かつてのテンカラは主に渓流域での釣りでしたが、現在は本流域でのテンカラが脚光を浴びています。これに呼応すべく生まれたのが「本流テンカラ」という竿です。川幅の広い本流域で、ときとして8mものロングレベルライン仕掛けを振り込む釣りにあって、「本流テンカラ 44 NP」は、4.4mとレギュラーアイテムよりも長い仕様になっていますが、だからといってテンカラ竿の命題ともいえるキャスティング性能が低下してもよいという理由にはなりません。
1日の釣りで1,000回以上キャストを繰り返すテンカラにおいて、キャスト時の軽快さは何よりも大切な要素です。そのためには竿そのものが軽いことが必要ですが、実際に竿を振ったとき体感的な軽さをもたらすのは、ブランクスの空気抵抗にあるのです。竿を軽くするのは簡単。ブランクスの肉を薄くすればよいのです。しかし、いたずらに肉を薄くすると破損のリスクが高まってしまいます。
空気抵抗を小さくするには竿を細くすることですが、肉厚だけは確保しなければなりません。これを実現するため「本流テンカラ44NP」は1本の節を長めにし、継ぎ数を1本少なくしました。これによってブランクスが細身肉厚となって空気抵抗が大幅に低減し、これまでにない振り抜けの軽さを実現しています。竿の全長は、自重と振った際の重さのベストバランスを探った結果、4.4mに落ち着きました。軽さだけではなく、シマノロッドテクノロジーの採用により、強度やパワーも飛躍的に向上させています。プロトモデルによるテストでは、50㎝オーバーのブラウントラウトや45㎝級のニジマスに対しても竿がのされることなく余裕を持って取り込めました。
パワーがあるといっても、ただ硬いだけの強さではテンカラ竿として失格です。なぜなら、ブランクスはしなやかで弾力に富んだものでないと、細いレベルラインで毛バリを飛ばしにくいからです。「本流テンカラ44NP」は穂先~3番節をやや太めに設定しており、バックキャストからフォワードキャストへ移る際にナチュラルな弾力が作用して、力を入れずともラインと毛バリを楽に運んでくれます。
また、グリップもこだわった部分です。コルクよりも弾力があって手にやさしいEVAを採用。素材だけでなくその形状にもこだわりました。やや中央部を絞ったグリップ形状は、個人差のある握り込みスタイルに対応するためで、ここを持つという特定のポジションはありません。手の大きさは人によって様々ですし、グリップフォームも人それぞれ。特に長い本流用の竿は手への負担が大きいものですが、「本流テンカラ44NP」のグリップ形状は誰の手にもフィットし、疲れたときも好きな部分を握り直すことで、疲労を低減することができます。