チーム沖イカ

釣行データ

日時:2020年8月4日 6時出船・13時沖上がり
エリア:神奈川県 城ヶ島沖
天候:晴れ
潮回り:大潮(満潮4時12分、干潮11時15分)
船宿:栃木丸

現代のスルメスタイルにマッチする
「イカスペシャル」3つの個性

イカスペシャルの三機種を実戦投入!

2投目で5点掛けを達成した松田さん。「少ないチャンスで何度こうした多点掛けができるかという釣りなので燃えますよ!」とこの表情

 沖イカハンターのメンバーが集まって本誌の取材を受けるのは緊急事態宣言前の3月以来である。実に5ヵ月ぶりの取材とあって、いつも以上にワクワクしてこの日を迎えた。夏といえば私が愛してやまないスルメイカが楽しくなる季節である。ムギイカからどれくらい成長しているだろうか。

 沖イカハンターの小菅義弘さんと永井秀夫さんとともに向かったのはイカ釣りの聖地として知られる三浦半島長井港に軒を構える栃木丸。この日は同宿の名物であるイカ釣り教室が開催されるとあって僚船では大船長がイカ釣り入門者につきっきりでレクチャーをするという。そのおかげもあって我々3人は現在メインで舵を握る拓船長の船を貸し切りという贅沢!

 そして今日はもうひとつ大きな楽しみがある。それが密かにテストを繰り返していた沖イカ用ロッドの新たなハイエンドモデル、その名もイカスペシャルの三機種を紹介できることだ。

 8:2調子のM170を使ったのは小菅さん。9:1調子でスルメイカの直結もヤリイカのブランコも使いやすいMH160を使ったのは永井さん。そして私はツノ数の多い直結仕掛けをしっかりと操作できるシャクリ性能を追求した9:1調子のパワーモデルであるH155をチョイスした。

 

松田竜也の爆乗り注目ポイント
沖イカハンターの愛用アイテム

沖イカ用のハイエンドモデルとして登場したシマノ『イカスペシャル』。穂先の目感度、イカの重みを把握できる手感度、シャクリなどの操作性とパワーを大幅に向上させつつ軽量化に成功した

メンバーでテストを繰り返して完成した『イカスペシャル』。穂先には軽量UDグラス素材を特殊設計したチューブラー穂先を搭載。ブランクスは大型青もの釣り用ロッドに搭載されているスパイラルXコア、ハイパワーX構造を採用することで圧倒的なパワーとサオブレのない軽快な操作性を実現した。M170、MH160、H155の3アイテムをラインナップ(写真はMH160)

イカ用ロッドに初めてXシートエクストリームガングリップを搭載。指4本をグリップに掛けることでパワーロスなくしっかりホールドでき、疲労も軽減され力強いシャクリが可能になる

シャクリ時にブレず、シャクリ後は速く戻ることで、これまで感じることができなかった微かなアタリも明確なシグナルとして釣り人に伝えるUDグラスチューブラー穂先。沖イカにおいて最重要となる目感度と、重みを把握できる手感度をともに大幅向上。さらにネジリ強度もアップし、大幅な高感度化と約46%の軽量化に成功した

タテに濃い反応

探見丸CV FISHは魚群探知機で得られる5つの情報(海底水深、海底形状、群れの大きさ、魚のタナ、リールカウンターの水深)を表示。直射日光下で偏光グラス使用時でも鮮明に見える高輝度タイプの液晶画面が秀逸。大容量バッテリー『電力丸10Ah』は多点掛けを繰り返す直結仕掛けのスルメイカ釣りでも安定したパワーを提供する

 前日までスソはゼロ、トップでも15~20パイという、やや厳しい釣況が続き、大きな盛り上がりは見せていなかった。だからこそ大いに盛り上げるべく船上干しの満艦飾で景気づけといきたいところだが、城ヶ島沖に到着してみると濁りがまあまあきつい。やっぱり厳しそうかな~と思いつつ、「どうぞ。水深100m。70~90mにいい反応が出ています」という拓船長のアナウンスで第一投。

 ほぼボトム付近の反応だからとりあえず着底させて……という考えのメンバーはいない。そもそも現代のスルメイカ釣りは底から誘い上げていては群れの移動に間に合わなくなってきている。船長の指示を聞き、探見丸の映像から推理を巡らせ、最も濃い核心部もしくはその少し上へいち速く仕掛けを落とし込む必要があり、反応がなければ誘い下げていく。いちいち着底させていたり、濃い反応を通過させてしまっていては置いてけぼりを食らってしまう。

船長の合図と同時に仕掛けを投入。1日の釣りで投入できるチャンスはそう多くない。素早くタナまで落として適切な誘いを入れ、さらに仕掛け絡みなどのトラブルがないことも好釣果を上げる条件になる

 80mまで落とすとすぐにイカの触りを察知。速度8でただ巻きを開始すると幸先よくドン。見ればトモの小菅さん、左舷の永井さんも乗せている。さらに巻き上げ続けて追い乗せにも成功した。

 こうして1投目は、私が途中でバラシがあり2ハイ。永井さんは3バイ、そして小菅さんは5ハイという好スタートを切ったのだった。

 その次の合図でもタテ長の濃い反応が探見丸にしっかりと映し出された。サバのようなアタリも感じられるが直結仕掛けで難なくかわして5点掛けに成功。途中、重みが抜けたから6パイ乗っていたかもしれない。ブランコ仕掛けと違って、少しの仕掛けの緩みでイカはカンナから逃げ去っていく。この張り詰めた緊張感も直結釣りのゲーム性を高めていると思う。

プラヅノは14cm。12本の直結仕掛け

「5点掛けを達成した時点でこの日の釣りは大満足」と松田さん

ハマったときに多点掛けをねらっていくのが現代のスタイル

あっという間に干すスペースがなくなり2本目のロープを張ることに。釣っては捌いて開いて干してを繰り返し、船が減速すれば急いで投入準備に取り掛かる。この忙しさがスルメイカ釣りをより濃密にするマスターピースなのだ

ひとりトモに入った小菅さんは『イカスペシャル』のM170を使って朝から乗せまくった。「この日の釣りに一番合っているサオだと思いますよ」とすっかりお気に召したようす

 開始2時間ほどで3人がロープに干したスルメイカは40パイを超えた。この日は天候にも恵まれたこともあり城ヶ島沖にはスルメイカねらいの乗合船がひしめき合っていたが、少数精鋭の沖イカハンターの船上干しは他船の目を引いたと思う。これがみんなのやる気に火をつける起爆剤になるのだ。

 「こんなに反応がいいのは朝だけだろうね」と言っていた小菅さんも永井さんも相変わらず2~3点掛けを繰り返し、ほぼ外れなしで投入ごとに釣果を伸ばしている。しかし他船の状況からして、簡単な日ではないことも間違いない。

直結仕掛けでは水面まで浮上させて取り込む寸前のバラシが多い。それを防ぐには仕掛けの上昇する動きを一瞬も止めることなく流れる動作で手繰りながら取り込むことだ

当日はこのようにタテ方向に長い反応が多かった。「60から80mに反応出ています」というアナウンスを聞くだけと、こうして画面で魚探の反応を実際に見るのではどのタナまで沈めてどう攻めていくかが変わるはず。『ビーストマスターMD3000』ならカウンター画面にカラー液晶「探見丸スクリーン」を搭載していて大変便利

思った以上にサイズがいい。まだ若さが感じられるもののムギイカとは比較にならない重さとパワーがある。「この釣りは夏の運動部の部活みたいなもんです(笑)」と話していた永井さんは早くも汗びっしょり

 スルメイカ釣りはなんといっても多点掛けが魅力だ。それはこの釣りがとにかく忙しい釣りだからにほかならない。同じ沖イカゲームでもヤリイカであればタナが上ずることはあるものの概ね底付近の釣りであり、群れの移動もそこまで速くないから、ひと流しで何度か投入できるチャンスは訪れてくれる。

 ところがスルメイカはベイトフィッシュを追い掛け回すスピードが非常に速く、タナも大きな幅がある。となると船長の合図で素早く投入するのは当然として、スルメイカが濃密にいる群れの芯をイチ早く探る必要がある。最高のタイミングで仕掛けを落とし、最適なタナで止め、最上な誘いを入れたときにだけ多点掛けは可能になる。

 忙しいように見えてこの釣りは群れを求めて旋回している時間が長く、しかも水深が深いため仕掛けが群れに対して釣れる状態になっている時間は非常に短く、反応がなければ即回収だ。船長から「どうぞ」の合図が出て仕掛けを投入できるのは半日の釣りなら20回前後しかない。そうなると、1回の投入たりとも無駄にできないわけで、すべての投入で多点掛けをねらうのだが、実際には1パイずつ着実に釣果を積み重ねながら、タナと誘いがピタリとハマったときに多点掛けで一気に数を伸ばすというのが現代のスルメイカ釣りのスタイルだ。

M170、MH160、H155「イカスペシャル」3つの個性

イカスペシャル』のH155に次々と重みが加わっていく!

 朝は指示ダナまで一気に落として、そのまま巻き続けるとよく乗ったが、日が高くなると反応が鈍り、そこから落とし込んでいく釣りが効くようになった。触りも小さくなり、アタリに対して即座に掛けていくことが求められる展開に。また、若いスルメイカの群れは浮きやすく底から60mくらいに反応が出ることも多い。

 水深100~120mでイカの移動が速くてタナもコロコロと変わるこの展開こそが腕の差が歴然と出るから面白い。しかも干物日和の快晴とくれば、移動時間もせっせと捌いて開いて干すという作業が加わるから悪天時の倍以上忙しくなる。でも、この干物を作る時間も含めてスルメイカ釣りなのだ。瞬く間にロープからイカを干す隙間が消え、船長が2本目のロープを張り巡らせたころ、水深105mの80mで止めると、ドドドドッと一気に乗った!

 群れの芯を食ったこの瞬間にアドレナリンが出まくり、アングラーズハイの状態になる。周りを見ればみんな汗をいっぱいかいて笑顔が弾けている。これが沖イカハンターの夏だ。


イカスペシャル』のMH160を使った永井さんも7点掛けを達成。「どれか1本というなら絶対にこの1本はおすすめです」

 3人が使用した3種類のイカスペシャルに関しては、時期的にも水深的にも最もマッチしていたのは小菅さんが使用したM170。「軟らかいからバレにくいのにしっかりシャクリが入れられるUDグラス素材のチューブラ穂先は感度がすこぶるよかった。今日の状況は本当にマッチしていました」と小菅さん。

 MH160を使った永井さんは「さすがハイエンドモデルという軽さと感度を体感できますしパワーも申し分なし。どれか一本ということであれば汎用性のあるこの一本はおすすめです」と称賛。
 そしてH155を使った私も「これぞスルメイカのためのスペシャルロッド」と太鼓判を押したい。とかくパワーが求められる釣りだが、大型スルメイカが相手でもパワーに不足なしである。それでいて軽快に操作できるショートレングスと軽さがこの釣りを大きく進化させている。特に小さなアタリを掛けていく釣りが好きな私には嬉しい一本だ。

 そんなH155のパワーで7点掛けを満喫したあと、小菅さんはバラしにくいM170で圧巻の9点掛けを達成。2本目のロープも隙間なく船上干しで埋まった様はまさに満艦飾。釣果は3人で159ハイ。サオ頭はチームきってのテクニシャンの小菅さんの59ハイで、私と永井さんは仲よく50パイだった。

2本目のロープも隙間なく干しイカで埋まった。ちなみにこの3名に共通しているのは干物の味や形に非常にこだわるものの、多くは持っていかないところ。この日も別船で釣果の少なかったお客さんなどに振る舞って喜ばれていた

この日の最高は9点掛け。群れの芯を探って多点掛けして、なおかつバラすことなくきっちり取り込むのはさすがである

干したイカはグリーンパーチ紙(マグロのサクなどの魚を包む緑色の耐湿紙シート)で包み、5~6パイ分を1セットにする。「せっかく干したイカを袋に入れてクーラーボックスにしまう人が多いですが、それだとふにゃふにゃの生イカに戻ってしまいます。夏なら日差しの粗熱を取るくらいでいいので、グリーンパーチ紙に包んで車内の冷房で冷やせば充分。数日以内に食べるなら冷蔵庫へ、残りは1パイずつラップか袋に入れて冷凍保存すればOK。焼いて旨いのはもちろんですが、水分が飛んでいる分、塩辛や天ぷらでも生イカより旨いです」と松田さん


				緊急事態宣言以来5ヵ月ぶりとなった今回の取材は
				ついに完成したハイエンドロッド『イカスペシャル』の本連載初お披露目となった。
				濁りの影響が懸念されたものの、1投目から多点掛けの好スタートで
				終わってみれば3人で159ハイと大満足な釣果となった。
				足の速いスルメイカで多点掛けをねらうには
				群れの核心部にピタリと仕掛けを落とし込みたい。
				パワーと操作性を兼ね備えた『イカスペシャル』や
				「探検丸スクリーン」を搭載した『ビーストマスターMD3000』は
				現代のスルメイカ釣りの強い味方になってくれるだろう。

				緊急事態宣言以来5ヵ月ぶりとなった今回の取材は
				ついに完成したハイエンドロッド『イカスペシャル』の本連載初お披露目となった。
				濁りの影響が懸念されたものの、1投目から多点掛けの好スタートで
				終わってみれば3人で159ハイと大満足な釣果となった。
				足の速いスルメイカで多点掛けをねらうには
				群れの核心部にピタリと仕掛けを落とし込みたい。
				パワーと操作性を兼ね備えた『イカスペシャル』や
				「探検丸スクリーン」を搭載した『ビーストマスターMD3000』は
				現代のスルメイカ釣りの強い味方になってくれるだろう。