JOURNAL
最前線を目指して

こんにちは!サポートアングラーの矢野元基です。
今回は前回の「サーフにサクラを咲かせましょう」に続き、5月終盤までサーフに的を絞って、同じくサポートアングラーを務める妻の愛実との釣行記を記載させていただきます。
江ノ島海岸へ再び
3月終盤の前回釣行から2日後、訪れたのは同じく道南日本海に位置する島牧村の江ノ島海岸。私がサクラを咲かせた翌日から日本海一帯が大時化となり、釣りが出来るのはこの日も朝イチだけの予報で短時間勝負。前入りし万全の体制で挑むことにした。
夜明け1時間前にサーフへ降りると「日曜日ということもあり、既に沢山のアングラーが待機」しており、間隔の広い隙間に入れてもらう。妻とは間に5人挟み50メートルほど離れて釣り座を構えた。波高は1m弱といったところで、サクラマス釣りにはほどよい状況。薄らと空が明るくなり始めた頃合いから多くのアングラーがキャストをし始める。雪も降り始め、私はライントラブルを極力避けるため完全に明るくなってからキャストを開始した。
パイロットルアーは前回釣果のあったサイレントアサシン140Sのキョウリンシルエットブラック。ミディアムリトリーブでロッドティップを軽く上下させるアクションをいれて誘う。夜明けから30分ほど経っただろうか、見える範囲で60名ほどのアングラーが並んでいる中、左隣のアングラーにファーストヒット。ヒットルアーは40g前後のジグの模様。さらに左で細身のジグミノーを振っていた友人もヒット。見える範囲で釣れたのはこの2匹。共に沖目のヒットのようで、飛距離の劣るミノーからジグミノーにルアーチェンジをしようかと思い悩む。雪も強く降り始め、はるか沖では雷の音が聞こえた気がする。手袋を脱ぐのが面倒だと悩んだ矢先、離れた場所でロッドを振っていた妻が魚とファイトしている姿が目に入った
吹雪の中に咲くサクラ
私が急いで駆けつけるとちょうど妻が40センチちょっとのサクラマスをランディングし、写真に収める。


釣れた状況を聞くと、沖から潮目の筋が自分に向かって入っており、その筋と並行にウインドリップ95SジェットブーストのSナギサブルーをキャスト。少し速めのリーリング(C5000XGの番手で2回転/秒)でただ巻きしている最中にヒットしたとのこと。前回のミノーの「スローリトリーブに絡めるアクションが有利なシチュエーションから一変」した。パターンを合わせる必要を感じ、ウインドリップ85Sの各カラーでただ巻きに徹する。



そして、夜明けから2時間ほど経過し吹雪で視界が霞む中、居並ぶアングラーが半分ほどに減ったところで沖で雷鳴が聞こえた。時合も朝イチの1時間ほどで終わり、見える範囲の60名ほどで全体釣果は5匹。静電気も帯同し始めてきたのでストップフィッシング。
大移動の末に最前線に到達
翌週の休日は釣りを休み、2週間後の土曜日に再び日本海を訪れる。サクラ前線の北上に伴い島牧より北の寿都などで釣果が聞こえ始めた。次なる最前線はより北の積丹と予測し、積丹半島に位置するポイントで朝マヅメから開始するも魚の反応がなく快晴ベタ凪でベイトすらいない状況。これはマズいと南下を決意し、可能性があるポイントを探すことにした。
要所で車を降り状況を確認するも、どこも釣れていない模様で活気がない。40キロほど南下した蘭越町の精進川河口サーフでサクラマスを釣り上げたアングラーを目撃。話を伺うと朝イチに周囲で1本釣れた後、反応が無く9時半頃に自分を含め3本ほど釣れたとのこと。ちょうど群れが入ってきたようで、跳ねやモジリも確認できる。これは期待できるため、急いで準備をして精進川河口から50mほど離れた左岸でキャストを開始した。
快晴の下で満開
小一時間ほどキャストをし、11時半頃に座って休憩をしていたところで妻にヒット。かなり沖目でヒットしたようで、慎重にファイトしている。サイズも良さそうだ。バレそうと言いながらも波打ち際までうまく誘導し一発目の波でランディング。

跳ねが見えた70m程先に35gの赤金カラーのジグをフルキャストし、着水後に巻き始め数回でヒットしたとのこと。オキアミを食べている年は、赤金カラーの調子がいいというセオリー通りだ。57センチで今期としては十分大型。結局、私たちは15時過ぎまで粘り、多くの人が入れ替わり入釣するも妻が釣った魚以外に釣果はなく、とても貴重な一匹だった。

サクラ前線の北上
5月の終盤、サクラマスが石狩市内で連日調子が良いとの情報をキャッチし、初めて訪れるポイントへ繰り出した。前日に調子が良かったらしいサーフは夜明け前に到着した段階で駐車場には多くの車が。急いで準備をし、4時前にはサーフへ降りる。条件としては無風で1㎜程度の降雨があり、波高は限りなく0に近く、20㎝ほどか。全体的に水深2mから3m前後で遠浅のポイントらしく、80m沖はサンドバーになっており、さらに浅い様子。魚が停滞するのはサンドバーの周囲で、回遊し通過するルートはサンドバーと岸の間だろう。サーフには見える範囲で15名ほどの釣り人が。ワンドになっており見えないがその奥にはさらに数十名が並んでいる様子。手前が浅くミノーが使えないため、パイロットルアーはウインドリップ85Sのシルエットブラックでただ巻きをメインで狙う。サンドバーまでは届かないが、回遊ルートの範囲は探れそう。
今回、キャスティンググローブを初めて使ったが、フィンガープロテクターが一体化しておりとても良かった。暖かくなるこの時期はキャスティンググローブにフィンガープロテクターを組み合わせて使っていたが、よくプロテクターを無くすので、うれしい装備。

キャストして間もなく射程内に跳ねとモジリが。全身を水面から飛び出し跳躍するそれは紛れもないサクラマス。最近は全くサクラマスの気配のないシチュエーションばかりで打ちのめされていたが、やっと魚が確実にいる場所へ立てたことで気分が高揚する。50mほど離れた場所で竿を振るアングラーがサクラマスをキャッチ。直後、私にもアタリが。これは今日は貰ったぞという期待も束の間、散発的にモジリを見るも無反応。もしや、跳ねたのはサクラマスだが大量のモジリはウグイやボラか・・・。

雨降りて滴るサクラ散りぬるを
5時頃まで1時間ほどロッドを振るが偏光グラスを忘れたことに気付き、一旦車へ戻り再度サーフへ。強くなった雨足に打たれたからだろうか、冷静になりただ巻きで手前ばかり探っていたが、サンドバーの裏の魚を狙おうと40gのブラックカラーのジグを選択。岸寄りして時間も経っておりスレていると仮定し、強めのトゥイッチを入れファストリトリーブ(C5000XGの番手で3回転/秒)で反射食いを誘うことに。
一投目で反応はなし。二投目も100mほどキャストしサンドバーの裏から直上を通過し、手前10mほどまで引くも反応なし。そこで激し目のトゥイッチを入れた瞬間、ガツンとリールがロックされる特有のアタリが。これはサクラマスに違いない。反射的に大きく合わせ、素早く糸フケを回収しドラグを緩める。サクラマスは口が柔らかく、口切れをするのでファイト時はドラグを緩めることをおすすめしたい。手前でのヒットのため、ランディング時に魚のパワーが有り余り横走りしてバレる危険があるので一発でランドするのが理想。波が無いので慎重に小さな寄せ波に乗せてランド。
50㎝そこそこで小ぶりだが、傷一つない綺麗なプロポーションのサクラマス。魚体に雨があたり滴る水に剥がれたウロコが混じり散る様が美しかった。

雨のちアメ
その後反応がなく、2時間ほど仮眠をして今度は300mほど離れたサーフへ。時刻は8時過ぎ。先程立っていた場所は15人ほどで2匹の釣果だったが、こちらはもう少し釣れていそう。ちょうどキャッチしたアングラーを目撃したので、近くでやることに。散発的に跳ねもあるが魚は遠く、遥か沖ではカモメも刺さっている。私も妻もジグでフル遠投して探る。
1時間ほど無反応が続くが、雨が止んだなと思い、ふと横の妻を見ると無言でアメマスをキャッチしていた。サイズは40㎝もないが丸々と太ったこれまた見事なプロポーション。40gのブラックカラーのジグに竿先1mまでチェイスしてきたアメマスを足元でジグを横に煽りヒット、そのままの一連の動作でファイトもなくランディングしたらしい。
ちょうど雨足が止んだと思った矢先、アメマスが姿を見せてくれた。お腹が減ったこともあり、9時半でストップフィッシング。

北上するサクラ前線と北前船に思いを馳せて
近くにある道の駅「アイロード厚田」でニシン蕎麦をいただき、2階にある資料館を見学する。どうやらこの地は北前船の寄港地で、本州の商品や文化を北海道へもたらし、北海道のニシンや昆布を本州へ運ぶために積み込む重要な拠点だったよう。特にニシン粕は明治初期の本州で不漁にあえぐイワシ粕に変わる綿花栽培の貴重な肥料となり日本の近代化を後押しし、昆布は出汁を基調とする和食文化を庶民に伝播した。北海道の豊かな自然に支えられ、今の日本が成り立っている。
今季は全体的にベイトが薄く、サクラマス自体の数も少なく「魚体の成長が遅いため、接岸・遡上が遅れた」感覚がある。子持ち昆布で有名だが、昆布はニシンの産卵礁。ニシンはサクラマスの貴重なベイト。自然の全ては繋がっており、大好きなサクラマス釣りがいつまでも出来るよう願わずにはいられない。


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矢野 元基のタックル
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