヤマメ釣りをひとことで言うと「食性の釣り」といえるでしょうか。陸封魚は一生を河川内で過ごします。川は生活の場であり、生きるためにエサを口にします。つまり、本流ヤマメ釣りは、エサをエサとしてヤマメに喰わせる釣りといえます。これが「食性の釣り」です。

一方の遡上魚は、川で生まれた後は成長過程の大半を海で過ごし、川へは産卵のために戻ってきます。多くの魚は産卵活動に入るとエサを口にしないといわれています。サケ・マス科の魚も例に漏れず、産卵のために川へ入った個体は、基本的にエサを喰いません。

ではなぜ遡上魚はエサの付いた釣りバリに掛かるかというと、目の前にちらつく異物を威嚇するために噛み付くとされています。陸封魚の「食性の釣り」に対して、こちらは「リアクションの釣り」といえるのかもしれません。以上のことから、本流ヤマメ(アマゴ)釣りと、遡上魚を狙う釣りは、同じ本流釣りでもまったくアプローチが異なる釣りであると考えてよいでしょう。

本流で喰ってくるヤマメは40cm、50cmといった大型も少なくありませんが、基本的には渓流域の釣りと同じで、エサを自然に流して喰わせる釣りです。タックルやエサ使いも、強めのアピールで反射食いを誘うのではなく、渓流域と同じように狙ったスジへナチュラルに仕掛けを流し、違和感なく喰わせることを意識しましょう。

エサが豊富な本流域はヤマメが大きく育ちます。40cmオーバーも夢ではありません。

人間の生活圏のすぐ近くを流れる本流域。普段は気にも掛けない場所に大物が潜んでいます。

大型ヤマメの引きは強烈。取るか切られるか。終始レッドゾーンのやり取りはスリル満点です。

本流ヤマメ釣りのタックル

本流域であってもヤマメはヤマメであり、習性は渓流域で釣れる個体と同じです。しかし、本流域はポイントも大きく、ときとして4m以上の深場を攻めることもあります。タックルのセレクトも、広い川筋において狙ったスジ、あるいはポイントに、きちんと仕掛けを届けられることが第一条件となります。

本流のポイントは大きく、水深もあります。広い流れのなかで、狙ったポイントへ仕掛けを確実に入れられることがタックルセレクトの第一条件です。

●竿

30〜50cmの本流ヤマメを狙う場合、使用する糸の号数や魚のパワーを考えると、シマノの本流竿ならばHクラスが主力になります。平均サイズが小さいときはMHでもよいし、流れの押しが強かったり障害物が多い場所で強引なやり取りが必要な場合は、やや強めのHHクラスを使用してもよいでしょう。

長さは攻めるポイントに合わせます。川幅が狭い場所や流芯近くまで立ち込めるような川では7〜8mが扱いやすいし、川幅が広く流芯まで距離がある場所や水深のある場所では、9〜10mの長竿でないと攻めきれないケースもあります。

長い本流竿はどうしても重くなるので、風が強いときは細身の短竿のほうが風の抵抗を軽減できます。可能であれば長短の2種類を用意しておくと安心です。

これから本流釣りを始める人には『スーパーゲーム ベイシスZP』のHクラスがおすすめです。スパイラルXやパラボラチューンなどの技術により、上級機種と比べても遜色のない基本性能を備えており、長さも70-75、80-85、85-90の3種類があって、様々なシチュエーションに対応してくれます。

ある程度経験を積んで、さらなる感度や軽さ、操作性を求めるのであれば、『スーパーゲーム スペシャルZW』、尺上クラスを狙うのなら、ややライトな『スーパーゲーム ライトスペックZY』も使いやすいでしょう。

竿の長さは川の規模に応じて選択します。ポイントが近ければ7〜8mでも十分。大河川では9m以上の長竿が必要になることもあります。

本流ヤマメ狙いではHクラスが標準。尺〜40cm前後はもちろん、50cmオーバーのモンスターが喰っても取り込めるパワーがあります。

●糸

本流域のヤマメ釣りは、渓流域では出逢えないような大型が釣れるのが魅力です。一日に数度もないビッグチャンスをモノにするためには、無闇に号数を落とさないことです。

40cm以上の大ヤマメを仕留めるには、ナイロンもしくはフロロカーボンの0.8〜1号は必要です。細糸ほど喰いがよく、小さなオモリでもなじんでくれますが、まずは自分のウデと相談して、確実に取り込める号数を選択するようにしましょう。

手尻は30〜50cmほど取って、掛けた魚をなるべく水面で暴れさせないようにします。軟らかめの竿を使っているときなど取り込みでもたついてしまうときは、手尻をやや短めにするとよいでしょう。

大物と出会うチャンスはさほど多くありません。バラして後悔しないためには自信を持ってやり取りできる太さの糸を使うことです。

●ハリ

ヤマメも40cmオーバーとなれば引きも強烈なので、ハリもそれなりにしっかりしたものが必要です。ヤマメバリであれば中〜太軸の7〜8号が標準。大ぶりのエサを使うこともあるので、フトコロの広い大バリが適しています。

大型になるほど口周りが硬く、また深い場所で掛けた魚は安心しているのか、あまり反転して走らないので、しっかり合わせる必要があります。エサを付ける際は、必ずハリ先を出すようにしてください。

ハリはヤマメの強い引きに耐えられるよう、軸のしっかりしたものを選ぶようにしましょう。

●オモリ

糸が太く、ときとして背が立たないような深場を攻めることもある本流域では、オモリも重めのものが中心となります。私の場合は1号やBあたりから釣り始め、エサが底になじまないようであれば2B、3Bと重くしていき、ときには5Bクラスを複数打つこともあります。

オモリはガン玉タイプのみでOK。ヤマメ釣りでは頻繁にオモリを打ち替えるので、着脱が容易で糸を傷付けにくいゴム張りタイプがおすすめです。

本流域の押しが強い流れに太めの仕掛けをなじませるには重めのオモリが必要になります。着脱が容易で糸を傷付けにくいゴム張りタイプがおすすめです。

●その他

近年は1本物の通し仕掛けを愛用する人も増えましたが、私の場合、本流釣りに限っては極小のサルカンを介して道糸とハリスを結節しています。サルカンを用いるとエサが回転しにくく、ハリスの交換も楽に行えます。サルカンを使う場合、道糸とハリスは同号数を基本としています。

最近では使う人が減りましたが、強い流れでエサが回転しやすい本流域ではサルカンが有効です。

目印は見やすいものを選びましょう。黒い目印は逆光時でもよく見えます。

本流ヤマメ釣りのエサ使い

本流域はエサが豊富で、ヤマメも流下してくるエサを選んで喰っているように感じます。繰り返し仕掛けを流しても魚に飽きられないように、複数のエサを持ち歩くとよいでしょう。私が本流ヤマメ釣りでよく使うエサは以下のとおりです。

●ミミズ

本流域に限らず、渓流域でも多用するヤマメ釣りのメインエサです。川虫が少ない河川でもヤマメが反応してくれます。釣りエサ店で扱っている養殖ものでも十分なので、必ず用意しておきたいものです。

ミミズは川虫が少ない河川でもヤマメが反応してくれる定番エサです。

●ブドウムシ

サブ的に持ち歩くエサで、ミミズへの反応が悪くなったときなどに、目先を変えるために使うことがあります。ベストのポケットに入れておけるうえ日持ちもするので、ローテーションの一端として持っておくとよいでしょう。

ブドウムシはミミズで喰いが落ちたとき、目先を変えたいときに役立ちます。

●クロカワムシ

渓流域ではヒラタやピンチョロ、季節によってはキンパクが川虫の定番ですが、本流域はクロカワムシが多く、ヤマメもこれを常食しています。クロカワムシは底波に入りやすいことから、水深のあるポイントでは特に重宝します。

本流域に多く棲息するクロカワムシはヤマメが常食しているエサ。比重があって底へ入れやすいのもメリットです。

(次回へ続く)