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南十勝のサクラは盛夏に海霧の中で咲く

こんにちは!サポートアングラーの矢野元基です。
12月よりロングランで続く北海道の海サクラマス釣りは7月の南十勝エリアが最終前線となりました。今回は昨年に初チャレンジしボウズだったため、リベンジ釣行の記録です。

南十勝サーフについて

帯広を中心とした十勝平野の南に位置する広尾町と大樹町、中札内村や更別村は南十勝と呼ばれる。広尾町から大樹町を跨ぐ広大なサーフエリアへ日高山脈や十勝平野から流れる名川の数々は豊富なヤマメを擁し、海サクラマスの魚影も濃い。近年人気のエリアだが、帯広市街から東の十勝川中流部に設置された千代田堰堤の魚道が再整備されてからは、さらに魚影が濃くなったと言われる。千代田堰堤の上流部には札内川をはじめ多くの水量がある支流の他、広大な十勝平野の農業を支える用水路が網の目状に巡っている。

肌で感じることとして、以前は千代田堤防より上流で合流する河川でヤマメが釣れる事は少なかったが、今ではその多くでヤマメが釣れるようになった。秋口に十勝川上流で合流する河川へニジマスを狙い入渓した際も、大規模な支流から用水路まで多くのサクラマスを見ることから、かなりの数が遡上していることを実感する。そのため、「沿岸の海サクラも良さそう」と、十勝の友人に案内され昨年初めて釣行した。その際、私は釣果に恵まれなかったが妻は良型をキャッチし、跳ねやモジリの多さから魚影の濃さを目に焼き付け、リベンジを誓うことに。

昨年、妻がキャッチした良型

盛夏のサーフで海霧の中、咲くサクラ

そして今年、道央太平洋の海サクラマスが下火になる7月上旬の土曜日に南十勝のサーフへ一年越しに訪れた。現地の事前情報によると、前日まではあまり釣れていないとのことで、昨年は多くのアングラーが並び盛況だったサーフも閑散気味。潮は満潮からの下げで「サクラマスを狙うに悪くない」が、波は1mほどで高く濁りも強い。厳しいシチュエーションがよぎる。

明るくなってから準備し一等地であろう河口付近を見て回る。時刻は4時より少し前。今回は妻なしで1人釣行だったので、まずは付近の地形を観察。波打ち際から20mほど先まで泡が広がる。この泡の正体は「プランクトン」であろうか。であれば、その下に泡の影で上空の鳥から身を隠しつつ、プランクトンを食べる小魚が群れているはず。ベイトを求めサクラマスも回ってくるに違いない。 しかし、竿を振らず30分ほど見ていたが、30人ほどのアングラーで釣果は1本。

周囲でヒットはなし

引き続き広大なサーフを観察していると、変化の無い陸地の中で泡と濁りが沖へ流れた離岸流が出ている一角が目に入る。潮境なのか海底に変化があるのか、かなりの規模の離岸流だ。河口から離れており、人気がなく誰もいない。いざ離岸流の前に来ると、沖合100mほどの離岸流の脇に流れが「プールのようになっている部分」 が。写真に撮ってもわからないが、そこだけ細かな波が立たずのっぺりとした水面。肉眼だとはっきりわかる。経験上、海川問わず流れの脇の弛みにはトラウトが定位する。海サクラマスを狙うにおいて、回遊を待ち投げ続けるよりも、定位した魚を狙う方が確実性が高い。

河口付近のプレッシャーを避けたサクラマスやベイトが溜まるとしたらこのプールの辺りだろうと予測し、遠投時にパイロットルアーとして重宝している40gのブラックジグを放つ。ちょうどプールに直撃し、波が高いためカウント5をとってから早巻き(C5000XGの番手で3回転/秒)で誘うが、1投目に反応はなし。

では、2投目。同様のコースで着水後にカウント5をとり、早巻き10回転ほどでヒット。距離は90mほどか。小さいながらも鋭く金属的な引きは紛れもなくサクラマス。長距離を寄せる間にバラさないよう、竿を水平に保ち慎重にゆっくりとリーリングし、ランディング体勢に。小型のためリリースを想定し、右手のロッドワークでランドする波に乗せると同時に左手でスマホを取り出し、最初の波打ち際で撮影。

南十勝での初キャッチ

この波打ち際での一瞬を逃すと砂上で魚が暴れ鱗が剥がれてしまうし、弱ってしまう。40㎝そこそこの小型ながら精悍な顔付きのサクラマスが南十勝サーフの初フィッシュとなった。

やっとリベンジしたという気持ちも束の間、魚体に触れずにリリース。冷たい親潮の海面に盛夏の暑い空気が触れ、急に海霧が発生。時刻は4時30分だった。

急に道東沿岸の名物、海霧が

銀輪咲き乱れる

その後すぐに同様のパターンでヒット。今度は50㎝超えの良型。これも波打ち際で写真を撮ろうとしていたところ針が外れてそのまま逃げてしまった。またすぐに釣れるだろうという状況なので未練はない。

すぐに同じパターンで釣れたがこれも40㎝ちょっとの小型。撮影しすぐにリリース。

波が落ち着いてきたので、ジグミノーも良いだろうかとウインドリップ85Sを選択。カラーは鮭稚魚もいるだろうかと目論見、サケチカラーに。離岸流とプールは消えており、周囲に目ぼしい海面の変化もないので、とりあえず正面へキャスト。80mほど飛ばし着水後、7カウントし超早巻き(C5000XGの番手で3.5回転/秒)で誘う。厚みのあるフロント形状のため、潮流を明確に感じられることがこのジグミノーの強み。潮の重みを感じ始めた10回転ほどでヒット。着水後3mほど沈み、巻き始めて水面に向け斜めに上がっていく最中、水面下2mほどでのヒットだろう。どうやらマズマズの良型のよう。しかしながら針掛かりがよくない感触があり、いつも以上に慎重にファイトしランディング。

本日1番の良型

上顎の鼻先と下顎に掛かっていたが、上顎は外れた模様。サイズも55㎝ほどで丸々と太ったよい魚体でありお土産用にキープ。
時刻は5時10分。40分で4本の釣果は上出来だ。

その後はしばらく反応がなく、魚がスレてきたと想定し、1時間ほど場を休めた。再度沖目から広くジグミノー、バイブレーション、ジグとルアーローテーションをしながら探ると、100mほど遠投した早巻きのジグにヒット。サイズは50㎝そこそこで、太くも細くもない平均的な個体だった。

アングラーが海霧にかすむ

今日は早巻きが吉らしい。粘ればまだまだ釣れただろうが、一度帰宅し翌日また南十勝へ来る予定のため、7時で終了。朝イチは苦戦を予想したが、充分過ぎる釣行となった。

南十勝釣行2025まとめ

今年は南十勝で釣果を出し勉強すると決めていたため、翌日と翌週も訪れた。結果、サクラマスを私が7本、妻が1本、アメマス1本と充実した内容となり、昨年のリベンジとなった。

サクラマスのプロポーションは美しい
今シーズン1番の良型かな?
妻も良型をキャッチ

肝はどのサーフでも同様だが、離岸流や潮境を探すこと。ヒットはそのような場所に集中する。

この潮境で私に良型がヒット
この離岸流で妻にヒット

南十勝のサーフは足元から急深かつ引き波が強く波足も長い。私がよく行く地元胆振や道南日本海のサーフとは異なり外洋に広く面しているからか、波の重みが違う。今回訪れたサーフはフルキャストで水深5mほどで、波が高い場合は重くシルエットの小さいジグやジグスプーン、バイブレーションで波下を潜らせ引いてくるのがよい印象。波が低ければジグミノー。魚が近ければミノーでも反応が良さそうだ。友人はスピンドリフト90Hやサルベージ85ESで多くの釣果をあげており、スピンビームもよいかもしれない。来年はカラーを揃えて持っていこうと思う。

サルベージにヒットしたアメマス

シーズンを通してロッドはディアルーナS106MとリールはツインパワーXD C5000XGを使い15本のサクラマスを釣ったが、フッキング後のバラしは南十勝釣行で1回のみ。

サクラマスは魚体の重量と比較してスピード、トルク、パワー、スタミナがある魚だ。それでいて口周りが大変柔らかい。そして、ローリングや首振り、ジャンプなどまるでルアーの外し方を知っているかのような動きをする。そのため、キャッチの確率を上げるには「ファイトの仕方」を効果的にする「ロッド及びリールの性能」が肝になる。

具体的な「性能」とは、魚の動きに素早く追随するロッドティップと動きのパターンを瞬時に把握出来る感度。そして、滑り出しがスムーズなドラグ。それがファイトの仕方に影響する。フッキング後は驚いた魚を落ち着かせるように、リールを一定の速度で焦らずゆっくり巻いてくる。ここで小刻みな首振りや反転しようとする動作に対し、素早くピンピンと追随するロッドティップが生きる。ティップの動きを目で見て、ロッドを握る手と体に当てたバットエンドで「ローリングしてるな。これは首振り。ジャンプやラン、水面に出てくる前兆あり」など魚の動作を触覚で感じ、自分が信じるバレにくい対応をする。振動伝導性の高い「カーボンモノコックグリップの性能」が存分に発揮される場面だ。

とにかく、魚が暴れてフッキング箇所が広がらないように「意識して予防」することが高いキャッチ率を達成するためには最重要。ロッドを大きく曲げ重みを感じるようなファイトや無理なリーリングをしなければ、口に針掛かりしたサクラマスはファーストランの後はあまり暴れずに波打ち際まで誘導できる。暴れた場合には、曲がるブランクとドラグに仕事をしてもらおう。サーフでは最後の最後、ランディング時に引き波で魚に主導権を握らせないパワーも必要。

ディアルーナを半年使い、評判に違わぬ、もしくはそれ以上にサクラマスを釣るには理想的なセッティングに感じた。芯がありキャストフィールが良好かつよく曲がるブランクも爽快だ。ドラグが大活躍する程の大物には巡り会わなかったが、小さなサクラマスほど口周りが柔らかく、バレやすい。それらも確実にキャッチ出来たことからもサクラマス釣りに適したロッドと言える。まずは思い出の1匹を手にする、サクラマス釣りのスキルを磨くため使い倒すに相応しいロッドだ。

ディアルーナS106Mはサクラマスにベストマッチ

また、今季のショアサクラマスはサーフにこだわって釣りをしたため、全てサーフでの釣果。ジオロック ウェーディングシューズPROは簡単に着脱と密着した締め付けが出来るBOAのダイヤルシステムを搭載している。磯場や湖、川などといったフィールドでは最高の利便性を誇るが背反として、サーフなど波で砂礫が巻き上がる場所では、BOAのダイヤルが砂を巻き込む。実は昨年にそんな課題をこのブーツとウェーダーなどアパレル全般を企画するエドワードと話ていた。すると、シューレースタイプも作ってみたよと。信じられないスピード感。実釣で履いてきた感想として、既存のフィット感や剛性はそのままだ。バリエーションの追加を期待したい。

遠征飯 南十勝グルメ編

十勝と聞けば帯広を中心にグルメ王国という印象だろう。広尾町や大樹町、忠類には釣行ごとに訪れたい魅力的な飲食店が林立するので紹介したい。

①ラーメン飯店 大将(広尾町)カツカレー
とにかく量があり普通盛りでも大食いの私がお腹いっぱい。米は沢山、ルーは溢れんばかり(ちょっと溢れてる)、カツはデカくてサクラマスのように厚い。腹ペコアングラーへ良心の極み。普通の人は食べきれないかも。大盛りを注文する際は心して。ラーメンや定食、丼とメニューが豊富でボリューミーなため訪れる釣り人も多い。朝食抜きで振り倒した昼に訪れるべき。

このボリューム感

②龍月(大樹町)牛とろ丼
温かいご飯に牛とろフレークとネギや海苔など薬味を載せ、醤油をかけて食べる十勝名物。豚丼に押され影が薄いが、牛とろ丼は「第9回全国ご当地どんぶり選手権」2位の実績を持つ隠れたエースで打倒豚丼を目指しているに違いない。いつか1位になってほしい。その他メニューも豊富。隣の卓に運ばれた爆盛りの酢豚と八宝菜も食べたかったなぁ。

目玉焼きも載ってきます

③焼肉だいじゅ園 本店(大樹町)
管内で人気の焼肉屋さん本店。精肉屋さんがやっているらしく、厚みのある切り方が特徴。特に特上牛タンは美味しい。ミノも美味しく沢山食べたかったが、気付いたら友人にほとんど食べられてしまっていた。電モクで注文でき、釣り談義に集中できるし無煙ロースターで匂いもつきにくい。混雑するので予約するのがよいだろう。近くに300円でサウナも入れる大樹町公衆浴場がある。

気の合う仲間と焼き肉は最高!

④食堂このみ(忠類)どろぶたハンバーグ定食
どろぶたとは、十勝発祥の銘柄豚肉であり、通常より2ヶ月も長い8ヶ月間放牧肥育され大きく成長している。どろぶたステーキも美味しく、ここもメニューが豊富。ラーメンと豚丼のセットもおすすめ。美味しさのあまり食べ過ぎると私のように色黒肥満気味になるので要注意。店構えと間取りが料亭チック。ここを経て近くの十勝ナウマン温泉アルコがモデルコース。

どろぶたステーキもおすすめです

⑤インデアン みなみ野店(帯広市)シーフードカレー エビトッピング
インデアンのカレーは十勝グルメを語る上で外せないソウルフード。これを食べに十勝釣行を計画してよいレベル。インデアンと釣りのために十勝へ移住した人物を知っている。海から距離は離れるが無料高速で行ける。あぁ、今すぐインデアンのカレーが食べたい。

これを食さずに十勝グルメは語れまい

TACKLE & EQUIPMENT タックル&装備

使用タックル

<私のタックル>
ロッド:ディアルーナS106M
リール:ツインパワーXD C5000XG
ライン:ハードブル8+ 1号
ルアー:ウインドリップ85S ジェットブースト サケチ、サルベージソリッド85ES NRケイムラボラ、ジグ40g ブラック(段差フックM)(他社品)
リーダー:ナイロン(他社品)、フロロカーボン16ポンド(他社品)

<妻のタックル>
ロッド:ディアルーナ S100M
リール:ヴァンフォード C5000XG
ルアー:ジグミノー40g(シングル伊勢15号)(他社品)
ライン:ハードブル 8+ 1.2号
リーダー:フロロカーボン20lb(他社品)

<私のタックル>

<着用アイテム>

<妻のタックル>

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南十勝のサクラは盛夏に海霧の中で咲く

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