釣行データ
日時:2018年8月14日 6時出船・13時沖上がり
エリア:神奈川県城ヶ島沖
天候:晴れ
潮回り:中潮(満潮5時50分、干潮12時25分)
水深:130~180m前後
船宿:光三丸
松田竜也の爆乗り注目ポイント
高水温期のスルメイカ
シャクリのなかで乗せていく手練れのワザ
台風とスルメイカ
晩夏のスルメイカは良型が揃う
長い腕で獲物を捕らえる。スルメイカは獰猛なハンターだ
8月中旬、お盆休みに向かった先は神奈川県のイカ船基地・長井漆山港だ。「チーム沖イカHUNTER」のメンバー、小菅義弘さん、永井秀夫さんと一服状態のスルメイカに挑む。お世話になった「光三丸」は満員御礼。ツ抜けできれば万歳という乗りの悪い状況でも、熱いイカ釣りファンが通い込む船宿なのだ。
スルメイカは梅雨をピークに夏には下り坂となる。というのも水温に敏感で高水温に弱い。タナは深くなり回遊も少なくなる。
関根雄志船長いわく「西に逆走したブーメラン台風12号が来る前はいい感じで乗っていました。それが台風後にぱったり釣果が落ちましたね」と話す。 通例なら台風後のリフレッシュした海はイカの寄りがよくなることが多い。しかし、この台風は違ったようす。取材日の1日前に光三丸に乗船していた永井さんは「数は出ないけど乗るイカは太いです。走りの小型のヤリイカも混じりますよ」と言う。
5時30分、光三丸は城ヶ崎方面へ舵を切った。航程30分ほどでポイント沖に到着すると、イカ船団ができていた。沖合は澄んだ潮で南風が心地よい。
松田竜也の爆乗り注目ポイント
私(松田)の愛用アイテム
「ベイゲームⅩイカ直結H150」。さばきやすく乗りを察知しやすい9:1の先調子。誘いやすく、微かな負荷の変化も感知しやすい
ツノは青一色。濃淡が微妙に違うがシンプル極まる配色
永井さんの愛用アイテム
愛竿はシマノ「イカ7 H150」。感度、レスポンス性、パワーいずれも高性能である。リールはビーストマスター3000XS
小菅さんの愛用アイテム
水中ライトと中オモリ。仕掛けをすばやく張って動かしやすくする中オモリ。この日は15号を使用。水中ライトは深場ねらいの効果的アイテム
小菅さんの愛用ヅノ。18cmと14cmを混ぜている。この日はピンクの14cmヅノに反応が多かった
永井さんの愛用ヅノ。最初は18cmオンリーだったが途中から14cmに替えた
シャクリ続けて掛ける
この日最初の1パイは永井さんが手にした。腕一本の渋い乗りだ
小菅さんはアタリの取りにくい小型ヤリイカも乗せてしまうテクニシャン
水深は130~180m。スルメイカは中層でも反応が出る。小菅さんや長井さんは仕掛け落下中のサワリも察知しタナを見つける凄腕。しかし高水温期のタナは底と思ってよいだろう。船長の指示ダナも水深を言うだけで「底から10m、20m」と幅をもたせた言い方はしない。
私の仕掛けはオモリ150号に14cmヅノを14本。長井さんは18cmヅノを14本。小菅さんは14cmと18cmを混ぜた14本。モーニングの好機にどれだけ数が伸ばせるかと期待をするが、悲しいかな乗りは悪い。
「小サバかな。魚探が真っ赤になる小魚反応をねらっているけどイカが混じらないね」
と船長。6時50分。沈黙を破ったのは長井さんだ。バットのしなりを見れば良型である。ツノを手繰ると底から2本目に付いていたのは腕一本にかろうじて掛かったスルメイカ。
「タナは底。水深150mくらいです。小魚の反応を感じながらシャクっているうちに乗りました」
やはりイカにやる気がない。長井さんと同じタイミングで小菅さんも乗せたが、巻き上げ途中でバラシ。それが2回も続いた。
「ちょこちょこと触ってくるんですけどね」
と小菅さん。私もサワリは感じていた。ガツガツと派手に出る小魚のアタリに混じって、わずかに乗るイカの気配はあった。「ツノの大きさがベイトの小魚と合っていない」そう思い14cmから18cmヅノに替えてみた。
シャクって止めてアタリを見てもサワリが出ない。シャクリの中で乗ってきたイカの重みを感じ、掛けにいく。このため大きくゆったりしたシャクリが有効だった
次の流しでは小菅さんに乗った。「アタリなんて出ませんから、シャクリ続けて引っ掛け、重さの違いで乗りを察知するしかありません」と話す。さらに1パイ、2ハイと小菅さんは乗せる。一人舞台で釣果を重ね、そのうち小型ヤリイカもとらえた。
「触ってくるのはヤリイカかもしれません。なぜか乗るのはピンクの14cmヅノばかりですねえ」
と小菅さん。ツノを大きくしたのは失策だったか? と思う間もなく私の青い18cmヅノにもイカはがっちり抱きついた。大きな水鉄砲を吹きながら上がる良型を取り込んで、すぐさまオモリを落とす。と、再びヒット。しかし手繰る間にゴンと鈍い衝撃が走る。何者かにイカが食べられたのだ。同じころ小菅さんも長井さんも苦労して乗せたイカを取られていた。高水温期の名物、サメであれば仕掛けを丸ごと引きちぎる。おそらく表層付近を泳ぐ青もの。カツオかマグロ系統と思われる。
イカ釣りでサメや青物を避ける術はハッキリいってない。賢いサメは船の真下にぴたりとくっつくことがある。こうなると、どれだけ早く取り込んでもお陀仏。できる対策としては、船内でさばいたイカの臓物をむやみに海に投げないことだ。
シャクリの中でイカの重さを感じ取って数を伸ばす小菅さん
スピードレバーが沖イカ釣りの心臓部。サワリを察知すればそのままレバーを前に倒す
沖上がり間際の山場
イカフリークの多くは多点掛けに燃える。たとえば1日やって10パイの釣果をポツポツと乗せるより、5点掛けを2回、極端をいえば10点掛けを1回すれば満足できる。多点でイカがつくほど興奮度は高い。そして1日の流しでこうした山場が何回かあれば満たされてしまう。
10時30分、船内がにわかに活気づく。右舷側4名のサオが同時にズドンと入って電動リールの快音が響き渡った。私の隣に座っていた赤荻さんもゼロ釣果を脱出。良型を2ハイ多点掛けで取った。各所で2点掛けが見られ、船内にイカが乱れ飛ぶ。しかし時合は続かない。その後は小菅さん、永井さん、私に単発乗りがあるのみ。
正午を回った。沖上がりは12時半。最後の盛り上がりを期待してオモリを投げる手に力が入る。「水深173m」と船長。オモリ着底を感じたところで1シャクリ。同時に穂先がもたれた。いわゆる底ドン一発。スピードレバーを前に倒すとリールが唸る。上がってきたのは外すとドスンと音がするような太いスルメが3バイ。永井さんも同じく3バイを船内に投げている。
時合到来で再度落とせば一発で乗る。多点の手応えである。隣の赤荻さんも乗せていて水面まで間もなくのところで穂先がグンと引き込まれて負荷が消えた。サメだ!速度を上げて巻き上げ、その攻撃を回避しようと試みたが同じように引っ手繰られて仕掛けが飛んだ。オモリ負荷は消えたがまだ重みが残っている。イカがいるのか? 高速で手繰ると1パイ、2ハイ、3バイも残っていた。その下のツノがカンナ部分から折られていた。それでも痛快なクライマックス。これがあるからイカ釣りはやめられない。
10時半に時合到来!
片手にツノを束ね、上がってきたイカは叩き付けるようにしてカンナを外す
残り時間30分のクライマックスで永井さんと3点掛け
最後の時合は船中各所で良型スルメが舞い上がる
小菅さんは中層のサワリをとらえてこれまでにない重量感を得た。が外れてしまい2点掛け