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難攻不落の秋の芦ノ湖

シマノサポートアングラーの新飼です。
芦ノ湖は毎年3月1日に解禁し、12月15日に禁漁を迎えます。今回は、立秋から禁漁までの“ラストシーズン”に挑んだ実釣の模様をお届けします。

「難攻不落の秋」と呼ばれる理由

芦ノ湖のハイシーズンは大きく2つに分かれます。解禁から5月までは、接岸したワカサギを追ってトラウトがシャローに差してくる“春の好季”。そしてもう一つが、紅葉が深まり、水温もトラウトにとって適水温となる11月から禁漁までの“晩秋シーズン”です。ただ、この晩秋こそが、実は一年で最も難しい時期だと感じています。釣り人の気持ちは「今年最後の1本を」と高ぶっていく一方、湖の中はさまざまな要素が絡み合い、一気に複雑化していきます。

理由は大きく2つ。ひとつはトラウトの産卵期と重なること。もうひとつは、メインベイトであるワカサギが沖の深場へ落ちていくこと。芦ノ湖の場合、産卵に適したインレットは多くありませんが、産卵行動に入る個体と入らない個体が混在します。ただ、どちらにしても、ワカサギがシャローから離れるため、活性の高い魚ほど徐々に沖へ散っていき、岸からは姿が見えにくくなります。

僕がこの季節を“難攻不落”と呼ぶ理由は、まさにここにあります。それでも、この時期にしか味わえない“たった一本”の重みがある。厳しいからこそ、その価値は跳ね上がる。だから僕は、晩秋の芦ノ湖に立つのをやめられない。

11月上旬、紅葉と富士

ワカサギを捕食するトラウトを追って

メインベイトであるワカサギがシャローに見えない状況でも、岸からワカサギに付くトラウトを狙えなくなるわけではありません。ワカサギは秋に入ると徐々にディープへ落ちていきますが、その進行具合はシーズンごとに異なります。だからこそ、その年の動きを読んでポイントを選ぶことが重要になります。

岸釣りでは魚探をかけることができませんが、芦ノ湖には“ワカサギの濃い場所を目で見て判断できる”大きなヒントがあります。それが ワカサギ釣りのボートです。この時期になると、湖面には何艇ものワカサギボートが固まって浮いているエリアがあり、そこがワカサギの魚影が濃い場所の証拠。日中は岸から届かないような沖に見えることもありますが、朝マズメや夕マズメには比較的岸寄りに移動してくることが多く、岸からの射程に入るタイミングが生まれます。

ボートの位置関係やその年ごとの傾向、そしてこれまで通い続けてきた経験をもとに、少しでもワカサギに近い“線”を探していく。秋の芦ノ湖では、このポイント選びこそが最重要要素と言っても過言ではありません。

僕は秋のラストシーズンも、ワカサギについて回る“高活性のトラウト”を追いかける釣りに魅了されています。コンディションの良い魚を、ただ釣れたのではなく“狙って獲った”という実感を味わえるのがたまらなくて、このスタイルから抜け出せません。

今年は台風が少なかった影響で紅葉が一段と綺麗

ワカサギを追うトラウトを求めて―「釣れた」と「釣った」の違い

どの釣りでも同じですが、フィールドの状況をいかに早く把握し、その季節に合わせて組み立てられるかが釣果を左右します。なかでも秋は状況が掴みにくく、「釣れた」ではなく、自分の狙いがハマった「釣った」一本を手にできるかが鍵になります。僕の中でこの二つの違いを分ける基準は、再現性があるかどうかです。

追い求めるのは、ワカサギを追い回すアグレッシブなトラウト。ラストシーズンの初釣行となった11月上旬は、深場とシャローが隣接し、早い時期からワカサギとトラウトの動きがリンクしやすいポイントを選びました。例年ここからシーズンを始め、ラストに向けた戦略を固めていきます。当日は夜から岸に向かって強風が吹き続いており、条件的にも沖にいるワカサギ、トラウトが寄っていると判断。風に負けず操作しやすい 12gのスライド系スプーン を手に取り、まずは表層から探っていきます。1投目はただ巻きで反応を確認するもバイトはなし。波立つ状況を踏まえ、2投目はルアーをシェイクしながら巻くアプローチへ。小刻みに跳ねるような動きが、まるで渓流ミノーがヒラを打つように強くアピールします。すると、その動きにスイッチが入ったのか、ロッドに明確な重みが乗りました。

秋のファーストフィッシュはブラウントラウト。季節の初物は、毎年、嬉しさと安堵が一度に押し寄せる特別な瞬間です。その日はこのブラウン以外の反応は少なく、水面に見えるトラウトたちの様子から判断しても、この一本は「釣った」ではなく「釣れた」一匹。しかし、ここから季節の進行を読み解き、戦略を組み立てていくための大事なヒントとなる魚でした。

ブラウントラウト54㎝
スライド系スプーン12g
ラストシーズン最初の一匹は毎年嬉しさと安堵が入り混じる

秋の洗礼、その先の一匹

前回の釣行から再現性のあるエリアを模索しているものの、見事に秋の洗礼を受けてしまっている。11月上旬にあのブラウンを釣ってからというもの、トラウトたちに出会えないまま12月に突入。12月15日の禁漁までもうわずかで、ここからが正真正銘のラストスパートだ。

カーディフ ネイティブスペシャルS83MLでキャッチできた。レインボー

ワカサギの進行もさらに深まり、群れはすでに深場へ移動している。そこで、この日は急深の地形が絡むエリアを選択。釣り開始前から小さなライズが確認できたため、まずは小ぶりで軽めのスライド系スプーン9gを選び、表層直下を巻いていく。巻き始めてすぐ、モゾモゾっとした小さなアタリ。フッキングに持ち込んだ瞬間、跳ねては走り、跳ねては走る。これはレインボーだと確信した。無事にランディングした魚体はサイズこそ控えめだが、実に綺麗な個体。しかし、その後は今までと同様にアタリが続かない。 日も完全に昇り、水面の賑わいも落ち着いてしまったため、ルアーをジグ28gにチェンジ。ボトムまで落として細かいピッチで誘い上げると、ティップが一気に入り込んだ。深場でヒットしたその魚はイワナ。珍しいゲストの登場と、久々にトラウトたちと出会えたことに、思わず小さく歓喜してしまった。

芦ノ湖では珍客
今シーズン使い続けた、DSストレッチウェーダーPRO Z
ジグフルキャストでキャッチできた。嬉しい一匹

とはいえ、全体的な反応はまだ手応え薄。しかし、自分が追い求める一匹へ少しずつ近づいているような感覚は確かにあった。秋の釣りは難しい。それでも、詰将棋のように状況を一つずつ組み立てながら魚を追うのが好きだ。色々考えた末、翌日も同じエリアに入ることを決めた。前日、爆発的に手応えがあったわけではない。しかし、魚影の濃さと、沖で数発見えたボイルに再現性を感じたからだ。

迎えた翌日。ルアーは前日にイワナを釣ったジグ28gをフルキャストし、表層直下を早めのピッチで巻いてくる。すると「ドスンッ」強烈なアタリ。かなり沖でヒットのため慎重なファイトで寄せてくる。無事にランディングしたその魚はブラウンでした。湖らしいサイズではなかったが、「釣れた」ではなく「釣った」と言える一本だった。

次の釣行が今シーズン最後になる。欲を言えば、湖らしいサイズの、胸を張って「釣った」と言える一本に出会って、気持ちよくシーズンを締めくくりたい。

気温が氷点下まで下がり、空気が刺すように冷たい

正真正銘のラストチャンス

12月15日で禁漁を迎える芦ノ湖。許された時間は、残りわずか2日となってしまった。 この限られた時間の中で、どうしても“湖らしい一本”に出会いたい。

初日、魚からの反応は得られたものの、キャッチには至らず。結果だけを見ればノーフィッシュ。精神的にも追い込まれ、文字通り崖っぷちの状況で最終日を迎えることになった。

迎えた最終日。明日からは禁漁、正真正銘のラストチャンスだ。 少し早めにポイントへ入り、静かに湖畔を眺めていると、思いのほか近い距離でボイルを確認。サイズも悪くなさそうで、食い気も感じられる。自然と高まる期待を抑えながら、開始時間を待つ。

しかし、時刻が近づくにつれ、ぽつり、ぽつりと雨が落ち始めた。やがて雨脚は強まり、つい先ほどまで生命感に満ちていた湖面は、嘘のように静まり返る。期待と不安が入り混じる中、釣り開始の時を迎えた。こうした悪天候のタイミングは、魚の警戒心が緩み、岸際に寄ってくることが多い。そこで、むやみに立ち込むことはせず、岸からの釣りを選択。スライド系スプーン10gをセットし、軽くキャスト。細かなシェイキングを加えながら丁寧にアピールしていく。次の瞬間、手元に伝わる明確な重量感。かなり浅いレンジでのヒットだったこともあり、魚は激しく抵抗する。無理にネットを出すことはせず、慎重にいなしながら岸沿いへと誘導する。

姿を現したのは、今シーズンを締めくくるにふさわしい、湖らしいサイズの雄のブラウントラウトだった。毎年のことながら、ラストシーズンは一本をキャッチするまでがとにかく難しい。それだけに、手にした瞬間の喜びは格別だ。短い時間ながら記念撮影を済ませ、感謝の気持ちを込めてリリース。

今シーズンラストフィッシュ
60㎝雄のブラウントラウト
いい顔のブラウンでした
湖らしい魚に出会えて大満足

また来シーズンも、自分らしい釣りで、この芦ノ湖に通い続けたい。そして、素敵なトラウトたちとの再会を楽しみにしたいと思う。

TACKLE & EQUIPMENT タックル&装備

使用タックル
ロッド:カーディフ ネイティブスペシャルS83ML
ロッド:他社トラウトロッド84
ロッド:他社トラウトロッド810
リール:18ステラ-C3000
リール:22ステラ-3000MHG
ルアー:スライド系スプーン7g / 10g / 12g
ルアー:ジグ21 / 28g
メインライン:PE0.8号
ショックリーダー:ナイロン12lb

ウェーダー:DSストレッチウェーダーPRO Zソックス〔FF-062Y〕
シューズ:ジオロックウェーディングシューズPROカットフェルト

※記事内で紹介されている製品は、旧モデルの可能性がございます。

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