JOURNAL
最北の不凍湖、支笏洞爺は厳冬に鱒熱で燃ゆる
サポートアングラーの矢野元基です!
最北の不凍湖である支笏湖と洞爺湖。それぞれ全国のアングラーを熱狂させるモンスタートラウトが生息しています。私がホームレイクとしております、両湖での釣行を紹介したいと思います!
支笏湖の釣りについて
私の地元、苫小牧から車で20分程で足を運べる市民から馴染みの深い支笏湖。支笏洞爺国立公園の東端に位置し、周囲の樽前山など新緑から紅葉、雪景色と四季折々で変化する情景や温泉は訪れた人々を楽しませる北海道を代表する観光地だ。苫小牧に生まれ育った私も幼少より釣りで親しんできた。ターゲットはニジマス、ブラウントラウト、サクラマス(禁漁期間あり)など。美しい景色の中で抜群のプロポーションを誇るトラウトとの駆け引きは格別。
支笏湖は約4万年前に支笏火山の噴火でできた陥没地に水が溜まり形成されたカルデラ湖だ。その噴火による影響は石狩低地帯を形成し、現在の北海道の大地を建て付けたと言われる。湖の最深部は約360mで日本第2位の水深を誇り、貯水量も琵琶湖に次ぐ日本第2位で最北の不凍湖。水温が低く急深のため、プランクトンや水草の発生が少ない貧栄養湖で、透明度と水質は非常に高く「支笏湖ブルー」と呼ばれる美しさを魅せる。また、環境省の公共用水域水質測定結果において幾度も全国1位に選出されている。この高い水質は発電機の運用に大きな利点となり、明治時代以降の地方工業都市苫小牧の近代化を支えた。
さて、透明度が高い支笏湖。私はシンキングペンシル、ジグミノーやスプーン、ミノーをメインに使用するが、道内アングラーからは支笏湖の釣りは難しいことで有名だ。私自身、支笏湖で釣ることは自身がやってきた釣りの中で群を抜いて難しく感じる。「トラウトを釣る」という行為について、水の透明度の高さは難易度を上げる最も大きな要因だろう。トラウトは意外に賢い魚で、透明度の高い水中から釣り人の気配や本物の餌ではないルアーを見破り中々釣れてはくれない。不凍湖ゆえに年中情熱あるアングラーからプレッシャーを与えられ賢く育つトラウトは、魚体が大きくなる程に警戒心が強く、釣る事がより難しくなるため、ゲーム性の高い釣りができる事から支笏湖に魅かれる人は多い。
支笏湖全域にトラウトは生息しており、沢の流れ込みや急深な場所、流木が沈んでいる場所が特に狙い目。釣り場へ移動するための駐車場所は交通の邪魔にならないよう充分に注意してほしい。
大物を手にする攻略の糸口は天候を味方にすること。先人達から「風、波、濁り」は大チャンスと教えられたが、私もそれが釣果につながると実感している。風は湖面に波や濁りを発生させ、魚の警戒心を弱め活性を上げる。具体的には、捕食者である猛禽類から身を隠せ、波が水に流れを起こし水中の酸素を循環させる。餌となる小魚や甲殻類、貝類が岸際に寄せられる。そして、アングラーの気配やラインの存在もぼかしてくれる。ルアーも見破られにくい願ったり叶ったりの状況だ。
今年の冬釣行では
阿寒湖の記事で触れたように、秋冬はトラウトのコンディションが抜群によくなる。例年水温が低下する10月頃からニジマスが釣れ始め、11月になるとブラウントラウトやサクラマスの調子が良くなる。初冬となる11月初旬に訪れた人気ポイントのサーフは波が高く濁りもあり、抜群のコンディション。赤金シェルの17gのスプーンを使用したカウント7からの早巻き(C3000XGの番手で2回転/秒)で一投目からヒット。キツめのドラグが10秒ほどジャージャーと出され、そのままバラしてしまった。大型のニジマスだろう。支笏湖でニジマスはあまりヒットしないので、悔やまれる。その後すぐ、同じパターン同じ立ち位置でヒット。またしてもニジマス特有のヒット直後からの激しいラン。ファーストランはドラグを出して凌ぎ、魚の頭をこちら側に向け順調に巻いてくるが、少し強めにゴリ巻きした際に魚を驚かせてしまい、激しく走り出した。キツめのドラグがまたしても激しく鳴き、そのままラインブレイク。もう少しドラグを緩くして慎重にファイトするべきだった。なんとも、もったいない。そして、近くで竿を振っていた妻にヒット。ランディングすると40センチちょっとのサクラマス。支笏湖のアベレージサイズだ。フィールドテスターの佐藤文紀さんが監修した20gのチャートカラーのスプーンをカウント7から早巻きし、沖でヒットしたとのこと。支笏湖はベイトとなるワカサギが生息していないことからか、太く大型のサクラマスは極めて少ない。しかし、サクラマス特有の銀鱗輝く精悍な顔つきで美しいプロポーションは変わらない。
翌日、また同じポイントへ訪れると前日とは打って変わりベタ凪。厳しい戦いが予想される。このような状況では表層をシンペンやジグミノー、スプーンをラインで水面に波紋を出さないように引いてくることが肝。サクラマス狙いで昨日のヒットパターンと同様に攻めると2匹連続でサクラマスが釣れた。
翌週の土曜日、朝イチはいつものサーフで振っていたが、反応がなく少し車で走り玉砂利と岩が絡むポイントへ移動。ほぼ凪に近いさざ波で厳しそうだ。先行者でフライの方がおり、挨拶をして離れたポイントへ。手前が浅く根掛かりする場所のため、トライデント90Sを選択して巻いていると先程の方がファイトをしているではないか。駆け寄り魚を見せてもらうと50センチほどのピカピカに輝くニジマス。とても美しく綺麗な1匹で私も釣りたい。
そして、午前9時半、私の横で振っていた妻が「なんかヤバいの来たかも!」と叫ぶ。目をやるとロッドが激しくしなり、バインバインしている。視線を移した時にはジャンプした後らしいが、波紋が大きい。これはデカそうと急いでロッドを置き両手でランディングする体制に。何度も底に突っ込む感じからブラウンか?と思ったがニジマスとのこと。支笏湖や洞爺湖のニジマスはなぜか川で釣るよりもパワフルに跳ね回り、暴力的に暴れる。ロッドワークでうまくいなし無事にランディング。丸々と太った57センチの良型ニジマス。早巻きで手前10m以内でのヒットだったそう。先ほどのフライの方にもおめでとうと言われ、嬉しそうだ。氷点下の気温にも関わらず、ジャケットを脱いで腕を水に付けて記念写真。
最北の不凍湖はアングラーの熱気にほだされ凍らないのかもしれない。 さらに翌週、波風強いいつものサーフへ。向かい風が体感10m近く、スプーンでも飛距離を稼げない。そんな日はウインドリップスティック115Sの出番。細身のシンペンはミサイルのように風を切り裂き遠投出来る。カラーは明滅効果の高いSTブルグリOBをチョイス。沈下速度がメタル系に比べて遅いため、カウント10からの早巻きで誘う。ラインが波に揉まれ波が高い時は沈下スピードが落ちるため、高い時はカウント10、低いまたは凪ではカウント7を選択することが多い。水面下1m〜2mほど沈めてから巻き始めるイメージだ。このパターンで45センチと支笏湖では大きめのサイズと40センチ弱のサクラマスが釣れてくれた。
洞爺湖の釣りについて
支笏湖から西に1時間ほど車を走らせると、洞爺湖がある。祖父母が洞爺湖町に住んでいたため、こちらも幼少から馴染み深い湖。支笏洞爺国立公園の西端にあり、支笏湖と対をなす存在。洞爺湖は洞爺湖町と壮瞥町にまたがるカルデラ湖で2008年に第34回首脳会議(洞爺湖サミット)の舞台となったことで北海道の食と観光を世界に売り込む礎をつくった。サミット前とその後では、道産食材の輸出額や観光客数が5倍以上ともなったことから、いかに影響が大きかったかわかる。また、2009年に「洞爺湖有珠山ジオパーク」が日本で初めて世界ジオパークに登録され、世界でも有数の魅力あふれる自然環境として折り紙つきだ。
そして、洞爺湖は温泉、食事、自然と三拍子揃った一大観光地だが、特大のトラウトが釣れることから、全国のトラウトアングラーからも注目されている。漁協により放流や禁漁区の設定など管理され、遊魚料を納める必要がある。シーズンは冬季の12月1日〜3月31日と夏季の6月1日〜8月31日に解禁される。豊富なワカサギを捕食し巨大かつ極太に育ったニジマスとサクラマスは、魚体の写真を見ただけで洞爺湖のそれとわかるくらい特徴的だ。湖の特徴も支笏湖同様に不凍湖、急深で水質はクリア。よって、解禁日であっても釣るのが難しい。釣り方も前述の通り支笏湖と同様だが、メインベイトがワカサギであることから、より小魚を意識した動きのあるアクションが有効。私はシンペンやジグミノーで実績が高い。
今年の秋冬釣行では
解禁の週末の土曜日、毎年釣行する東側のガレ場にシャローが絡むポイント。予報では西風が4mで波が高い好条件の見込みで期待に胸が高鳴る。周囲が明るくなる午前6時半過ぎにエントリーすると、向かい風1mほどで少しの波がある状況。なんと、湖の中央にある中島で風が遮られてしまうパターンか。気温は3度と冬の洞爺湖とは思えない高い気温で、PEで問題ないがナイロンラインを巻いていた。洞爺湖は支笏湖に比べ低地に位置しており水温の上昇が遅く、例年に比べると高水温。この状況ではニジマス狙いがメインで、サクラマスは難しそうだ。
パイロットルアーはウインドリップ85S Sアカキン。このカラーは2年前に極太の1本を引き出してくれた思い入れがあり、下部テールにワンポイントでオレンジカラーが入っている。
放水をしているのか、湖流が右から左へと強く流れている。キャスト後、ナイロンラインがたわんでしまうとルアーが動きのバランスを崩し、バイトも取りにくくなるので、ラインは真っ直ぐにピンと張るように意識してキャストしたい。糸フケを素早くとれるよう、リールはXGがベターだ。扇状に広範囲に探り、カラーもSピンクバック、ピンクゴールドグローとカラーをローテーションしたが反応がない。
解禁日から4日間、飛距離が出て人気の高いジグミノーを多くのアングラーから打ち込まれてスレているだろうと感じ、ウインドリップスティック90SのSアカキンOBへチェンジ。飛距離はジグミノーに劣るが着水のインパクトが少なく、より「ワカサギにシルエットの近い細身形状」で捕食側が違和感を感じにくい。前身のトライデント90Sでは自身の洞爺湖レコードとなるニジマスも釣っており、実績の高いルアーだ。フルキャストで目一杯沖まで50mほど飛ばし、カウント7から早巻き(C3000XGの番手で2回転/秒)を始める。等速で手前まで数回引いて反応がない。
同じく、カウント7からの早巻きで手前15mほどのブレイクに差し掛かるタイミングでリーリングをスロー気味(C3000XGの番手で1回転/秒)にし、数巻したところでヒット。マズマズの良型であろう手応え。ヒット直後のランはなかったが、トルクのある引きで、サクラマス確定だろう。ドラグをかなりキツめに設定していたので少し緩めた。ナイロンラインがピンピンと音を鳴らす良型とのファイトは何度経験してもアドレナリンが出る。あまり暴れさせないようゆっくりと手前に寄せ背中のランディングネットを外す。ランディングは「魚をなるべく深いところで掬う」ことがコツで浅場になると魚は暴れる。ネットインしたのは丸々と太ったグッドコンディション。これぞ洞爺湖のサクラマスど真ん中というファットな個体で、テールフックは曲がっていたがギリギリで耐えてくれた。
アシストで付けているフロントフックはランディング後にネットに引っ掛かり曲がったのだろう。今期のレイクも満足のいく釣果で締めくくれた。
今回、支笏湖・洞爺湖でコンパクトフィッシュプールを使用した塩梅がとても良かった。コンパクトな格納状態から組立後、中に水を1/5くらい入れる。そこに魚を入れ、波が少し被るくらいの場所に設置すると、波が入りみるみるうちに満水になり体勢が安定する。わざわざ最初から重たい水を満水にする必要はない。波が強い場合は波側のフレームの角に石などの重力物を入れると安定するが、適当な石がない場合は砂を握っていくらか投入するでも良さそう。いずれにしろ、水が満水まで入れば多少の波を受けてもしっかりと自立する。魚を弱らせることなく安定化から撮影、リリースまでをスムーズに出来ること、何より魚を落ち着かせるイロハを簡単に身に付けることができる。自信をもっておすすめできる製品だ。
支笏洞爺のおすすめ飲食店
Lunch Store Hoo-Hoo(千歳市)
看板鷹のミッキー(ハリスホーク)がいる支笏湖のモーラップにある行きつけのお店。とにかくミッキーがかわいくて、いつも立ち寄ってしまう。オープンした2019年のオープンから現在の高台へ移転しリニューアルした後もずっと通っており、気さくなマスターは本場仕込みのタイ料理から定食、時期によっては名物のチップまで提供できる。私のおすすめはハサミで切って食べるスタイルのジャンボからあげ定食。
Soup Curry mog mog(洞爺湖町)
洞爺湖温泉街にあるスパイスとニンニクが効いたスープカレーの名店。これほどスパイスが効いたスープカレーは中々出会えない。超辛党の私も満足出来る辛さ設定があり、お肉屋さんから仕入れたベーコンを使用したベーコンときのこのスープカリーはベーコンの旨味は格別。あまりにお気に入り過ぎて土日の2日間連続訪れることも・・・。このスープカレーを食べるために洞爺湖釣行を組んでいると言ってもよいかもしれない。
TACKLE & EQUIPMENT タックル&装備
使用タックル
<私のタックル>
リール:ステラC3000XG
ルアー:ウインドリップ95S 各色
ルアー:ウインドリップスティック90S 各色
ルアー:スプーン17g
ライン:ナイロン10ポンド
<妻のタックル>
リール:ステラC3000XG
ルアー:スプーン20g,17g
ライン:ハードブル+ 0.8号
リーダー:ナイロン10ポンド
<着用アイテム>
ウェーダー:DSストレッチウェーダーPRO Z ソックス,クロロプレンウェーダーカットピンフェルト
シューズ:ジオロック ウェーディングシューズPRO
ウェア:
・メリノウール アクティブウォーム インナーシャツ
・メリノウール アクティブウォーム インナータイツ
・アクティブインサレーション ジャケット
・アクティブインサレーション パンツ
・ゴアテックスインサレーションジャケット
グローブ:ゴアテックスウインドストッパーフリースグローブ
<使用アイテム>
コンパクトフィッシュプール
<私のタックル>
<妻のタックル>
<着用アイテム>
-
ウェーダーDSストレッチウェーダー
PRO Z ソックス -
ウェーダークロロプレンウェーダー
カットピンフェルト -
シューズジオロック
ウェーディングシューズPRO -
ウェアメリノウール
アクティブウォーム
インナーシャツ -
ウェアメリノウール
アクティブウォーム
インナータイツ -
ウェアアクティブインサレーション
ジャケット -
ウェアアクティブインサレーション
パンツ -
ウェアゴアテックス
インサレーションジャケット -
グローブゴアテックス
ウインドストッパー
フリースグローブ
<使用アイテム>
※記事内で紹介されている製品は、旧モデルの可能性がございます。