2018.2.2

投げタックルを駆使したローカル釣法・ブッコミアジ [ 山本 修 ]

Vol.2 ブッコミアジ・一連の手順

ブッコミアジのポイント

カケアガリと根周りは最高のポイント

基本的にアジは回遊魚であり、岸からの釣りにおいて、一定のポイントで一日中釣れ続くことは稀です。
したがってブッコミアジはアジが回遊する、あるいは回遊しやすい場所にコマセを効かせ、群れが回ってくるのを待つ釣りといえます。ポイントとして有望なのは、やはりカケアガリや沈み根といった海底に変化のある場所が一番に挙げられます。投入した仕掛けを引いてきて、手応えが重くなった場所はカケアガリです。海底の様子を観察して、黒っぽく見える箇所は沈み根や海藻帯です。このような場所はアジの回遊コースになっていることが多く、クロダイなどの嬉しい外道も喰ってきます。

砂利や小石底と砂地の境目もよいポイントです。私のホームグラウンドである神奈川県西湘一帯の海岸は、さほど沈み根の多いエリアではありません。ただ、いたるところに砂利底があり、これが安定してアジが回ってくる一因であるのかもしれません。

そしてもうひとつ、私の経験では、アユが遡上する川の河口付近では数、型ともによいという傾向があります。海に下りてきた稚アユをアジが喰っているのではないかと推測していますが、理由は定かではありません。少なくとも西湘エリアにおいて、河口付近の実績が高いことは確か。こう思うと、全国には未開のブッコミアジポイントが残されているかもしれません。

後方に見えるのは酒匂川の河口。天然アユが遡上する河川の河口付近は、釣れるアジの数、型ともによい傾向があります。全国各地に手付かずのポイントが残されているかもしれません。

一緒に竿を出していた仲間がカイズ(黒鯛の若魚)を釣り上げました。西湘海岸はかつてサナギエサのブッコミクロダイ釣りが盛んに行われていた場所です。

海底がフラットな場所ではコマセで群れを止める

海底がフラットで変化に乏しい場所でも、アジは回ってきます。西湘一帯のサーフは急深ではあるものの、さほど変化に富んでいる場所ではありませんが、よいときは40cm近い良型が、ほんの2〜3時間の間に20尾、30尾と釣れます。

肝心なことは、コマセで回ってきた群れの足を止めることです。私は常に竿を2本出していますが、これは一般的な置き竿の投げ釣りのように、遠近に投げ分けてポイントを探るためではありません。魚を取り込んだり、コマセを詰めるために片方の竿を上げていても、もう1本をポイントへ入れておくことで、常時コマセが効いた状態を作れるからです。

竿は2本用意します。片方の仕掛けを上げていても、もう片方は必ず海の中。ポイントに常時コマセが効いている状態を作るのが目的です。

釣期と時合

晩秋〜冬が大型狙いの絶好期

アジは周年釣れる魚ですが、良型を狙うとなると、晩秋以降の寒い季節が絶好期です。私は11月半ばまでは落ちのシロギスを狙い、シロギスの釣果が下火になるとブッコミアジに切り換えます。

私が釣行する西湘エリアの場合、11月下旬〜12月上旬は30cm前後が主体です。水温が下がるにつれて型がよくなり、1月頃には40cmオーバーの大アジが混じることがあります。
ゴールデンウィーク以降はシロギス狙いにスイッチするので、その後のデータはありませんが、この頃までは十分に楽しめます。

11月下旬の釣行では35cmが釣れました。シーズン序盤としてはまずまずのサイズです。

マヅメ前後の数時間がゴールデンタイム

ブッコミアジのゴールデンタイムは、朝夕のマヅメ時と、その前後の数時間です。
日中でも釣れないことはないと思いますが、アタリが集中するのは薄暮から暗い時間帯になります。

私の釣行は、日没の2時間ほど前にのんびりと釣り場に入り、1kgのアミコマセを使い切ったところで竿を納める半夜釣りが大半です。時間にすると3〜4時間になるでしょうか。私の経験では、薄暗くなった頃にバタバタッと喰ってきて、ややあって完全に暗くなった頃に再度入れ喰いになるパターンが多いように思います。

粘ったとしても、時合を過ぎるとアタリがパタリと止まってしまうことがほとんどでした。よく釣れるときほどコマセが早くなくなってしまいますが、これはこれで「よし」としています。

マヅメを中心とする数時間がブッコミアジのゴールデンタイム。周囲が暗くなり始めたところで釣りを始めます。

群れが寄ると入れ喰いになることもしばしば。ポツポツと釣れ続けるときは、さほど数も伸びません。

具体的な攻め方

サーフでの基本は群れの回遊待ち

半夜釣りでアジを狙う場合、釣り場へは日没の2時間ほど前に入ります。明るいうちにポイントや潮の流れを見ておき、釣り座を決定します。釣り座が決まったら、のんびりと仕掛けをセットします。
竿を出すのは、周囲が暗くなり始めてから。明るい時間帯にコマセを撒きすぎるとフグが寄ってしまい、釣りづらくなってしまう恐れがあるからです。

釣り座が決まったところで仕掛けをセットします。明るいうちにコマセを入れるとフグが寄ってしまうことがあるので、暗くなり始める時間まではじっくり待機します。

道糸が波に叩かれないよう、竿を垂直に立てられるタイプの竿掛けを使用します。一般的なポール式のものに、短く切った塩ビパイプをガムテープで取り付けたものでも十分です。

海底の変化が乏しい西湘エリアの場合、まず狙うポイントは道糸2色前後と決めています。25m×2に力糸の10mを足して、60m前後を狙うことになります。これは過去の実績から、この距離が最もよく釣れたというのが理由です。もちろん、アタリがなければこの前後の距離を探ることもあります。

仕掛けを投入したら、竿立てに竿を置いてアジの回遊を待ちます。アジの群れが寄るまではプラカゴの穴を開け気味にし、ポイントにしっかりコマセを効かせることを心掛けましょう。アタリがなくても一定のリズムで仕掛けを打ち返します。

群れが寄るまではプラカゴの穴は全開にし、コマセをポイントで効かせることに専念します。
群れが寄ったところで穴を絞り気味にすると、時合が長く続きます。

喰いが立ったら手返しよく攻める

晩秋以降の釣りにおいて喰ってくるアジの大半は良型なので、アタリは大きく竿先を引き込むものがほとんどです通常のサビキ釣りでは、アタリがあってもすぐに仕掛けを上げず追い喰いを狙うのですが、ブッコミアジではすぐに仕掛けを上げるほうがよいでしょう。その理由は2つあります。

ひとつは、ブッコミアジの場合、追い喰いさせてもあまり効果が見込めないことです。釣れるアジのサイズが大きく仕掛けが暴れるためか、掛かっても2尾あたりが限度。追い喰いさせているうちにハリから外れている個体がいるのかもしれません。

もうひとつは、追い喰いを欲張っているうちに仕掛けが絡まってしまい、これの修復に要する時間を考えると、結果的に手返しが悪くなってしまうことです。アタリがあったら、まずは1尾1尾ていねいに取り込む方法がおすすめです。40cm近くの良型になると引きの強さもかなりのもの。モタモタしていると10号のアジバリが伸ばされることもあります。

追い喰いを欲張っても掛かったアジが外れることが多く、仕掛けも絡みやすくなるので、あまりよいことはありません。アタリがあれば1尾1尾をていねいに取り込むつもりでよいでしょう。

10号のアジバリが伸ばされました(右)。11月下旬の時点でかなりの大物が回遊しているようです。

一度喰いが立てば、取り込んだアジをハリから外しているうちに、もう1本の竿にアタリがきます。アジの活性が高いときは休む暇もないほどの入れ喰いになるので、釣りに必要な道具類やコマセ周りをコンパクトにまとめ、手返しよく攻めるようにしましょう。

アジの喰いが立ったら、プラカゴの穴を閉じ気味にしてコマセを少しずつこぼすようにすると時合が長続きします。周りが釣れているのに自分だけ釣れないときは、釣れている人が投入している距離に合わせてみるとよいでしょう。

喰いが立てば休む間もなくアタリがきます。時合は得てして短いもの。手返しよく攻めるよう心掛けましょう。

よいときは3時間程度の釣りでもこのサイズが20尾、30尾と揃います。丸々と太った西湘のアジは食味も満点です!