釣行データ
日時:2020年3月10日 6時30分出船・13時沖上がり
エリア:東京湾口 洲ノ崎沖
天候:雨
潮回り:大潮(満潮5時46分、干潮11時31)
船宿:春盛丸
沖イカハンター全員安打!
釣果100パイ超の好日!!
潮が速くても乗りは活発
中型スルメの6点掛け。ハイペースで乗ってくる!
3月は風の強い日が多く、船宿が急遽休業するなど取材日程に悩まされた。3月上旬のこの日もあいにくの雨予報だったが、風が収まるということで取材を決める。お世話になった長井漆山港の春盛丸は当連載2度目の登場だ。前回は初夏のムギイカシーズンだったが、今回はどんなイカがねらえるのか。
私と一緒に乗り込むのは沖イカハンターの小菅義弘さん、永井秀夫さん。我ら沖イカハンターと乗船することが多い赤萩奨さんだ。小菅さんは若い時に先代の船長や常連客からイカ釣りのノウハウを学んだ。そして「春盛には凄腕の常連さんがいっぱい」と話す。
6時30分に出港。目指すは洲崎沖で約1時間の航行である。城ヶ島を過ぎるとしだいに北風が強くなった。辺りは白んで房総半島も見えない。やがてポツポツと船が見えてくると洲崎沖のイカポイントに着いたようだ。船が速度を落として、魚探で反応を見ながらゆっくり旋回していく。
中オモリは30号。速い潮の中でミチイトを張り、仕掛けを動かす役割がある
「はいはい、やってやって。水深165m、反応は水深120mくらいからあるよ~」
船長独特のアナウンスが船内に響く。オモリを投げ入れ、仕掛けが落ち始めると、ラインが斜めになっていく。潮流が相当速いようだ。この日は大潮回り、しかもポイントは東京湾湾口部なのだから無理もない。まずは、タナでサワリを探って、サワリがなければ底まで落として誘う。するとすぐ船長から「上げて、上げて」のアナウンス。1流し目から相当の距離が流れているようだ。
潮流が速い時は、投入アナウンスと同時に仕掛けを投入しなければならない。少しでも投入が遅れると他の人の仕掛けに被さり、オマツリを引き起こす。少しでも投入が遅れた時は1回休み。次の投入を待つことがルールだ。この速潮によって1投1流しの忙しない釣りが続く。
そこで私が意識したのはイカの群れが浮いていればオモリを着底させないこと。反応のある上のタナでサワリを探り、察知すれば掛けにいく。というのも底まで仕掛けを落としている間に船が動いてしまうからだ。当然、イカの群れも移動しているので仕掛け着底時には、群れがいなくなっているかもしれない。上にイカがいるのが分かっていれば、上で掛けてしまったほうがよい。上のタナを探って下ヅノに掛かるようなら仕掛けがタナよりも少し上にあるはず。上のツノに掛かるくらいがちょうどよく多点掛けもねらえる。つまり濃い群れの中に仕掛けが入っている。
松田竜也の爆乗り注目ポイント
私(松田)の愛用アイテム
今回の愛機はシマノ「ビートマスターMD3000」。なんとリールに探見丸が映ってしまう。シャクリの中でイカ反応を確認できてサワリに集中できるので戦力アップ
ツノは14cm14本の直結。アクセントに糸巻きツノを混ぜている
「ニセマイカ」とも呼ばれるスルメの時期
春盛丸はイカ釣り道場と語る小菅さん。この5点掛けを皮切りに爆乗りタイムが始まった
やがて2点、3点と多点掛けが多くなった。隣の小菅さんの5点掛けを皮切りに、私も6点掛けを達成。サワリを探るよりはタナを合わせるだけで乗る。アタリが出て、掛ければ次々と乗る。もはや誘う必要もない。取りこぼさない手繰りができて、仕掛けをきちんと扱えるようならイカ釣りは50%できている。後はイカの乗りが分かるかどうかが大切だ。
タナに届けば一発で乗る。全員安打!
スルメイカに交じってヤリイカも混じる。基本は底付近を泳ぐヤリイカだが、この日は浮いており、スルメイカと同時に乗る。その多くは小型のメス。春らしいパラソルサイズが混じらない。ちなみに春に乗る中型のスルメイカは「ニセマイカ」と呼ばれ、これが終わると小型のムギイカの季節に移り替わる。ムギイカは重量感が軽く、乗りを察知しにくい難敵。タナも水面付近から底までと幅広く、それもまた面白い釣りである。
全員が一束超の爆乗り時間
次々に躍り上がるスルメが船内に投げ込まれる
サオが軋み、電動リールが唸りを上げる。スルメイカのパワーは凄まじく時にPE3号をぶっち切る
爆乗りタイムが続いているさなか、「あれれぇ~」と頓狂な声が聞こえた。どうやらラインが高切れしたようだ。ツノ10本以上の仕掛けに、中型のスルメイカが過度に乗れば、重さと抵抗は相当なもの。PEラインの3号が裁ち切れることも結構あるのだ。予備タックルがないのなら、ラインは500m以上巻いていたほうがよい。
潮の流れが緩んでくると、爆乗りタイムもおとなしくなってきた。上でサワリがなくなり、底まで仕掛けを落として探る。さらに着底1発で乗ってこなくなってきた。こうなると、誘ってアピールしなければ乗りが悪い。スルメイカは、ヤリイカのような小さな誘いではなく、大きくシャクって誘うのが有効だ。大きくシャクった時にツノがより踊るように中オモリの30号を付けてある。底からシャクるので、ヤリイカが乗ることも多く、オスの大型ヤリイカも混じるようになった。永井さんは大きなシャクリでイカを乗せ続けている。
濃厚な反応が水深172mのカケアガリ付近に出ていた
パターンをつかんで多点を連発している赤荻さん
赤荻さんはヤリイカの6点掛けを達成
10点以上の多点はないがポツポツと途切れずにイカは乗った
後半戦は上げ潮に替わり2枚潮になる。途端にオマツリが多くなった。こういう時は周りの人のラインの動きを見て投入すること。2回目を入れる時は、投入器に1回ツノを入れてから再度投入することで、オマツリの防止になる。
この日は潮替わりがあっても、爆乗りタイムは長く、誘えばポツポツとイカが釣れ続けた。終わってみれば、小菅さんの141パイをサオ頭に、沖イカハンター全員が1束越えという久しぶりに満足できる釣果になった。船宿の女将も「1束越えなんて、3年振りくらいかしら……」とビックリしていた。この爆乗り状態はいつまで続くのだろうか。
前半は小型のメスのヤリイカが多く、永井さんは巧みに乗せた
後半戦は良型ヤリイカの時合になる
シーズン終盤を迎えたヤリイカはパラソルサイズもよく混じる
この日のサオ頭は小菅さん。どこまで乗せるんだと思うくらいの釣れっぷりで141パイもキャッチ