2018.1.17

投げタックルを駆使したローカル釣法・ブッコミアジ [ 山本 修 ]

Vol.1 ブッコミアジってどんな釣り?

ブッコミアジの概要

投げ釣りから発展したご当地釣法

ブッコミアジとは、投げ釣りのタックルを用いてサビキ仕掛けを遠投し、オモリを着底させた状態でアジを釣る釣法のこと。カマスや回遊魚を狙う「投げサビキ」という釣り方が各地で盛んに行われていますが、こちらはコマセカゴを付けず、竿をしゃくってバケを躍らせる釣法であるのに対して、ブッコミアジはコマセでアジを寄せ、置き竿で喰わせる釣り方です。胴つきのブッコミ仕掛けが、上カゴ式のサビキ仕掛けに変わったものと考えていただいて構いません。

この釣りの特徴は、アジングやウキ釣りでは届かない沖のポイントを攻められる点にあります。カゴ釣りでも遠投で沖を攻められますが、サーフのように水際で波が崩れるような釣り場では道糸が揉まれてしまい、まず釣りになりません。ブッコミアジは、どんな釣り座からでも楽しめる釣りです。とりわけ波足の長いサーフからの釣りで、アジが底付近でエサを喰っているときは、この釣りの独壇場といえるでしょう。

そしてもうひとつ、大型が釣れることもブッコミアジの魅力です。足下しか攻められない通常のサビキ釣りでは小型ばかりでも、沖にはもっと大きなアジが群れで回遊してきます。私のホームグラウンドである神奈川県の湘南エリアでは、3〜4時間の釣りで30cm以上のアジが30尾以上も釣れることがあります。ときに40cm前後の大アジがまじり、私自身は最大で45cmまで釣っています。竿先に付けたケミカルライトがひっきりなしに躍る様を味わうと、誰でも病み付きになってしまうはずです。

シロギスのシーズンが終わると、楽しみにしていたブッコミアジの季節。ホームグラウンドの湘南エリアは今年も好調です。

投げ釣りタックルの遠投力を活かせば、はるか沖のポイントも射程圏内。大型が揃うのも魅力です。

サーフから沖の海底を直撃!

投げ釣りのタックルは、数ある釣りの中でも最も投擲性能に特化したものです。
投げ釣りタックルの武器ともいえる遠投力をもってすれば、かなり沖のポイントまで射程圏内に収めます。私のホームグラウンドである神奈川県の湘南エリアは、アジが安定して回遊する場所ではありません。しかし、これはサビキ釣りやウキ釣り、アジングで届く範囲の話であり、沖には大型のアジがガンガン回っているのです。

また、湘南エリアの海岸は大半がサーフで、ことアジ狙いに関しては、ほとんどが手付かずのポイントといってもよいでしょう。砂浜といっても沖の海底にはカケアガリが伸び、沈み根も無数にあります。波打ち際が砂浜というだけで、沖は皆さんがよく狙う好ポイントがたくさんあるわけです。ここを狙わない手はありません。そして投げ釣りタックルの遠投力を活かし、広大なサーフから沖のポイントを直撃するのがブッコミアジという釣り方です。

沖のポイントに仕掛けを入れ、置き竿にしてアタリを待ちます。夕方以降がゴールデンタイムです。

ブッコミアジのタックル

ブッコミアジは基本的に置き竿の釣りです。コマセで魚を寄せるので、できれば竿を2本出して、片方を上げているときもコマセを切らさないようにするのがおすすめです。

竿

ブッコミアジは置き竿でアタリを待つため、竿立てにセットした状態でも道糸が波に叩かれないよう、長めの竿が適しています。私は振出竿の「サーフリーダー455DX-T」を使用していますが、仲間のなかには「ブルズアイ遠投」などの遠投タイプの磯竿4〜5号を愛用する者もいて、なかなか具合がよいようです。

竿は波に道糸を叩かれにくい長めのものが適しています。私は振出竿の「サーフリーダー455DX-T」を愛用しています。

リール

リールは投げ専用のもので問題ありませんが、私はレバーブレーキタイプの「BB-XレマーレP5000DHG」を愛用しています。その理由は2つあります。ひとつは、ときとして40cm近いアジが喰ってくるので、寄せてくる途中でやり取りをすることがあること。強い引きに対してスムーズに道糸を送り出すには、レバーブレーキが便利です。

もうひとつは、アジの時合は短いため、仕掛けを回収する時間をできるだけ短縮したいこと。ハイギアの「BB-XレマーレP5000DHG」はハンドル1回転で104cmと巻き取りが非常に速く、手返しを早くしたい釣りでは重宝しています。

投げ釣りにおいてレバーブレーキはあまり馴染みがありませんが、メリットを感じるのであれば積極的に流用すべきです。道糸はPE1号を200m巻き、力糸としてPE3号を10mほど結んでいます。

道糸

「SPINPOWER EX4 PE」の1号に、力糸として「パワープロZ」の3号を10mほど結んでいます。強度だけでいえばメインラインは0.8号でも十分ですが、短時間の釣りを何度も繰り返すため、強度よりも耐久性を重視してやや太めを選んでいます。ポイントまでの距離を把握するため、色分けされたものがおすすめです。

カゴ

コマセを詰めるカゴは一般的なプラカゴのMサイズくらいが使いやすいかと思います。これにコマセカゴを持ち上げて仕掛けを立たせるための発泡ウキをセットします。このウキはアタリを取るものではないので、コマセカゴを持ち上げるだけの浮力があれば問題ありません。

私は25φの発泡素材を7cmほどに切って上下を適当に削り、使い古しのPEラインで、コマセを詰めるときに開けられるだけの遊びを持たせてプラカゴと連結しています。発泡を7cmとしているのは、売られている50cmの素材から切りシロを残して7本切り出せるからで、特にこの長さである必要はありません。加工が面倒ならば市販の中通し発泡ウキで十分です。

プラカゴと発泡ウキを合わせたコマセカゴユニット。発泡ウキはプラカゴを持ち上げるだけの浮力があれば十分です。

仕掛け

市販のサビキ仕掛けを使います。
ただし、重いオモリで遠投するためモトスが太めのものを選んでください。ハリの大きさは釣れるアジのサイズに合わせます。

私は常に35cm以上を想定しているため、モトスは7号以上、ハリスは5号以上、ハリも9〜10号とかなりガッチリしたものをメインに使っています。大型が喰うと10号のハリが伸ばされますので、迷ったら太めくらいに考えておくとよいでしょう。

バケは魚皮、スキン、フラッシャーなどいろんなものがありますが、私のように夕方からの半夜釣りでアジを狙うのであればスキンがイチ押しです。特に暗くなってからは、魚皮への反応が悪くなります。

サビキ仕掛けはフルキャストに耐えられるよう、モトスが太いものを選んでください。大型になると10号のハリを伸ばしていくものもいます。

スキンの当たりカラーは日によって変わります。私自身の経験ではピンク、グリーン、白あたりが実績のあるカラーですが、リアルシラス仕様や近年流行のケイムラ仕様なども用意しています。

オモリ

遠投だけを考えるなら重めを使いたいのですが、喰い込みを考えたDXクラスの竿や、モトスの強度とのバランスを考えた結果、15〜18号に落ち着いています。竿が硬く、モトスが10号以上ならば、もっとオモリを重くしても大丈夫です。

私がよく釣行する湘南西部(西湘)のサーフは砂利混じりの底質で、所々にゴロタが入っているため、ムクのオモリではやり取り中に石の間に挟まってしまい、根掛かりしないまでも魚がバレてしまうことがあります。写真のウッドシンカーはやや浮力があり、石へスタックすることが少ないのがメリットで、最近はこれをメインに使うことが多いです。

適度な浮力のあるウッドシンカーは砂利混じりの海底でもスタックしにくいのがメリットです。

ブッコミアジのエサ使い

アミエビだけでOK!

エサはコマセに使うアミだけ用意してください。
私は夕方の5時頃から竿を出し、粘っても数時間という釣りがほとんどなので、1kgのブロックが1個あれば事足りてしまいます。これを使い切ったらその日の釣りは終了。入れ喰いになれば早くなくなってしまいますが、楽しかったのだから、それはそれでよしです。

アミは完全に解かすよりも、半解凍がベストです。アジの群れが寄るまでは、カゴの中で解けながら少量ずつこぼれていくくらいでちょうどよいと考えています。

用意するエサはアミのみ。使用量は夕方からの半夜釣りで1kgのブロック1個と決めています。

vol.2に続く