釣行データ
日時:2019年2月5日 7時出船・13時沖上がり
エリア:千葉県洲崎沖
天候:曇り
潮回り:大潮(満潮5時、干潮10時)
船宿:佐円丸
初めてイカ釣りをした船で釣り教室の講師になる
佐円丸ヤリイカ教室は参加者10名に我ら沖イカハンター4名で出船!
池田さんがまずは直結レクチャー。1流し目から快調に乗せる
三崎港佐円丸は私が初めてイカ釣りをした船宿。かれこれ15年ほど前のこと、柳下昌則船長が「初めてならここに座って」と操船室の脇に席を構えた。アタリが全く分からなかった私に「乗っているよ」と声を掛けてくれ、ヤリイカがゾロゾロと上がった。初挑戦でいきなり30パイが乗ってこの釣りにハマるきっかけになった。その柳下船長から「イカ釣り教室をやってほしい」とお声掛けいただいた。
「船頭が教えるより、上手い釣り人に教えてもらったほうがお客さんは素直に聞くのよ。操船しながらアナウンスするより、やっぱり立場が近いから」
というわけで、私のほか小菅義弘さん、池田暁彦さん、永井秀夫さんの沖イカハンター全員が集合し、2月5日に開催の運びとなった。
しかしである。おりしも三寒四温の始まり。南西と北東の強風が交互に吹き荒れ、連日海はシケまくり。この日は南西風こそまぬがれたものの、朝のうちは北風が10m吹く予報。仕掛けさばきの難しいシビアな条件ではあるが10名が参加した。参加者のイカ釣り経験は2~3回、中には完全ビギナーもいるし、ブランコではなく、直結仕掛けの釣りを覚えたいという人も少なくない。
目指すポイントは洲崎沖。水温は16.3℃。海上に出ればウネリが残り北寄りの爆風が吹いている。低い雲が垂れ込めた寒空であるが、この日の洲崎沖は熱かった。長井、松輪、金沢八景、勝山と各地イカ船の大船団ができている。これはイカの群れがかたまっている証拠。期待できそうだ。
ウネリのある状況でもあっという間に多点掛けを決める池田さん
仕掛けを下ろせば即座に乗せる小菅さんはハイパーイカハンターである
V-HOLDERゲキハヤサポート
安定感抜群のサオ受け「VホルダータイプG」に時短着脱できるゲキハヤサポートが新登場。従来品は結束バンドを外してからロッドをはめ込む必要があったが、このアイテムは「爪を外す」、「起こす」、「ずらす」と、スピーディーに着脱できる
釣り座セットの基本とビギナー向けのツノ数
釣り座つくりの基本はロッドから投入器までを1mほど離す。狭いスペースで仕掛けをさばけばトラブルも増えるのだ
私の愛竿はシマノ「ベイゲームXイカ直結」。電動リールは「ビーストマスター3000XS」
沖イカハンターではこれまでも何度かイカ釣り教室を開催している。基本的にシステマチックな釣りなので、アタリを取る、誘いを覚える以前に、投入から取り込みまでの動作がトラブルなくできるようにすることが最も大切だ。多くの人ができないのは取り込み。慌てて仕掛けを絡ませてしまうか、直結仕掛けではテンションを緩めてイカを乗せてもバレて終わる。
まずは釣り座の整理整頓が大切。お客さんの数にもよるが、基本的にサオを置く位置からイカヅノ投入器までの距離は1mが基本だ。仕掛けを狭いスペースでさばくのは、手前マツリの原因になる。
ヤリイカねらいならツノ数は5本くらいが適当。ヤリイカは底層に群れが集中するので、仕掛けを長くする必要がない。最初はバラしにくいブランコがおすすめだが、枝スのない直結仕掛けのほうが絡みは少なく、さばくのが楽である。しかしシケた海で直結に挑戦するのは酷である。船の上下動でテンションが抜けやすい。
この日は左舷側に直結ビギナー、右舷側にブランコビギナーが並んだ。そして1投目、船長の合図と同時にオモリが投げ込まれた。投入の基本は自分の正面。風が強い日はやや風上に投げたほうがよい。
さて1投目、着底したオモリを底から持ち上げた瞬間、各所で「オー?」、「乗ってる?」、「乗ってるじゃん」と声が飛び交い、電動リールが唸る。直結組は池田さんが取り込みをレクチャー。船内にヤリイカがぼんぼんと放り込まれた。ブランコ組もゾロゾロとイカが浮上。
大ドモでブランコ仕掛けを操る小田島さんに追い乗せをレクチャーする永井さん
講師の永井さんもあっという間に4点掛け「バクバクですね!」とこの笑顔
波の上下に合わせてイトを緩めないようにする
この日がイカ釣り初挑戦の大下さんもいきなりヒット。なんと終了までに33バイをキャッチした
横浜市在住の井ノ内さんはいきなりの3点掛け。直結の釣りを覚えたくて参加とのこと
イカ歴1年半の渡辺さんも直結でゲット
幸先のよいスタートでイカ反応は出っぱなし。落とせば乗る、イージーな状況だが、ブランコ組はイカを取り込めてもその後で仕掛けが絡んでしまう人も目立つ。また直結組の大半は乗せても取り込む前にイカが抜けてしまうようす。
まずブランコは落ち着いて取り込むこと。小菅さんのアドバイスを聞いてみよう。
「ヤリイカはスルメイカに比べ巻き上げ途中に枝スがヨレやすいんですよ。仕掛けがヨレるとさまざまなトラブルの原因です。これを軽減するにはツノ数を5本以下に少なくし、枝スの長さは5~7cmと短めがいいですね」
一方の直結仕掛けは、なんといっても仕掛けを緩めてはいけない。直結こそスリリングでスピーディー、イカ釣りの醍醐味があると私以外のメンバーは直結オンリーで楽しむ。こちらは池田さんが熱血レクチャーをしている。
「波の上下がありますからね。イカを乗せた後は穂先を目線より下にして巻き上げることです。そのほうが波の上下に合わせて穂先を上げ下げしやすいです。頭上までサオを上げると船が下がった時に対応できませんから。直結仕掛けはカンナ1つ分でも下がればイカが外れます。イカが最も外れやすいのはサオを置く時。この時に仕掛けが下がっちゃう。先イトをつまんだら、ツノ、イト、ツノ、イトとリズムよく手繰ってイカを船内に放り込んでくださいね」
特に強調していたのがサオを置く時だ。ガチャンとロッドホルダーに差し込んだ瞬間、イカが外れてしまうことが多いという。これを防ぐには穂先を上げながら置くことが肝心。
「私も直結を始めた当初はずいぶんと苦労しましたから。多くの人はツノからツノを持とうとする。ツノをつかんだ反対の手は、ツノのやや上の幹イトを持ってテンションをキープ。それから利き手でツノを持てばいいんです。このリズムをつかむのが最初は難しいんですがね」
そんな池田さんや小菅さんのレクチャーの甲斐あってか、この日が直結初挑戦の後藤美佐子さん、誠さん夫妻や、直結挑戦2回目の井ノ内由布子さん、渡辺恭昌さん、新庄正己さんは苦戦しながらも手繰りが少しずつ上達した。それぞれ2点、3点、4点掛けを決めることもできたのだ。
サオを置く時の注意
直結仕掛けではサオを置く時が最もテンションが抜けやすい。イトが緩まないように穂先を上に向けてサポートする。そのまま穂先を上げていき……
先イト(リーダー)や中オモリをつかみ、手繰りがスタート。絶対にイトを緩めないこと
手繰り方
①右手で掴んだツノを後方に引っ張り、同時に左手は幹イトを滑らせ……
②左手は次のツノのやや上をつまみ、テンションをキープ。右手に持ったツノは落として……
③上がってきたツノを右手でつまむ。そして再び①から繰り返す
ツノは直結仕掛けであれば手繰った順に重ねていけば絡みにくい
ツノのつまみ方
手繰ったツノはカンナの付け根付近を、鉛筆を持つ要領でつまむ
これはNGの例。ツノを反対側から被せるように持つと……カンナが真横を向く格好になりやすい。こうなるとオモリ負荷が掛かってツノが折れる
手繰ったツノを投入器に入れる
再び投入器にツノを入れる時は手繰った順となるオモリ側のツノから入れる。基本だが、カンナを上に向けて入れること
投入時ツノはロッドホルダー側(写真は左側)から飛ぶ。オモリ側のツノからセットする時はロッドホルダーの反対側(右側)の穴から入れること
清瀬市から夫婦で参加の後藤美佐子さんも直結で良型をゲット。3点掛けも決めていた
イカ釣り3回目という葛飾区在住の加藤さんも楽しめたようす
高原浩二さんも充分すぎる釣果にホクホクの笑顔
直結手繰りをなんとかものにしたいと池田さんの熱血レクチャーを受け、最後は3点掛けを決め喜び爆発の新庄さん
シケなければ……最高のヤリイカ日和
「ブランコ仕掛けの人は乗ってもネバネバしてくださいよ~!」とレクチャーするのは永井さん。右舷大ドモの小田島秀樹さんや高原浩二さんに、ブランコ仕掛けの多点のコツを伝授する。すなわち1パイ乗せた後も、なるべく同じタナで粘ること。スローに仕掛けを巻きながら追加の乗りを察知したらアワセを入れる。そうして小田島さんは6点掛けを決めた。また、完全ビギナーの大下晶弘さんも快調に多点掛けを連発。お隣の大嶺隆司さん、その隣の加藤定則さんも「今日は最高のイカ日和です」とバケツいっぱいにイカを生かしてホクホク顔だ。
バラシの少ないブランコ仕掛け。サバも回っていないので、ブランコでもトラブルは少ない。10時を過ぎた辺りからしばらく停滞したが、沖上がりの13時前に再び山場がやってきた。
「いい底反応が出ていますよ!」
と柳下船長がアナウンスすると、船中すべてのお客さんが着底と同時に乗った。重量感のある電動リールの快音が船中に響き渡る。この最高の時合に乗り遅れたのは私だけ。でも、みなさんが楽しめたのでよしとしよう。ちなみにサオ頭は右舷大ドモの小田島さんで34ハイ。ブランコ仕掛けで多点を連発したのが奏功した。この日全くの初挑戦だった大下さんも33ハイと最高の一日を味わったようだ。参加者全員が、よりいっそうイカ釣りにハマってくだされば幸いだ。
この日のサオ頭は小田島さん。6点掛けを含む多点掛け連発で34ハイだった
直結組では唯一のツ抜けでサオ頭といえる井ノ内さん。良型がノリノリの4点掛け