釣行データ
日時:2019年11月27日 7時15分出船・14時沖上がり
エリア:神奈川県洲崎・城ヶ島沖
天候:雨
潮回り:大潮(満潮5時36分、干潮11時6分)
船宿:やまはち丸
ヤリイカ開幕!
ねっとり甘く濃厚に旨い! 美味しいヤリイカ釣りもシーズンイン
11月下旬。海水温は20℃を割っていないが気温はめっきり冷えてきた。東京近郊では各地のイカ船基地でポツポツとヤリイカの釣果が聞こえている。というわけで、今回はヤリイカ開幕のレポートである。お世話になった船宿は小網代「やまはち丸」。創業50年以上の老舗で船長の出口奨さんは4代目。天候は寒風吹きすさび、雨がしとしと降っている。乗船は我々のみ。こんな陽気なので仕方がない。相棒はチーム沖イカハンターの永井秀夫さんと小菅義弘さん。そして中乗りとして大船長の出口訓さんも乗船してくれた。
「9月からヤリイカはスタートしています。釣果は0か100かという大きな波はなくて、10~20パイ平均で乗っている感じです。最近はまずまずの型のヤリイカも上がるようになっていますから期待はもてます」
と船長は言う。主なポイントは城ヶ島沖、沖ノ瀬、洲崎周辺で。この日の前日には洲崎沖で好釣果があがっていた。長井をはじめ各地のイカ船がこぞって洲崎沖を目指し出口船長も同じく洲崎を目指して舵を切った。
気温よりも水温が高く海面からもうもうと水蒸気が上がっている。そのうち霧が発生しそうなほどである。航行30分ほどでイカ船団が旋回する洲崎沖に到着。水深は140mからスタート。周辺の海底は流すうちに120mまで徐々にカケアガっていく。
北風が吹き、雨が降る中でも船上の釣り人は燃えている。イカはローライトを好み、雨天は爆乗りがあることも多いがはたして?
レッドヘッドの糸巻きヅノ
小型のサワリを確実にキャッチする永井さん。5点掛けでスタートダッシュ
「糸巻きヅノがよく当たるんだ」と小菅さん
直結仕掛けで小型ヤリイカを取り込むのは難しく技術の差が出る。というのも、乗せたところでイカの重みを感じにくいためだ。アワセを入れても半信半疑で海面まで巻き上げることが多く、途中まで重みがあっても水面近くなると暴れだし、その瞬間に外れてしまうこともよくある。なにせ小型のイカは力が弱い。仕掛けを引っ張るパワーがないからオモリがほんの少し下がっただけで外れてしまう。シャクリの誘いは勢いよくサオをリフトした後で持ち上げたオモリがストンと下がる。イカが乗ったとしてもこの瞬間に振り落とされてしまうほどだ。
誰もができる釣り方といえばズル巻きである。海底から低速巻きでじわじわ巻き上げ、乗りを察知したところでテクニカルレバーを前に倒して巻きアワセを入れるのだ。
メンバーの中では永井さんの技術は凄い。誘いの中にズル巻きを織り交ぜはするが、あくまでバリエーションのひとつ。腰の入った動作でビシッと大きくサオをシャクリ、動きの中でサワリをとらえ、アワセに移行するのである。
「底でサワリますねえ」
と永井さんは言う。私の右隣の小菅さんも「すごい小さなサワリがある」と、同じことを言い、そのすぐ後に2人はアワセをくれた。海面を割ったのは胴長15㎝ほどのヤリイカだ。これを永井さんは5点掛けで乗せ、小菅さんは3点掛けに成功。私も乗ったが、巻き上げ途中でバラしてしまった。
その後も永井さんはコンスタントに2点、3点と乗せて、小菅さんもポツポツ。私は時合の流しを逃してしまう。
糸巻きヅノはレッドヘッドが定番カラーだ
「ヤリイカには糸巻きヅノが強い。特にレッドヘッドの糸巻きヅノによく乗ります。面白いものでよく乗るからといって、全部を糸巻きヅノにしても効果は得られません。8本のうち2本くらい混ぜるとアクセントになるのかよく効きます」
そう話す小菅さんの仕掛けは、上から2番目と下から2番目に糸巻きヅノがセットされている。私も糸巻きヅノは作る。機械を使って巻くが、きれいに仕上がると結構な癒しになる。余談だが、昔の巻きヅノには「ガス糸」が用いられた。なぜガス糸と呼ぶかと言えば、イトから気泡が出るからだ。ブクブクと出る気泡がイカを誘うと古老から聞いたことがある。ちなみに現在はガス糸が消え、木綿イトを巻く。頭が赤、ボディーが白のレッドヘッドの糸巻きヅノは定番パターン。シーバスミノーでもよくあるデザインだが実際よく乗る。
時合は沖上がり間際に
乗りを察知して、巻きアワセに入る永井さん
潮が変わった。二枚潮だ。ラインがS字を描いている。水深140mにもかかわらず160~170mとイトが出る。こんな時は最初の着底以外に底を取るのが難しく、イカが小さいと乗りを察知しにくく、巻き上げ途中のバラシも多くなってしまう。
船長は洲崎周辺をぐるぐる回って群れを捜す。私には当たらない。でも永井さんは単発で乗せる。いずれも小型なので微かなイカの重みを感じ取っている。11時を過ぎても海に変化はない。それでもヤリイカは沖上がり間際になぜか釣れ盛る。そんなドラマがあると信じていると、終了30分前にわかに船内が活気づいた。
後半戦残り30分前にヤリイカの型はよくなった
洲崎沖に見切りをつけた船長は城ヶ島沖に移動した。1流し、2流し、3流しと水深140mのラインから徐々に深いラインを探って4流し目に時合は来た。着底からようすを見る感じで聞くと穂先がフワフワと揺れた。低速巻きで誘い上げると乗った。追い乗せを誘うとズンズンとまずまずの重量感だ。そして巻き上げに掛かり、ツノを手繰ると透き通る身のヤリイカが次々に浮上。3点掛けである。周囲を見れば、永井さんも小菅さんも入れ乗りタイムに突入。ただ、小菅さんは洲崎沖のあまりの渋さからブランコ仕掛けに替えたのが災いしサバに邪魔をされる場面も多い。私と永井さんは直結仕掛けでサバの中からイカのアタリを見極め、ラストスパートを決めることができた。こうして、終わりよければすべてよしの満足のいく釣行となった。
ハイペースで連掛けする
ヤリイカが飛ぶように船内に入る直結手繰り
良型のスルメイカも乗せた永井さん
良型が2ハイでこの笑顔